(3/5)攻撃者の正体
「それって、史上最強のAIと言われているマイダスの事ですか」
子鹿美咲が受話器を置いたあと、法務省の責任者が聞いてくる。子鹿美咲は無言で頷いた。
「ただ、マイダスは一般公開はされておらず、扱える人間はそういないはずなんだけどね~」と白鳥チーフがいつもの軽い調子で答える。
「アメリカがあからさまに日本を攻撃するのも考えにくいですよね」と責任者も首を傾げている。
「う~ん、相手が言っているのがハッタリなのか、それとも通常ではないルートで動かしているのか、ナゾだなぁ~」
「このマイダスは本物」と子鹿美咲がボソッと言う。
「あらら、小鹿ちゃんが言うのなら、本当だろうねえ〜。ははは、困ったなぁ」と白鳥チーフが、全然困ったように見えない口調で笑う。
「マイダスなら、上を通してアメリカに動きを止めるよう、依頼します」
法務省の責任者はそう言って部屋を出て行った。
「小鹿ちゃん、もし、その悪者が勝手にマイダスを使っていたとして、アメリカ側が使用停止させるまで、どのくらいかかるかなぁ」
「30分」
「うん、じゃぁ、今から30分守ればこっちの勝ちだね。お願いしていい」と白鳥チーフが楽しそうに言う。
再び部屋の電話が鳴り、子鹿美咲が受話器を取る。電話をスピーカーホンにしたので、会話が室内に聞こえるようになった。
『ミサキ。どうやら横槍が入りそう。一気に行くから楽しみにしてて』
『30分』
そう、子鹿美咲が言うと相手が笑いながら答える。
『いいね。それ。30分1本勝負。こっちが勝ったら、そこにある全データを世界中にばら撒くからね』




