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セカンドハーフ~夢の後半戦~  作者: ふぉるせ
5章

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14

 翌日、試合前の土曜日はコンディション維持と向上を目的としたリフレッシュ日となっている。午前中で軽めのランニングなど行った後、ストレッチやミーティングで解散。午後からは自由時間となっていたのだが、とおるは私服姿で電車に乗っていた。

 駒野場駅から1つ離れた、白崎駅で降り、駒野場市から比べるといくらか都会の駅前できょろきょろと周囲を見渡す。白崎市は埼玉県北部でも有数の都会街であり、駒野場市と比べても駅前を中心に大きな建物が目立っていた。


「あ、涼宮すずみやくん!」


 手を振りながら声を掛けてきたのは、同じく私服姿の雪乃遥人ゆきのはるとだ。

 透は耳からワイヤレスイヤホンを外し、遥人と合流した。


「お待たせ。蓮見はすみ御子柴みこしばは?」

「自転車で一緒に来るみたいですよ。現地集合ですし、僕たちも現地に行きましょうか?」

「うん」


 二人は駅前のバス乗り場でバスに乗り、かける達樹たつきと合流するためにとある場所に向かう。目的地は、白崎市にある、白崎ショッピングモール。明日の試合を前に、サッカー用の備品を購入してくる役目を担っていたのだ。

 事の発端は、前日の練習の時から。体調不良となってしまったマネージャーの神楽坂かぐらざかが土曜の朝もコンディション不良でお休み。直後に備品の不足が直前になって発覚してしまったため、1年生の四人が代わりに買いに行くことになったのだ。


「神楽坂マネージャー、心配ですね……」

「普段から物凄く忙しそうだからね」

「完璧超人に見えますけれど、あの人も人間ですから、風邪もひいちゃいますよね……」


 バスに乗るのは久しぶりだと思いつつ、途中でお年寄りが乗ってきたため、二人は席を譲って立って吊革に掴まっていた。


「そう言えば、猫芝ねこしばけまりさんの最新動画、知ってます?」

「どんな動画?」


 おもむろに遥人がスマホを取り出し、またしても興奮気味に言っている。


「タイトルがなんと、打倒、陽光白崎高校! 駒野場イレブンが勝利するには!? ですって! 絶対僕たちの味方ですよね、猫芝けまりさん!」

「……ずいぶんと、駒野場寄りなんだな、その人は……」


 こういうのって普通公平に見るものなのではなかろうか……と、透は思う。しかし内容は気になる。後でいいねしておこうと思う、透であった。ちなみにチャンネル登録は数日前にしれっと済ませている。

 やがて二人を乗せたバスは、白崎ショッピングモール前のバス停で停まる。席を譲った高齢者からお礼を受けつつ、二人は太陽の日差しの下、バスから降りた。

 土曜日の昼下がりとあって多くの車が停まっており、人も家族連れやカップルなどで多い様だ。ショッピングモール併設の駐輪場に向かうと、見慣れた二人がこれまた私服姿で自転車に跨っていた。


「涼宮、雪乃! 待ってたぜ!」

「しっかし春なのに暑いな、今日は……」


 翔と達樹と合流し、四人は揃ってショッピングモールへと入る。お目当ては、スポーツ用品店だ。

 

「てか腹減ったし、とりあえず飯食わね!? どこ行く!?」


 早速、翔がそんな事を言い出す。


「来たばっかだろう……」


 達樹がやれやれと窘めるようにして言っているが、昼過ぎてお腹が空いており、なんだかんだ男子高生4人が揃えばいったんは腹ごしらえするのはなんとやら、だ。

 ショッピングモールの中にある、リーズナブルなイタリアンチェーン店、シャイゼリアに向かう。


「あ、並んでますね……」

「休日だし昼時だし仕方ない」


 店の前にまで列が伸びており、遥人と透が言い合う。


「これくらいだったら並ぼうぜ?」


 翔がなんともなさそうに並びだし、残りの3人も同様に並ぶ。

 ひとつ前の列に並んでいる人はカップルだろうか、同年代の男子と女子だ。そのうち、男子がちらりとこちらに振り向いた瞬間、思わずと言った様子で目を見開いていた。


「――え、御子柴か?」

「ん? じ、神宮司じんぐうじ!?」


 なんと、前に並んでいたのは陽光白崎の怪物、神宮司奏多じんぐうじかなたであった。怪物とは言っても、すでに動画では見ていた通り、何の変哲もない、ただの好青年の風貌であるが。

 ――達樹曰くその実は、サッカーに愛されながらも、サッカーを嫌う少年だ。

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