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黄泉人の妻〜出会ったその日にアチラ側の住人の妻になりました〜  作者: mai


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第37話 誓い直し、そして

――あれ?また真っ暗な場所?


寿美さんを助けて………私その後どうしたんだっけ?


……ああ、そう言えば天鬼ちゃんに抱きかかえられていた気がする


でも身体が動かせなくて……凄く眠たくて、でも寝たらいけない気がして、必死で我慢して……


そう言えば嗣臣さんと月彦さんが、何か言い合っていたな………


嗣臣さん凄く悲しそうな顔してたけど……月彦さんも寂しそうだった………

大丈夫だったのかな――――



―――――――――――――



「―――――ん」


菊理が目を覚ますと、そこは比良坂邸の寝室だった


「菊理!」


すぐ傍から名を呼ばれ、視線を向けると嗣臣が心配そうに覗き込んでいた


「嗣臣さん……私」


「また霊力の使いすぎで身体に負担がかかったんだ。大丈夫だったか?」


「あ、はい………あ、あれ?」


菊理は驚いて目を丸くした


試しに身体を動かしてみると、何の問題もなく身体が動いたのだ

難なく起き上がれているこの身体に、菊理は戸惑いを隠せない


「身体が………動く!どうして!?」


「………月彦がこういう時の為に、緊急薬を作っておいてくれてたんだ。効果はあったようだな」


「そうだったんですか………今度お礼を言わないといけないですね!」


そう言って笑顔を嗣臣に向けると、嗣臣は顔を背け、口ごもった


「…?嗣臣さん?どうしたんです?」


「あ……いや、気にするな」


菊理は何かを隠しているような嗣臣の態度に首を傾げた


するとその話題をきり上げるかのように、嗣臣が再び口を開いた


「………そういえば。寿美の魂を、救ってくれたそうだな。最期に寿美と話すことが出来た。ありがとう。俺1人では救ってはやれなかったと思う」


「いえ、そんな………。前に道之さんが、この能力を磨けば精神世界にまで干渉出来るかもって言ってたの思い出して、無我夢中でやったんです。結果、自爆しちゃいましたけど………」


やや自虐を交えつつ、照れくさそうに菊理が言うと、嗣臣は首を振る


「いや、菊理はよくやってくれた。……俺は自分が情けない。産まれながらに家柄に恵まれ、強い霊力を持ち、長年それを自負し自分の使命を全うしているつもりだったが、本当に大切な物は何一つ救う事が出来なかった………俺は何の為に存在し、何の為に力を奮うのか、その意味さえ分からなくなりつつある」


「嗣臣さん……」


思い詰めたように下を向き、珍しく弱音を吐く嗣臣を見て、菊理は戸惑った


――やはり寿美の事以外で、あの時何かあったのだ


そう静かに悟った


少し迷いつつも、菊理は言葉を続けた


「……嗣臣さんが何に悩んでいるのか、よく分からないけど……全てを救うなんて事、神様でも出来ないですよ。全部救おうと思えば、代わりに他の何かが犠牲になる……世の中そうなってるんだと思います」


言葉を選びつつも、嗣臣の心が軽くなるような言葉を菊理は一生懸命思い浮かべる


「そのぅ……あの、もし、嗣臣さんがもう駄目だー!って思ったら、私を頼ってください!気の利いた事は出来ないけど、話を聞くくらいなら出来ます!だから…1人で抱え込まないでください。どんな時も私がいますから」


真っ直ぐな気持ちで言い切り、少しぎこちない笑顔を見せる菊理に、嗣臣の心が少し解れる


「………そうか」


短く呟くと、おもむろに菊理を抱きしめた


「わっ……」


「すまない……菊理がいてくれて良かった」


すると抱きしめていた腕を緩め嗣臣は菊理を真っ直ぐに見つめた


「………ここまで来て今更かもしれないが、菊理に伝えたい事がある」


「……何です?」


「改めて――俺の妻として一緒に居てはくれないだろうか。形だけでは無い、正式な夫婦として、共に歩んではくれないだろうか」



嗣臣による正式な申し込みに、菊理は一瞬目を見開き、そして笑顔になる


「―――はい!勿論です!」


そう答えると、嗣臣の表情が和らいだ

そして、2人の距離が近づき唇を重ねた


最初は重ねるだけの軽いものだったのが、少しずつ深いものになりーー2人は布団に倒れ込むように沈み、身を重ねた

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