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セカンドハーフ~夢の後半戦~  作者: ふぉるせ
5章

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113/125

22 駒野場高校 1:0 陽光白崎高校

 駒野場高校によって1点を先制された、陽光白崎高校のキックオフからゲームは再開する。

 神宮司じんぐうじが味方にバックパスを行い、自身は駒野場陣地奥深くへと侵入していく。

 同じわだちは踏まない、と駒野場DFのキャプテン度會わたらいは、神宮司に対して氷室ひむろ永井ながいをマークにつかせていた。

 

(首尾よく1点は取った……このままもう1点狙うのか? それとも、守り切るのか……?)


 汗を流す度會の頭の中では、その2択のうちどちらに倒すべきか、早々に得点したことにより上手く切り替えが行えていない。想定では北平戦と同様、良くてギリギリまで耐えての一撃必殺を狙うか、ビハインドからの逆転を狙う作戦だった。いや、度會だけではなく、駒野場DF陣が4人とも、攻撃の圧を強めるか、守備を固めるか、いまいち決めかねる状況へと陥ってしまった。

 こちらがリードしているはずなのに、まるでそう感じない。むしろ、負けているような、奇妙な感覚だ。


「――度會っ!」

「なっ!?」


 決めあぐねていると、自身の目の前までもう相手MFが接近しており、度會は咄嗟に反応し、相手のドリブル突破を阻止、前線にボールをクリアした。


「ナイス!」

「あ、ああ」


 しかしプレイはリアルタイムで進行する。味方からの声掛けに生返事をしつつ、ベンチに助けを求めるような視線を送る。

 鷲田わしだがテクニカルエリア付近まで出てきており、こちらに向かって何かを大声で叫んでいるが、陽光白崎の声援が大きく、上手く聞き取れない。


「監督は何て言ってる!?」

「攻めろって!?」

「守りを固めろじゃないのか!? ワシセンはそう言ってる!」


 DF陣に訊いてみても、相手チームの大歓声に聴力を奪われ、上手く指示を聞き取ることができず、指示が2転3転して伝わってくる。

 

「まずい……!」


 度會の様子を見て、そんなDFラインの混乱を感じ取った三國は咄嗟に、達樹に向けて叫んだ。


「御子柴! 俺は後ろ気味に動く!」

「え!? もう1点狙ってリードを広げるんじゃないんですか!?」

「相手は陽光白崎だ! この状況じゃもう1点は厳しい!」

「俺たち攻撃陣でもう1点もぎ取ってリードを広げれば、余裕が生まれるはずです! 1点差では安心できません!」


 などと、攻撃陣の間でも意思の疎通で乖離かいりが起きていく。

 最終的には先輩である三國の判断で、三國が中盤の深く、アンカーよりは前気味のボランチに入るが、それでも陽光白崎の攻撃の芽を完全に摘むには至らず。

 相手MF陣の鮮やかなパス回しによって、あっという間に前線にボールが渡ってしまう。


「神宮司!」

「……っ!」


 前線で待っていた神宮司へのパスを通され、神宮司はそれを受け取り、反転する。


「決めろっ!」


 陽光白崎のMFの味方からの声を受け、神宮司は駒野場のゴールネットを睨んだ。

 立ちふさがる相手DFは二枚だが、コースはわずかに空いている。


(御子柴……お前にだけは……っ!)


 思い切り振りぬいた右足から放たれた、グラウンダー性のシュートは、DFの永井の股下を通過し、飛び込んだGK原田(はらだ)も、直前でバウンドした軌道を読み切れずに抑えきれず、サイドネットに突き刺さる。

 1-1。あっという間に、陽光白崎が同点に追いついていた。


「くそっ!」


 前線でその神宮司の得点シーンを見つめてしまっていた達樹は、思わずその場で足を強く振る。

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