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17 転生の理由


 塩抜きの終わったお肉は、『安寧の地』の拠点に戻ってから、火で炙って水分を乾かす。


 その間に、川でお洗濯した下着類を木に干して、ウィルのお勉強を見る。


 ウィルにはノートを一冊与えて、一日1ページ日記を書かせるようにしてる。この作業が、文字の練習や思考訓練になる。


 ハティは肉の焼ける匂いに釣られてやってきた魔物を狩ってるところ。

 傾きかけた日の下で、ジャンプするたびハティの白銀の毛並みが輝く。


 ハティは獣の神様だけど、ほかにも神様がいるのかな。たとえば、植物の神様とか、太陽の神様とか、人間の神様とか。


 ───人間の神様が、私をこの世界に転生させたのかな。

 どうして、私なんだろう。


「姉さま?」


 きょとん、とウィルが首を傾げる。不意に上目遣いを食らって過呼吸になりかける。

 まんまるな緑の目、可愛すぎるぅぅぅ。


 荒ぶる心よ、静まりたまえ。腕をおさえてぷるぷる震えていると……


「ぎゅー、する?」


 手を広げて待ち構えるウィル。


 します、します!ぎゅーします!


「ぎゅーっ!」 


「きゃはは、くすぐったいよ」


 はぅ、可愛いです。たぶん、私はウィルに出会うためにこの世界に生まれ変わったんだね。間違いない。


 お肉の水気が完全に飛んだところで、いよいよ燻煙をかける作業に入る。


 木を組み立てて三脚を作って、お肉をぶら下げる。

 その下にはいぶした木片。甘く芳醇な煙が漂い、お肉にまとわりつく。


 この木片は、『鑑定』さんによると《りんごの木》

 燻製用のスモークチップ。コーネットの屋敷産だけあって、高級っぽい匂いがする! たぶん、きっと、そんな気がする!


 ほんとは煙が逃げないように囲いをしたいけど、ドラム缶なんてないしなぁ。三脚の上から布かけるか! いや、火事になりそうだからやめとこう……


 数時間放置すれば、燻製肉の出来上がりだ!


 うーん、まだちょっとだけ水分含んでるかんじがするな。もっとパリパリにしなきゃ、一月も保ちそうにないな。


 うぅ……やっぱり、安定的に肉を得るためには獣を捌けるようになるのが手っ取り早いか。

 獲物はハティに頼めば捕ってきてくれるし、捌く度胸さえあればいつでも新鮮なお肉が手に入る状況ではあるのだ。


 まずはウサギで……頑張ってみますか。


 幸い、解体の指南書には事欠かない。『収納』には大量のサバイバル教本があるからね。



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