↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
60/157

60 『眷属』化の理由


 あわわわわわ、ウィルが食べられちゃうよ……!!!


「大丈夫だ、ララ」

 

 いつの間にか、すぐ側に来ていたハティに腰を支えられる。


「大丈夫って!? あれのどこが大丈夫なの!」


 NHKのアフリカ大陸特集で、ヌーを食べる巨大蛇を見たことがある。大蛇はヌーの体を絡め取り、締め上げ、殺してから丸呑みするのだ。

 ウィルの体を絡め取った巨大な白蛇が、その時の映像とリンクする。


 イヤ─────っ!!!

 

 ウィルを助けるため、走りだそうとしたその時。


「きゃはははは!」


 ウィルの楽しそうな笑い声が聞こえた。


 その笑い声を合図にするように、巨大な白蛇がウィルから離れた。チロチロと赤い舌を出しながらウィルにじゃれる様子は、「褒めて」と言っているようだった。


 これ、は………


「びっくりしたぁ?」


 無邪気に駆けてくるウィル。私は夢中で抱きしめた。


「びっくりなんてもんじゃないよ! もう、ウィルが食べられちゃうかと思ったじゃん! はぁ、まだ心臓がドキドキしてる……」


「姉さま?」


 私の顔を覗き込んだウィルが息を呑んだ。


「ごめんなさい。姉さま、なかないで」


 泣く? 本当だ、涙が出てる。たぶん、安心したんだと思う。


「ごめんなしゃ……」


 う、う、とウィルが泣き出してしまう。


 私が怒鳴ったから? 泣いたから?


 いやぁぁぁぁ、泣かないでぇぇぇ!!

 罪悪感で胸が押しつぶされるぅぅぅ!


「ごめんごめん、姉さまびっくりしただけだから。怒ってないよ? よしよし、大丈夫だからね」


「うっ、ひく、ごめんなしゃ、姉しゃま。ぼく、大っきくなったスーを見せようとおもっただけなの」


「うんうん、ちゃんと分かってるよ」


 と、ハティがウィルの側にしゃがみ、大きな手で頭を撫でた。


「それ以上泣くな、ウィル。強い剣士は決して泣かぬものだぞ」


 ふぎゅ、と何か飲み込む音がして、ウィルが口を引き結ぶ。頑張って泣かないように耐えてるみたいでぷるぷるしてる。ごめん、不謹慎だけど、その顔めちゃくちゃかわゆいですね。姉さまの心のアルバムにしまっておくね。


 ウィルの頭をコツンとつつく白い塊(かたまり)。さっきの白蛇だ。

 びっくりしたぁ、気配なかったんだけど!


 さっきより小さくなってる。普段は30センチ、さっきは20メートルほどで今はウィルの背丈と同じくらいの120センチといった具合。

 大きさは変幻自在なわけ?


「"れべるあっぷ"したから大っきくなれたって、スーが言ってる!」


 蛇が大きくなった理由を、ウィルが教えてくれる。


 しかし、"レベルアップ"ね。スキルがレベルアップしたら機能がグレードアップするように、魔物はレベルアップすると強くなるのかもしれない。


「概(おおむ)ね、その認識で合っている」


 ハティに聞いたら、やっぱりそうみたい。


「でも、何で急に? 魔物がレベルアップする条件って何なの?」


「様々あるが、通常は自分より同等か、それ以上の強さを持つ魔物を殺し、食らうことだな」


「じゃあ、このトルネードスネイクも……」


 ウィルの部屋にはたくさんの小さな魔物たちがいる。もしかして、その子達を……


「このりんごのおかげだって言ってたよ」 

 

 ウィルが教えてくれる。


 あっ、物騒な想像してすみませんでした。


 て、りんご? それ、私がお庭で『創造』した青森県産のふじりんごだね。これを食べたら、レベルアップしたと?


 なるほど、とハティが頷く。


「自ら敵を倒せぬ弱い魔物は、魔物の死骸を食らい、その生命力を得てレベルアップする。ララが『創造』した植物はララの『生命力』により創られているからな。りんごを食った魔物がレベルアップするわけだ」


「ええっ。てことは私、今まで『創造』してきた植物に生命力を吸い取られてたってこと? まさか、そのせいで寿命縮んでたりとか……」


 ぶるっと体が震えた。

 やだよ、そんなの。私、100歳までは絶対に生きて、ウィルのひ孫までおがむつもりなのに。


「大丈夫だ。生命力は体力とも言い換えられる。スキル『体力∞』を持つララの生命力は常に補充され続ける。寿命が削られることはない」


 なーんだ。ほっ。

 

「もう一つ、分かったことがある。やつらが勝手に眷属化した原因も、おそらくララが『創造』した植物にある」


 うんうん、うん?


 ポケーっとしていると、察したハティが詳しい説明を始めてくれた。うう、理解力足りなくてすみません……


「通常、魔物は自分より強い者の魔力を認め、眷属にくだるのだ。ララに魔力はないが、やつらはララが『創造』した植物を食らうことでララの力を認め、眷属にくだったのだろう」


「……あ!」


 ハティの話を聞いて、ピコンっとひらめくことがあった。


「ねぇ、じゃあさ、私が作った果物を食べさせれば『中立の森』に住むこわーい魔物もみんな仲間にできちゃうんじゃないの!?」

 

 すごい、私さえてる!

 もしそれが可能なら、コーネットに差し向けるいち軍隊、できちゃうんじゃない!?


 けど、興奮する私とは対照的に、なぜかハティは難しげな顔。


「ううむ、おそらくこの方法で眷属に引き入れることができるのは、ある程度弱い魔物に限られると思う」


「えー! なんで!!」


「強き魔物はプライドも高いゆえ、戦いで強さを測りたがるのだ。果物を食べたくらいじゃぁなびかんだろうな」


「そんなぁ。いい方法だと思ったんだけどなぁ」

  

 がっかり。せっかく怖い魔物への対抗手段が見つかったと思ったのに。


「あ、でもそうなると、ウィルは?」

  

 魔物たちが私の『創造』した植物を食べて"弱い魔物"が眷属化したことはわかった。でも、『植物創造』はあくまで私のスキルであって、ウィルのスキルじゃない。私の眷属となるのと同時に、ウィルの眷属にもなっているというのはどういうことだろう。 


「さぁ、それは分からない。おそらく、意思の疎通ができる人間が珍しく、やつらが面白がって自主的に眷属になっているのだろう」


 面白がってって。そんな理由で命預けていいんですか、魔物さんたち。


 眷属にした魔物は、あらゆる命令に忠実に従う。たとえば、命を捨てろとの命令でも。眷属になる魔物は、きつい重責を自らに課すことになるのだとハティは言う。


 けど、ウィルは優しいから。魔物たちに命を捨てろなんて命令は絶対にしない。魔物たちも、そのあたりをよくわかっているからこそ、ウィルの眷属になったんじゃないかな。



 ・ララ・コーネット

 ・14歳

 ・スキル:『鑑定レベル5』『収納レベル4』『安寧の地レベル6』『体力∞』『植物創造レベルMAX』

 ・眷属:ピッピ他(一角獣×7)、アオ(ブルーサファイア)、モカ他(火鼠×10)、スー(トルネードスネイク)、キキ他(居眠りアナグマ×2)

 ・称号:神々に愛されし者



 ・ウィル・コーネット

 ・6歳

 ・スキル:『剣聖』『体力∞』『真実の目レベルMAX』

 ・眷属:ピッピ他(一角獣×7)、アオ(ブルーサファイア)、モカ他(火鼠×10)、スー(トルネードスネイク)、キキ他(居眠りアナグマ×2)

 ・称号:天使

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。