一角の一刺し
ここで「俺」のプロフィールをサラッと紹介
名前:不明だが「こん」から始まる。
身長:170cm 体重:62kg
年齢:17歳 誕生日:6月19日
特徴:明るい茶髪(地毛)でどこにでもいそうな高校2年生。学力は微妙だが瞬時な判断ができ、けっしてアホではない模様。病的な犬好きで捨て犬を拾っては叱られるといった過去を持つ。これが今後吉と出るか凶と出るか見ものである。
眩い紫の光は俺を包み、次第にその光は一か所へ集まっていく。それに手を伸ばすと光は弾け、細長い形状へと変化した。
「これは・・・槍・・・?」
手には俺の身長より長い槍が具現化されていた。柄は怪しく輝く紫色をしており、先端には金か銀か見分けがつかない輝きを放っている。槍は意外と軽く俺でも振り回せそうだ。
「さてっと、では反撃といきますか!」
化け物は槍を見て危険を察知したのか食いつくように俺に襲い掛かる。俺は振り下ろされる斧を槍で受け止めた。
キィィィン・・・ッ
刃と刃が混じり合い金属特有の音を奏でる。
「ぐっ・・・!」
化け物の一撃は重く、防ぐのがやっとである。化け物は攻撃を休めることなく二連、三連、四連と重ねていく。俺はそれをなんとか受け止めることに精一杯だった。しかし後手のままではやられるのは時間の問題だ。どうにか反撃しなければ。けど問題が1つ。
槍ってどう扱えばいいんだ?
大抵の現代っ子はそうだろうが、日常生活において槍なんてまず使わない。中には槍術をしているやつもいるだろうが、俺はあいにく帰宅部である。槍どころか武器を握ること自体初めてである。槍って切るのか突くのか、まず振り方が分からない。さきほどの決め台詞が恥ずかしくなってきた。そんな俺の心情はお構いなしに化け物は攻撃を止めない。・・・が化け物といっても生き物であることは変わりはない。斧を振り回す前から全力で俺を追いかけていたのだから体力が消耗しているはず。それに段々と攻撃速度が遅くなっているのが伝わる。それに比べて俺は防戦一方なのでほとんど体力を使っていない。これを利用して隙をつかなければ。チャンスを見計らっていると俺の背後の数m先から爆発音が聞こえた。それに驚いたのか化け物は一瞬動きを止める。
___きた!
俺は槍を振り上げ斧を勢いよくはじき返すと化け物の腹部ががら空きとなった。俺は素早く槍を引き戻し大きく振りかぶって化け物の腹部を切り付けた。
「ッッッッッッッッッ!!!」
化け物は声にならない悲鳴をあげ、握っていた斧が手から滑り落ちた。俺はそこから胸の中心に一刺し。化け物は俺の槍を握り必死に引き抜こうとする。俺はそれに必死に抵抗し深々と槍を刺していく。しばらくすると化け物は段々と力を失い、膝から崩れ落ちそして完全に動かなくなった。俺は死んだことを確認すると槍を引き抜き、弱々しく尻もちをついた。
「な、なんとか倒せた・・・。は、ははっ。今更力が入らなくなった。」
初めて槍を使い初めて命を奪った。しかも命を狙われていたとなれば精神的な疲労が出るのも無理はない。手から槍が滑り落ちカランッと音を立て地面に落ち、次第に光の粒となって消えていった。
「何だったんだ一体・・・。この指輪といい化け物といい謎が深まったぞ。・・・あっ。」
くぅぅっと小さくお腹がなく。
考えようとしたらお腹がすく。忙しい体である。とりあえず何か食べよう。そう決めた俺は辺りを見渡す。しかしやはり木の実らしきものが生えている様子はない。
「どうしよう、何も食べるものがないんじゃ・・・ないんじゃ・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
俺の目には先ほど倒した化け物が映り込んだ。どうなんだろう、馬か牛に見えなくもないけど美味しいのだろうか?いやでもさっきまで動いて俺を殺そうとしてたやつだぞ?それに二足歩行してたし。二足歩行の動物は人にカテゴリーされるって理科の先生が言ってた。思考すること数分。
「食べてみよっかな・・・美味しいかな・・・。」
「ああ、そいつ美味いぜ、せっかくだし食ってみろよ」
ほらそう言ってるしきっと美味しい・・・
俺は一瞬思考が停止し体が固まった。
___今返事したの誰?
ふと振り返るとそこには人が立っていた。
「お?どうした?そんな不思議そうな表情をして」
やけに馴れ馴れしく話してくるそいつは、黒いマントをしているせいでどんな服装をしているのか不明だが茶色いブーツのようなものを履いていることはかろうじて分かった。あと分かるのは顔くらいだけど
「人・・・なのか・・・?」
いや違う。確かに全体的に人の形をしている。二本の足で立ち長めの腕、マントで隠れてしまっているが首から下は完全に人であることに間違いない。しかし問題は顔だ。黒と白の隻眼に高く黒い鼻。耳は頭にピョコッと生えていて今もピクピク動いている。なにより顔面が白毛で回りが黒毛が生えていてまるで
「・・・ハスキー犬?」
「はすきーけん?それがどういう意味か知らねーが俺は立派なヒトだぜ?まぁ自己紹介はあとにして」
そう言うと彼は化け物に近づき軽々と持ち上げた。そして俺の方をまっすぐと向き人懐っこい笑みを浮かべ
「安全なところへ移動しようぜ!腹も減ってるみてーだしご馳走してやるよ!」
これが俺と彼の出会いだった。
続く
所有物と特徴(推察)
1、制服:在籍していた公立高校の指定服。紺色のブレザーに赤のネクタイ、白のワイシャツにチェック柄のパンツ。靴は校則を破っているため運動靴を履いている。現在は化け物との戦闘で上半身の装備が破け血で染まっている始末。
2、金のコイン:紋章の入った金貨。袋には10枚入っていたが価値は不明。
3、白い指輪:白い石がはめ込まれた指輪。中心に「Cygnus」を意味する文字が刻まれている。詳細は不明だが傷の治癒能力があると推察される。
4、紫の指輪:夜空のように明るめの紫色の石がはめ込まれた指輪。中心に「Monoceros」を意味する文字が刻まれている。詳細は不明だが2mの槍が出現した。




