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1話 異世界転移

 

 夜宮よみや 大河たいが 19歳


 まさかこの歳になって真面目に頬をつねるという経験をすることになるとは思わなかった。

 割と痛かったので、これは夢ではない。

 この目の前に広がっている光景は現実ということになる。


「…………」

 ぐるり辺り一面を見回してみる。

 今しがた出てきたマンションの姿は影も形もない。


「ここはどこだ?」

 確実に言えることは、日本ではないこと。街の風景や通行人の見た目、服装がまるで違う。というか自分の服装が浮いているためか、先ほどから通行人から怪訝そうな目で見られている。

 ひとまず、自分が現在どこにいるのか確認しなければと考え、近くにいた通行人に話しかけてみることにした。


「あの~すいません。ここってどこの国ですか?日本ではない…ですよね?」

「にほん…?ここはシルト王国ですけど。」

 どこだよ。

 いや聞いたことないんだけど、そんな国。別に地理に詳しいわけじゃないから、俺が知らないだけだろうか…。そもそも日本語が通じたことや話せることが驚きである。最悪、ジェスチャーとかで伝える必要があるかもと考えていたので、その点については助かった。


「あ、そうなんですね。ありがとうございました…」

「はあ…」

 とりあえずお礼を伝える。尋ねたお相手は不思議そうにこちらを見ていた。そりゃそうだ。服装も含めてどう考えても変な奴である。


 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 あの後も、聞き込みや露店客の立ち話に聞き耳を立てるなど色々と情報収集を行った。その結果、俺はある結論に至った。


「ここはあれだな…異世界というやつだな」


 この結論に至るのはそれほど難しいことではなかった。

 まず、この王国(?)以外の国について尋ねたところ、出てくる国名は全て聞いたことのない国だった。さらに国名には『王国』が入っていることが多かった。


 次に『通貨』。この王国では『Gゴルド』という単位が使用されているようである。露店での支払いを見るに、硬貨だけでなく紙幣もある模様。ちなみに露店で財布の手持金(1,252円)を見せたところ、「そんな見たこともないものは使えない」と言われた。『円』が使えないのは予想できたが、存在自体知らないとは…。ただ、俺も全世界の通貨を知っているわけではないし、『円』の存在自体知らない国が存在する可能性はあるので、『通貨』は異世界判定材料としては少々弱い。


 最後に、というかこれだけで異世界決定打になりうるもの。『魔法』である。通りの至る所で水を出したり、火を出したりする光景を目にした。例のごとく通行人に訊ねたところ、帰ってきた答えが『魔法』という単語だった。


「これが異世界転生というやつか…。あ、いや別に死んでないから転移なのか」


 正直そこはどうでもいい。重要なのは、ここがほぼ確定で『異世界』であるということ。困惑や不安は当然ある。しかし、日本で漫画やアニメを楽しんできた身としては、少々テンションが上がってしまう。

 そこまで考えて腹が減っていることに気づく。そういえば朝食を買いに行く途中だった。


「その辺の露店で異世界グルメでも楽しみますかね」

 そう言いながら財布を取り出そうとして、その手が止まる。つい先ほどの露店でのやりとりを思い出したからだ。

 この世界で日本の硬貨や紙幣は使えない。要するに………


「この世界で使える金が無い…」


 無一文爆誕である。







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