(2/5)データセンターの攻防
白鳥チーフと子鹿美咲は、1時間後にデータセンターに到着した。直ぐに対策ルームに直行する。5,6名の見知ったメンバーがいて、子鹿美咲は簡単な挨拶を交わすとコンソールの前に座った。法務省の担当者が、攻撃の痕跡が残るログをAIエージェントに食わせた結果を送ってくる。
「白鳥さん、子鹿さん。今回の攻撃は明らかに異質です。防御壁を簡単に突破してきます」
子鹿美咲は無言でAIエージェントのレポートを見つめている。
「現在、最外の防御壁を突破されたら、防御壁を強固な物に入れ替えながら対処しています。しかし、こちらで準備できる防御壁もそろそろ限界です」
「もう、システムを止めたらどうでしょう?」と白鳥チーフが提案する。
「いえ、ご存知かもしれませんが、ここのシステムは365日24時間止められないのです。それで大変不味い状況になっています」
法務省側の責任者が答えた。
その時、部屋の隅にある内線電話がなった。受話器を取った担当者が困惑したように言う。
「英語の電話なのですが、子鹿さんを出せと言ってます」
『はい』と子鹿美咲が受話器を受け取る。
『久しぶりね。ミサキ』
『誰?』
『わからないの?研究室で一緒だったじゃない』
『いや。わからない』と子鹿美咲は冷たく言い放つ。それと同時に手元の紙に走り書きをする。
【攻撃者はスタンフォード卒のキャサリン・アルバート】
周りにいたメンバが音をたてないように気にしながらも、該当人物の情報を調べ始めた。
電話の向こうの声が若干いらついたように続ける。
『まあ、いいや。今回私が連れて来た子の名前を聞いたら驚くよ。マイダスちゃんよ』
子鹿美咲はメモを追記する。
【攻撃ツールはAIのマイダス】
そのメモを見た周りのメンバーに緊張が走る。というのもAIのマイダスは先週発表されたもので、解析能力においては史上最強と言われていたからだ。




