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黄泉人の妻〜出会ったその日にアチラ側の住人の妻になりました〜  作者: mai


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第41話 交渉決裂

「わ、私を隼人隊で預かる………?どうしてです?」


菊理は相手の狙いが分からず戸惑いながら尋ねると、幸が静かに口を開いた


「菊理様の力は現世と常世の在り方を変えてしまう可能性がある。現に賽河月彦にその可能性を見いだされ、目を付けられています。ですから最悪の事態になる前に、こちらで保護したいのです」


「断る。そんなものは必要ない」


菊理が発言する前に、嗣臣が間髪入れずに答えた

しかしそれに動じる事なく幸は発言を続ける


「我々の目的は菊理様の保護だけでは無いのです」


「どういう事だ」


「我々は賽河月彦を、菊理様の力をもって常世に封印するつもりでいます」


「封印だと!?」


その発言に、場が一斉にざわめき出す

菊理も自身がこの争いの鍵となっている事に驚き目を見開いた


「賽河月彦は危険です。元々負の力を持つ彼が、それに飲み込まれた時、最早我々では手に負えないかもしれない。その前に、菊理様の繋ぐ力で常世に括り賽河を動けなくさせるのです」


「おいおいちょっと待て!確かに菊理は繋ぐ力を持ってはいるが、力の大きさによってはそれを身体が受けきれねぇ体質だ!下手したら死んじまうかもしれねぇぞ!?」


リスクのあり過ぎる話に、道之が焦ったように割って入るが、幸の表情は変わらない


「それは承知の上ですよ大神様」


「は?」


「察しが悪ぃな。ならハッキリ言ってやろうか?」


すると今度は海が割って入ってきた

そして菊理を睨見つけながら指を差し、こう言った


「つまりこの嫁の命犠牲にしてでも、賽河を封印するっつてんだよ!この世界の安寧の為に、コイツには人柱になってもらうんだよ!」


「なっ………!」


「そんな………」


些か倫理に反した計画に、再び場が大きくざわめいた

『人柱』として見られていたと知った菊理は動揺を隠せないでいた


「……ならば尚更断る。そんな事許可出来る訳ないだろう」


「落ち着いて下さい。何も最初から人柱前提の話ではないのです。菊理様の力を見定めつつ、それからどうするのか決めていく―――そのつもりなのです」


「だが、菊理の命を犠牲にするしかないと判断したらそうするのだろう?」


嗣臣の問いに、幸は沈黙を貫いた

しかし、逆にそれが問いの答えとなっていた


「そんな危険な賭けに乗るつもりは無い。菊理は俺の大切な妻だ。お前達の道具ではない」


「嗣臣さん………」


嗣臣の強い意志と思いに、菊理は胸が締め付けられた


「お待ちください。菊理様を犠牲にする方法以外を、現在考えて――――」


「もういいじゃねぇか。幸」


尚も説得を試みとする幸を遮るように、海が止め前へ出た


「まだるっこしい話は止めだ。何が何でもこの嫁を隼人隊が貰う」


「待て兄―――」


幸が止める間もなく、海が手を上げ合図をだした

すると、隠れていた隼人隊が一斉に姿を現した


「なっ!?」


「お前等!比良坂の嫁を捕らえろ!命がありゃどんな手を使ってもいい!」


海の怒号が響き渡ると、隼人隊が一気に雪崩込むように動き出した


「させるか!」


大神が前に出て応戦する


「隼人隊を追い出せ!」


嗣臣が叫ぶと、黄泉守人達も一斉に動き出した


怒号と衝突が響き合い、場は戦場へと変わっていった


「わっ!」


大混乱の中、その隙に身を隠そうとした菊理が足を取られよろめいた


すると目の前に隼人隊の1人が立っていた

身体が反応する間もなく、菊理の額に手をかざされた


「あ………」


意識が遠のき、菊理はその場に崩れ落ちる


「菊理!」


嗣臣が気づいた時には、既に菊理は隼人隊に抱きかかえられていた


「よし!お前等ズラかれ!」


海の指示が響き渡ると、隼人隊は一斉に引き揚げていく


「菊理―――!!」


嗣臣の叫びも虚しく、菊理は連れ去られていった

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