なんでも食べてみる
「ギャハハ! クレアも能無しになっちまったのか! こいつは笑える!」
ジャックとその両隣に知らない奴が2人立っていた。エルフ族の男とドワーフ族の女、両方現地人だ。ジャックは冒険者ギルドでもう新しい仲間を見つけたようだ。
──迂闊だった。ジャックもこの町の近くに転生していたのか。今はまだ会いたくなかった。下手すりゃやられるかもしれない。こいつは仲間にしょっちゅう手合わせを申し込んでいたくらい好戦的なやつだ。クレアも嫌な気持ちみたいだ。ずっとうつむいて俺の後ろに隠れている。
身構えてる俺たちを見てジャックは言った。
「安心しろや、流石に町中じゃイジメねえよ! それに勘違いしないでほしいが、俺はお前をやる気はねえ。むしろ生かしといてやる」
「俺のこと嫌ってるもんだと思ってたけどな?」
「ああ、気に食わねえよ。それはそっちも同じだろうが」
「お、俺は──」
「マスター、見てろ! 俺はこの世界でまた成り上がってやる! お前はそれを底辺から見届けるんだよ」
ジャックはそう言って不敵に笑った。
「マスター、クレア。そろそろ冒険者講習の時間だぞ? 行かなくていいのか? 俺は今からSランククエストに行ってくるからよ。じゃあな!」
「ちっ、行くぞクレア!」
俺はジャックの顔を見るのが耐えられなくなり、足早にその場を離れた。ジャックの連れていた仲間は相当強そうな感じだった。そんなヤツらを率いているということはジャックも相当強いということだろう、スキルガチャに恵まれたようだ。
「あいつ一体どんなスキルを手に入れたんだ」
「ねーねー、マスター。私たちもクエスト受けたほうがいいんじゃない? 最低ランクのクエストならいけるんじゃないのかな?」
「今更スライム狩りから始めろってか? やってられっかよ。それより俺に考えがある!」
「なにそれー? 仕方ないじゃん。私たち本当に初心者並になっちゃったんだし! 低クエストからやるべきだよ!」
「まあ、たぶん大丈夫だから見ててくれ」
そういって俺はクレアを連れて町のゴミ捨て場に向かった。ゴミ捨て場に行けば何か有用な物が落ちてるんじゃないかと思ったのだ。現実だと有り得ないが、異世界だからゴミ山の中に宝物が埋もれている可能性はある。
ゴミ捨て場は、町の中心部からかなり離れた、東門のそばにある。あまり人の寄り付かないスラム街のような場所の奥にあった。ここには町中で出たありとあらゆるゴミが集められる。
「町の中心部と比べてかなり寂しいところだな」
「なんか、怖いところだね。ねえ、道路脇に寝てる人たち、薬物中毒者かな?」
「恐らくな、目を合わすなよ」
前世でもこのような場所はいくらでもあったので、そこまで警戒しなかったが、そういえば今は能力も装備もまだ弱い状態だったのだ。一応注意を払いながら奥にあるゴミ捨て場に進んだ。町の中心から歩いて30分くらいかかった。
ゴミ捨て場に着き中に入ると、ものすごい異臭が鼻を突いた。意外なことに4人ほど人がいるのが見えた。ゴミの分別、焼却作業を行っている者たちだろう。コチラには気づいてないようだったので入ったことはバレなかった。さっそく人目につかない裏手の方へ周った。
「ねえマスター、どうするの?なんかいい物が落ちてるようには見えないけど!」
「それはまだわからねえ! じゃあちょっと行ってくるからよ、隠れてて待っててくれ!」
そう言って俺は服を脱いで下着になりゴミ山へダイブした。
エルフ族
人間と似た背格好で、耳が長く、色白、碧眼、金髪などの特徴を持つ種族。
森の賢人と呼ばれ、自然を愛し森を守る。
戦闘においては弓や魔法を得意とする。




