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セカンドハーフ~夢の後半戦~  作者: ふぉるせ
5章

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101/109

10

 その日のチームとしての全体練習は終了した。全体練習後もピッチに残って自主練習をする者や、用事があって帰る者、寮室でリフレッシュしたりも、その人個人の自由時間だ。

 

「くそっ」


 一度意識してしまうと、どうしても奴の姿がフラッシュバックする。

 御子柴達樹みこしばたつきは居残り練習を続け、足の感覚がなくなりかけるほど、ドリブルやシュートの練習を繰り返していた。

 シュートは狙ったところに思い通りに飛んでいかず、ドリブルも落ち着かない有様だ。

 ピッチの外で足のストレッチをしているとおるかける遥人はるとは、並々ならぬ気迫を宿す達樹に、どうしたものかと顔を見合わせていた。


「御子柴」


 同じように居残りで練習を続けていた度會わたらいが、見かねて声を掛けてくる。


「度會キャプテン……」

「今日はもう上がれ。ゆっくり休むんだ」

「でも……」

「キャプテンの命令が聞けないのか? 生意気な後輩だな」


 そう笑いかける度會は、大きな手で達樹の汗だらけの髪をくしゃくしゃにしていた。

 うわっ、と達樹は逃げるように身体を後退させ、思わず笑みを浮かべていた。

 そんな微笑ましい(?)やり取りを遠くで見つめ、1年生たちはひとまず安心すると共に、流石キャプテン、さすきゃぷだ、等と語り合っていた。


「やっぱ、同じ中学って意識するものなのかな」


 足を伸ばしている翔が誰にでもなく呟いてる。


「思えば僕たち、御子柴くん以外はみんな中学サッカー部じゃないですもんね……」


 遥人がそう言えばと答えていた。


「確かに。卓球部の友だちがいきなりサッカーやり始めたら、俺は正直、びびる」


 透がぼそりと言っていた。

 そんな3人の近くでは、三國みくにが自分のスパイクを履き替え、そっとスパイクについていた汚れを掃除している。


「そう言えば三國先輩って、昔からめっちゃサッカー上手かったんですか?」


 翔がそんな三國に尋ねると、三國は視線をこちらに向け、


「どうだろうな。昔から度會わたらいと一緒に遊んでたけど」

「度會先輩と同じ中学だったんですか? 中学時代の話、興味あります!」


 中々三國とこうして話す機会が今までなく、ここぞとばかりに遥人も三國に聞いていた。

 三國はいつも通り落ち着いた様子で、スパイクを熱心に磨きつつ、


「中学どころか、小学校と幼稚園から度會とはずっと一緒だった。幼馴染って言うのかな。高校も同じところに入って、一緒に大会出ようって言ってたんだ」

「幼稚園からずっと一緒なんですね! お家が近いとかですか?」

「ああ。実家が隣同士なんだ。隣人ってやつかな」

「すごい。それが今同じチームでサッカー続けてるってもう、運命ですね!」

「まあ、俺が度會におんぶにだっこみたいなもんだけど」


 遥人が両手を胸元の前でぎゅっと握り、興奮気味に言っているが、三國は腐れ縁ってやつかなと、クールにスパイクに息を吹きかけていた。その口角が上がっており、満足いく仕上がりの様だった。

 ……その、一方で。


「隣人か……。隣の、人。……あ……」


 何かを思い出したような透が、愕然としている。


「ん、どしたの涼宮?」

「トイレか?」


 翔と三國が揃って透を見ている。

 ……()()に用があることを、ド忘れしていたのである。

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