サイクロプス
結局クレアはスキルブックが無くても魔法は使えたみたいだ。スキルブックは単なる説明書のようなもので、肝心なスキルは体に宿っていたようだ。
「いやあ頼もしい、彼らの大魔法の殲滅力があれば今回の作戦は大成功間違いなしだろう」
「エルガンドさん! そんな危険なフラグ立てる様なこと言わないでください。慎重に行きましょう」とメンバーの誰かが注意した。
こうして夜になってから俺たちは出発した。
サイクロプスの目撃情報が多い地点に差し掛かった時、急に霧が濃くなって視界が悪くなった。
「ねえねえ、なんかどんどんヤバい雰囲気になってきたね」
と言って後ろからクレアが声をかけてきた。
「この視界の悪さじゃサイクロプスだって見えないんじゃないか? 案外出てこないかもな」
「いや、サイクロプスは一つ目であるがゆえに、実は目にはあまり頼らないんだ。鋭い聴覚を頼りに獲物を倒したりするらしい」
リーダーのエルガンドさんがそう忠告する。
「……。じゃあ今の状況って私たちだけが不利じゃない」
その時、周りからうめき声が聞こえたかと思うと周囲をサイクロプスに囲まれていた。
サイクロプスたちは全員5mほどの大きさで笑いながら、大きな丸太をまるで木の棒のように振り回している。
「ひいいいぃぃ、出たああぁ」
メンバーの一人がさっそく叫び声をあげる。他のメンバーもたじろいでいる。やはりこいつらには荷が重い相手か。
「えーっと、全部で六体か。クレア! お前、後ろの三体やれるか?」と言って振り返ると、上空から隕石が落ちてくるところだった。どうやらクレアはもうスキルを使ったらしい。
「うぉ! はや!」
サイクロプスたちの体の半分ほどもある大きさの隕石が次々落ちてくる。
そしてサイクロプスたちの体を直撃していき、奴らはバラバラに砕け散っていった。
最後に残った一匹が俺の方に向かってやってきた。
相手の振り回した丸太をなんなく躱して、俺は魔法を唱えた。
「暗黒隕石」
手をかざして唱えると、いつもなら空から降ってくるはずの隕石が手の平から飛び出してサイクロプスに当たって粉々にした。
「すげ、こんな使い方もあるのか」
大魔法を手の平から放出するというのは見たこともなかったが、どうやら実践の中でスキルがレベルアップしたようだ。
「きゃー!」と叫び声をあげるクレア。
彼女の声で振り返るとそこには、先程のヤツらよりも、もっとバカでかいサイクロプスが一匹いた。全長20mはあろうかというとんでもないサイズの親玉だ。右手にバカでかい斧を持っている。
「なんだこいつ! まだこんなのがいたのか」
俺たちがあっけに取られてる間に、そのサイクロプスは斧を持ち上げて、振りかざしてきた。




