表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
64/101

シャイレンドルの闇 3

 膨大な量の記憶の中を進むのは半ば落下に近い。深い水底に飛び込んで、延々と潜っていく感覚。周囲を光景が流れていく。音もない絵だけが飛ぶように過ぎていくところから見て、求めるものはここにないのだろう。

 できるだけ周囲は見ずにただ底を目指してユレイオンは潜っていった。関係のないところで時間を食っている暇はない。それに、必要がない限り相棒の記憶など見たくなかった。……たとえ、すでに自分の中に自分と彼の記憶が混在していようとも。

 長い時間だった。

 それとも自分が長く感じただけなのか、どこまでも続く螺旋。自分が上っているのか下っているのか、それもわからなくなるほどの時間。ただ、前に進むことだけを思い描きながら……。

 正しい目的地へ、相棒のいるところへ向かっているのかさえ定かではなかったが、時折目に入る相棒の姿が若くなっているのは確かだ。

 ――あいつはこんな遠くまで来たのか……?


 次第に辺りを流れるものが、重く、ねっとりと粘りを帯びてくる。体が重い。目的地へは自分の勘を頼る他はないのだとわかっていても不安になる。その不安を振り切るようにことさら前だけを目指した。

 ……と、目の前に突然壁が出現した。

 扉だった。

 この場にそぐわない、鉄製の無骨な扉。ご丁寧にも頑丈に鎖がかけられ、錠がおろされている。

 だが、その鍵は不自然な力で引きちぎられ、ぶら下がっていた。

「……この中か?」

 シャイレンドルはこの扉の向こうにいるのだろうか。

 扉が行く手を阻んでいる以上、この先は相棒が触れたくない記憶。だが、その鍵が壊れているということは、相棒はその向こうだ。

 仕方なくユレイオンは扉を開けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ