第六話 好き嫌い
一日かけて書きました…そしてこの完成度です。
マッッッジでむずい
そして完結へ向けてこの話はカトレアちゃんを出すための話です。夢では出てきませんでした。残念…
「あ、よ…よろしくお願いします」
彼女は、こちらをジロリと睨んできた。
「…レイン隊長、なんで私が新入りのおもりなんです?」
「…君の上官の頼みだ。新人の話をしたら『うちのアッシュフォードは、戦士兵だが防衛もできる。だが人付き合いが苦手なんだ、もし良かったら、新入りの世話役を…』と言うので」
「チッ…あいつの指示なの!? 私はこっちの仕事嫌いなのに! はぁ…よりによって防衛なんて…」
「…そう言うな」
レイン隊長がそう言ったとき、彼女は、怒りの色を顔に見せた。
「っ………!」
「何もわかってないですね! 負荷のかかり方が、違うんです!」
「…どんな負荷がかかるのか説明は受けていただろ」
「分かっていたうえで、嫌だったから戦士兵になったんです!」
カトレアは、こちらに視線を向けると、大きめにため息をつき、ゆっくりとこちらへ近づいてきた。
「はじめまして、私の名前はカトレア・アッシュフォード…あなたのお名前は?」
さっきとは打ってかわり、氷のように静かに微笑み、自己紹介をされた。細めた目の隙間から、鋭い眼光が覗いている。まるで蛇が獲物を見定めているようだ。
「お名前は?」
「……ノア・ベルクです」
声が少し震えた。
でも目を逸らしたら失礼だ。
「よろしくお願いします」
「…………」
カトレアは、しばらくノアを見つめる。
「……そう、よろしくお願いしますね。ベルク」
その時、また校舎を揺るがすほどの轟音が響いた。
内臓がフワリと浮かぶような、あの感覚に襲われる。
「来たわね。」
先程までとは違いカトレアの横顔は、覚悟の決まっている防衛隊員の顔だった。
「あなたは後ろで見てなさい。」
「でも!」
「足手まといよ」
カトレアはそう言うと、静かに縁筆を構え、迫りくる竜を見据えている。その姿には、先ほどまでの苛立ちなど、残っていなかった。
「来る…」
竜が大きく翼を広げる。
「あなたは、私より前に出ないで、邪魔だから。」
「……はい。」
カトレアの縁筆が走る。
カトレアの動きには一切の迷いがない。
手早く一つの魔法陣を描き終え、次々と他の窓にも魔法を付与していく。
(速い……)
一つ
二つ
三つ…
目で追うのがやっとだった。
まるで蝶が舞うように、手早く軽やかに窓から窓へと縁筆を走らせるたび、淡い光を放つ魔法陣が、窓に溶けていく。
「凄い…アッシュフォードさん! 速いですね!」
「当たり前でしょ…あなたとは違うの…」
カトレアは、何でもないふうにノアに答えるが、顔に血の気がない。
「だ…大丈夫ですか!? 顔色が…」
「大丈夫よ、負荷に慣れてないだけだから。」
負荷……。
縁筆は使用者に力を与えるかわりに身体に異常が現れる。
その負荷は性別により変化する。男性なら肉体の黒化、外見の変化。女性なら腹部に水が溜まることによる、肉体の鈍化。
この代償変化のせいで防衛兵を志願する者のほとんどは男性だ。
「本当に、大丈夫ですか…?」
「大丈夫だって言ってるでしょ、それにあとで吐くんだから…」
大丈夫…
それでも彼女の腹部は明らかに膨らんでいた。
(何か…僕にできることは…)
「あ…えっと飲み物とか、いりますか…?」
「いらないわよ!頭悪いわね! お腹に黒水溜まってるのよ!?」
「す、すみません!」
その時上の階から気味の悪い音と声がした。階段から、凄まじい勢いで竜が降りてくる。
『竜に入られた!三階南側だ! 防衛兵は足止め! 戦士兵は三階南側へ向かい竜を倒せ! 早急にだ!』
校内に放送が鳴り響く。
「ふふっ…良いわよね私が出ても…」
「えっ!? で…でも」
「大丈夫よ! 私の本職何だから!」
そんなカトレアを止める声が、遠くからでもはっきり聞こえるように響く。
「アッシュフォード! お前は防衛だ!」
レイン隊長だ。
「アッシュフォードさん…」
「そんな事どうだって良いわよ…私は、私のやりたいようにやるの」
目の前まで来ていた竜に、カトレアは腰にさしてあった剣を抜き去る。
「ベルク、あなた新入りでも魔法は使えるでしょ? 援護しなさい!」
「えっ…は…はい!」
援護…防衛兵の仕事の一つ。手が震える。魔法陣の練習は手に豆ができるほどやってきた。それでも、竜を相手にするのは初めて。
(落ち着け…描ける、僕にも出来る)
「拘束の陣を描いて動きを止めなさい!」
「は…はい!」
ノアは拘束の陣を描き上げる。陣から緑の光が伸び竜を締め上げた。
「上出来よ!」
カトレアは竜に斬りかかる。
腹に、水が溜まっているせいか、先程までの俊敏さはない。それでも、一撃で仕留めようと大きく剣を振りかぶる。
その時…竜を拘束していた光が解けてしまった。竜はぐるりと一回転をするとカトレアを尻尾でなぎ払った。
「ぐふっ………!?」
カトレアは後方に軽々吹っ飛ばされた…
口からは黒水を吐き、それに混じり血も吐いている。
「アッシュフォードさん!」
竜は大きく息を吸い込んだ。
ノアくんはまだ役立たずですねぇ




