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セカンドハーフ~夢の後半戦~  作者: ふぉるせ
5章

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112/125

21 駒野場高校 1:0 陽光白崎高校

 達樹たつきが放ったシュートが相手DFの足に当たり、相手GKが反応できないままボールはゴールネットを揺らし、まさかの駒野場高校が1点をリードすることとなった。

 これにはピッチに立つ選手はもちろんの事、ベンチメンバーも大歓声を上げる。


「ナイス御子柴みこしば! やっぱすげーなアイツは!」

「はい! DFに当たって軌道がずれて、相手GKも反応できていませんでしたね!」


 かける遥人はるとが拳を突き出し、喜び合う。


三國みくに先輩のサイドの突破もさすがだった」


 とおるも達樹へパスを供給した三國の突破力を見て、感嘆していた。

 ゴールを決めた達樹はガッツポーズをしながら観客たちにセレブレーションを行い、集まって来た駒野場イレブンに囲まれ、歓喜の輪の中にいた。

 一方で相手ベンチの動きは早い。陽光白崎の監督がテクニカルエリアまで出て、選手を励ましている。


「海藤! 今のはノーチャンスだ! 気にするな!」

「はい!」


 陽光白崎の観客たちも、先制されたにも関わらず、力強く、むしろ失点前よりさらに大きな声援を送り始める。

 その雰囲気も含め、ゲーム内容も、北平の初戦とは全く違ったものだ。


「やりましたね、私たちが前半で先制です」


 神楽坂かぐらざかも別の意味で熱が上がりそうな熱気を宿し、鷲田わしだを見る。


「うん、いいプレイだった」


 鷲田も表情こそ綻ばせているものの、どこか落ち着いていない様子で、腕を組んでぬか喜びまではしていないようだ。


「正直、この展開は予想していなかったんだよな……」


 喜び、口角こそ上げているものの、鷲田がそう呟いたのをベンチメンバーは聞いていた。

 ピッチでは得点を決めてセレブレーションを行っていた駒野場イレブンが自陣に戻っていく最中だ。その途中、ボールをセンターサークル上に設置する神宮司奏多じんぐうじかなたと御子柴達樹はすれ違った。


「ナイスゴールだ、御子柴」

「相手のゴールを祝うなんて、ずいぶんと余裕そうだな?」

「余裕なんかないさ。けど――」


 神宮司はそして、足元にあるボールをじっと見つめる。負けていてもなお声援を送ってくれるサポーター。そして背後の仲間たちは声を張り上げて、逆転を狙うと信じている。ベンチや、選ばれなかったメンバーだっている。彼らの声や存在を、御子柴達樹と言う同じ部活の仲間だった少年のゴールを期に、神宮寺は背後に強く感じ始めていた。


「なんか、もやもやするんだ」

「なんだ、それ……」


 汗をかく達樹が首を傾げるが、その答えはすぐに、身をもって味わうことになるのだ。

 テクニカルエリアからベンチに戻りつつ、陽光白崎の監督が喜びあうピッチ上の駒野場イレブンと、気合を入れ直す陽光白崎イレブンを交互に見つめ、呟く。


「彼らに見せてやれ、強者のサッカーと言うものを」 


 その鋭い視線の先には、この決勝戦の熱にほだされつつある、エースストライカーの姿があった。

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