小話 大神道之の語り
番外編。道之目線の話です
俺は大神道之
先祖代々黄泉守人を担ってきた名家の1つ、大神家の当主だ
その繋がりで嗣臣ともよく絡むことが多い
ある日その嗣臣が『嫁の霊力が開花したのでその強化訓練をしてほしい』という文が届いた
…………いや、ていうかまず俺にその新しい嫁紹介しろよ!
1ヶ月前いきなり結婚したとか言ってきたっきり、それ以降音沙汰無しじゃねぇか!
俺、お前の元義兄だぞ?
寿美だって草葉の陰で泣いてらぁ!
………まぁそんなこんなで嗣臣の屋敷に出向いたって訳だ
庭を見たら丁度使用人がいて声かけたら、まさかのそいつが新しい嫁だったわ
化粧っ気の無い、芋みてぇなやつだった
磨けば少々化けそうな感じではあるが……寿美には敵わねぇな
可もなく不可もなくってとこか
で、その新しい嫁――菊理の修行に付き合ったんだが、どうも嗣臣と菊理との距離感に違和感がある
一瞬、割り切った契約結婚っていう線も考えたんだが、それにしちゃあ嗣臣は菊理に甘いし、菊理も満更じゃ無さそうだ
じゃあなんでそんな微妙な距離感になる?と疑問に思ったが、すぐピンと来た
あいつ寿美の事を気にしてんな、と
嗣臣は過去の落とし前つけなきゃなんねぇとか無駄に真面目に考えるからな
そんなもん気にしなくたって良いのによ
もう寿美が亡くなってから10年だ
嗣臣が新しい嫁もらうのを、寿美が怒るわけねぇ
あいつはそういう奴なのによ
それに菊理の立場はどうなる?
今の嗣臣の態度は、菊理を蔑ろにしているようなもんだろ
そう思ってつい、嗣臣に苦言を呈したわけだったが―――――
菊理を見ていると、それは杞憂だったかもしれねぇと思えてきた
地味でおっちょこちょいだが、いい意味で楽天的で面白い奴だ
あいつなら嗣臣と良い夫婦になれる
そんな気がしてきた




