イベント大歓迎だぜ
「いやー、俺たちは落とし物を探しに来たんだけどさ。見つかんなくてどうしようかと──」
「ウソをつけ!お前裸じゃないか!本当は何をしていた!何者だ!」
四人の男たちは、それぞれ手に鉄パイプを持っており、明らかにこちらに敵意を向けている。
俺はクレアを守ろうと必死に頭を回した。どうする。暗黒隕石を使えばこいつらは一掃できるだろう。ただしそれはやりすぎだ。殺してしまう。町中でそんな被害を出せばお尋ね者になるに違いないし、俺だけならまだしも何の力もないクレアを巻き込むわけにもいかない。
「暗黒隕石」
──結局使った。だがそれは後ろのゴミ山に向かってだった。
「ギャアアア、隕石だあああぁぁ!」
「うわああああぁぁ」
俺たちを取り囲んだ作業員たちは、突然の隕石の落下に仰天し、パニックになった。
俺は、そのすきにクレアの手を引いて走った。しかし作業員の1人が気付いてクレアに向かって鉄パイプを振りかざした!
「危ない!」
とっさにクレアをかばった俺の顔面に鉄パイプがヒットし、ガギン!と鈍い金属音が響き渡る。
──嫌な音がしたが、なぜか痛くはない。恐る恐る目を空けると、目の前の鉄パイプはグニャリと曲がっており、作業員は震えていた。
「ば、化け物だ!」
「行くぞ!」
作業員たちが怯んでいる間に、俺たちは走ってその場を後にした。
「ハァハァ、ここまで来れば大丈夫か。」
俺たちは10分ほど必死に走りスラム街の入口付近まで戻って来た。しかしさっきのはやはり金属を食べまくったおかげだろうか。鉄パイプで殴られても全くダメージがなかった。
「マスター、服着なよ……てか置いてきた?」
「服取ってくる暇無かったよ。なんとか逃げ切れたのはいいがこのままじゃ町の中心部までは行けないな」
「あんたら、なんかやらかしたんか?」
小汚いホームレス風の男が話しかけてきた。目付きが鋭い。クレアはそれとなく俺の後ろに隠れた。
「さっきのゴミ山のほうの爆発は、あんたらの仕業か?男のほうはなんでパンツ一丁なんだ?」
「いやあ、なんだろうな?そういえば大きな音がしたかな?俺たちは関係ないぜ?」
俺はすっとぼける。それにしてもみすぼらしいおっさんだ。こんなやつが話しかけてくるってことは俺も同じように見えてるってことだよな。早く服を調達しなければ、裸一貫でいるべきじゃないな。
「くくく、まあいいや。言いたくねえなら、その代わりオレのことも詮索せずに話だけ聞いてくれよ」
このおっさん、小汚いが元々の身なりはしっかりしている。ボロボロで汚れてる服だが、貴族とかが着るような品のいい服に見えた。なんか期待できるかもしれないな。
「なんか頼みでもあるのか?悪い顔してるよな、おっさん」
「ひひ、頼みを聞いてくれよ、あんたら転生者ってやつだろ?」
今はこの手の話は大歓迎だった。ヤバい橋を渡ることによって得るものは大きいことを俺は知っていたからだ。
「さあどうかな?しょうがないから頼みは聞いてやる、なんだよ?」
肉体硬化
硬い鉱石や金属を体内に取り込むことで、肉体を鋼のように硬質化できる。ただし新陳代謝によって効果は薄れてしまうため、定期的に摂取していないと何日かして元に戻ってしまう。




