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大樹の影には  作者: 稲葉 鈴


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5-1.錬金術師のギルドに泊まろう

 中級傷薬の水薬を納品した時にちらっと外を見たら、まだ夕方だった。夕飯にも早いくらい。


 だから借りている工房に戻って、中級の傷薬をもう一回作る。ボーセン草の茎を切ってすりおろして粉にする。カディオ草の根っこを同じように切ってすりおろして粉にする。お鍋に水を入れて水を僕も飲んで、火を入れて混ぜる。まず鍋に入れるのはボーセン草の方で、沸騰したらカディオ草を追加投入だ。ボーセン草は水の状態から煮立てて、カディオ草は沸騰してから入れるのがコツなんだそう。そんなこと、レシピブックには書いてない。書いておいてあげればいいのにと思うけれど、もしかしたら師匠が見つけた情報かもしれない。


 お鍋の火を止めて蓋をしたら、夕ご飯に買ってきたハムとチーズのサンドウィッチを食べて。貰って来た商品リストを眺める。


 ボドワンの町の近くにある、ケロールの森にある自宅に帰ったら、初級傷薬の塗り薬と、中級傷薬の塗り薬を作る必要があるからだ。


 塗り薬を作るには、流石に森の素材だけではどうにもならない。いやどうにかは出来るんだけれど、面倒くさいから買った方がいい。油と蜜蝋なんて、作りたくない。


 作るには今使っている手鍋がいいと思うから、鍋の買い替えについては塗り薬は不要。木べらとかだって、今使ってる奴でいいから。油も蜜蝋も、前買った奴が残ってるし。多分。師匠が使い切ってなければ。


 だから、ええと。他には特に買って帰るべきものはないかな。


 サンドウィッチを食べ終えたので、購買に行くことにする。お土産を買うのだ。



「鍵よ鍵。いいというまで、誰も入れないで」



 他に誰かがいる気配はないけれど、他に誰かがいないということもないので鍵はかけておく。そうしてって、ギルドの受付の人にも言われたし。一応ね。今この部屋には結構なお値段のお薬があるからね。


 冷まし中だけれど。


 階段を下りて左側、ギルドの購買に行ったら、お昼ご飯を売ってくれた推定オレリアさんはいなくなっていた。今受付にいるのは男性だ。



「なにかお探しかい」

「明日帰るので、お土産を」

「どこよ」

「ボドワンです」

「じゃあ茶葉か焼き菓子だな。豆菓子や干物もいいが、まあ大体はそっちでも買えるだろ」



 カウンターから出てきた男性は、一緒に店内を見て回ってくれるようだ。もしかしたら、見たことのなかったあのお茶も、ボドワンの町でも取り扱いはあるのかもしれない。


 まず向かったのは茶葉の棚だ。甘い飲み物をもうちょっと買い足すか少し悩んだけれど、今日はもういいかな。明日と明後日の道中用に買っていこうかな。でもそれは多分、明日の朝でいいはずだ。



「家にお客さんが来るならこれ」



 そう言っておじさんは紅い箱に入った茶葉を渡してくれた。カニャールって書いてある。箱の裏を見たら、淹れ方も書いてあった。これはありがたい。



「土産として人に配るなら、これだな」



 シャンブルーって書かれた黒い大きな箱を渡された。なんでも、この中に五つの小箱が入っているという。じゃあそれを二つ……いや念のため三つ買っていくことにする。何人にご挨拶するか、ちょっとすぐには思い浮かばなかったので。


 余ったら、家で飲めばいいし。大箱あげてもいいし。



「焼き菓子は、明日の朝はいるからそれをオレリアに相談すればいい」

「はい」

「カウンターの所に大袋と小袋が並ぶから、自分用はそこ。土産用なら箱に入れて貰えばいい」



 あとはそうだなあ、と、棚を歩きながら考える。僕はついていくだけなんだけど。



「魔法のバッグがあるならもうちょいはいるな。干菓子はもう今日買ってもいいだろう」



 干して作った甘いお菓子のことである。紅茶よりはそっちの方が喜ばれるかもしれない。まあ、ちょっとお高い紅茶とお安い干菓子は、同じくらいのお値段がする。高いよね、お砂糖。



「小魚とナッツがおすすめだな」

「それは師匠が喜ぶので大袋二つくらいください」



 僕も食べるので二つだ。まあ僕の分だと主張しても半分くらいは師匠に食べられるんだけれど、これだけあれば僕もそこそこ食べられるだろう。師匠は美味しいものが大好きだから、僕の分まで食べてしまう。別に困ってないからいいんだけど。


 思っていた干菓子と違ったけれど、これはこれで買う。日持ちするし。師匠喜ぶだろうし。


 甘い方の干菓子は大箱というものは存在しない。小さい箱にお行儀よく入っているものを一つ……二つ……いや四つ購入する。使うかどうかは分からないけれど、誰かが来たときのおもてなしにもいいだろう。


 来ないんだけど、ヒト。


 お会計は明日の清算時に一緒にして貰うことになった。


 ざっくり計算して貰ったけれど、今日ここに到着したばかりの僕だったら、どれも手が出ないお値段だ。いや、頑張れば、一個ずつなら……? とか言いかねない。高い。紅茶も干菓子もお高い。


 それでも無料で工房を貸してくれて、傷薬を買い取ってもらえたので、何とかなった訳だ。とてもありがたい。

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