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黄泉人の妻〜出会ったその日にアチラ側の住人の妻になりました〜  作者: mai


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第51話 作戦会議

隼人隊の屋敷の外にて

門の前で1人菊理の帰りを待つ人物がいた――嗣臣だ


空は暗がり始め、星がぽつりぽつりと煌めきを放っていた


すると門が開き、中から幸が姿を現した


「……中に入られては?今日はもうお帰りにならないのかもしれません」


「いや、もう少しここで待つ」


幸の方には目を向けず、正面を見たまま嗣臣は答える


その様子を見た幸は思わずぽつりと呟いた


「愛しておられるのですね、菊理様を」


「……いきなりなんだ」


「いえ、純粋に関心したのです。そこまで想う事の出来る相手がいるというのは、素晴らしいなと」


率直な感想を述べた幸だが、嗣臣は思いがけない褒められ方をされ、眉をひそめた


「茶化されているようにしか感じないのだが」


「茶化してなどいません。俺にはまだ、その感情が分かりませんから」


そう言って幸は空を見上げる

空は先程よりも暗くなり、月が輝き始めていた


すると遠くから明るい声が響き渡った


「嗣臣さーん!」


嗣臣が顔を上げると、遠くから福に乗った菊理が元気よく手を振っている


「菊理!」


嗣臣は思わず声を上げ駆け寄った


菊理は福の背から降りるとぺこりと頭を下げた


「すみません。遅くなりました」


「大丈夫だったか?何かやけに汚れているが…」


菊理の髪が乱れている事や、衣服が土で汚れている事に気が付いた嗣臣は、不思議そうに尋ねる


すると菊理は少し照れた様に笑い、口を開いた



「あ、ちょっと地面を這ったり福ちゃん追いかけ回したりしたので……でも怪我はしてません!」


「ならいいが……」


相変わらずな菊理の様子に、若干呆れつつも納得していると、嗣臣達の元に追いついた幸がスッと前に出た


「菊理様、お疲れ様でした。それでは一度身なりを綺麗にしましょう。お話はその後で」


幸に促され、菊理は屋敷へ入っていく


暗がりの中、屋敷の灯りが3人を温かくつつみ込んでいた


――――――――――


それから数時間後


辺りはすっかり暗くなり、静寂に包まれた屋敷でぼんやりと灯りが灯る一室があった


屋敷の一室では、海、幸、嗣臣、道之、そして菊理の五人が円を描くように座っていた


「――――それでは、賽河の計画阻止の為の作戦を考えましょうか」


幸が本題を切り出すと、最初に口を開いたのは道之だった


「まずは月彦をおびき寄せるなきゃなんねぇな。それと同時に一般人の避難も同時に行わねぇと。俺ら以外の黄泉守人にもやらせるが、もう少し人手が欲しいな」


「それは俺らも引き受ける。賽河をおびき寄せるのを俺と幸の2人でやって、残りの隼人隊は黄泉守人達と共に一般人の避難誘導に費やす」


海は迷わずそう言い切ると、幸も小さく頷いた


「問題は何処に賽河をおびき寄せるかですが―――」


「それは俺が決めよう。適した場所を知っている」


幸が課題を言い切る前に、嗣臣が名乗り出た

皆の視線が嗣臣に注がれる


「分かりました。ではそこへおびき寄せた後、兄者とその空間に結界を張り、閉じ込めましょう」


「月彦との対戦は俺と嗣臣とでやる。後はどのタイミングで菊理を介入させるかだが―――」


「………あのぅ」


各々意見を出し、作戦の骨子が出来上がっていく矢先、今まで傍観していた菊理が手を挙げた


「どうした菊理?」


「それなんですけど……こういうのはどうでしょうか?」


そう言って提示された意見に、皆目を見開いた


「………お前それ正気か?」


「はい。でもそれが一番、月彦さんの不意を付けると思います」


信じられないと言わんばかりの視線を向ける海に対し、菊理はハッキリと答える

そこに迷いは無いようだ


すると意思の変わらぬ菊理の様子を見ていた嗣臣が、静かに口を開いた


「………分かった。その手で行くとしよう」


その発言に幸が心配そうに尋ねた


「よろしいんですか比良坂様。菊理様を危険に晒すことになりますよ?」


「……今は菊理を信じる。だが菊理」


嗣臣は菊理を真っ直ぐ見つめこう告げた


「もしもの事があったら、俺が月彦を殺す。良いな?」


「………はい」


菊理は静かに返事を返す


こうして来たるべき決戦に向け、各々は決意を固めるのだった

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