第一話 入学日前日
文章書くの難しいですね…
ある朝、家のチャイムが鳴る。ドアを開けると、眼鏡をかけた仙人のような男と、少し癖のある黒髪を、雑に縛った目つきの悪い男が、春の風に髪を揺らし立っていた。
明日僕は、国立竜災防衛学園に入学する。
生徒として…そして、防衛隊の一人として。
二人の男を見る。一人は知っている学園長のオズワルド・クレイン先生だ。もう一人は…
「すまんの、急に押しかけてしまって……早速じゃが…紹介させてくれ、彼が、明日から君が所属する聖刻竜災防衛隊、第三部隊の隊長、エドワード・レインじゃ。」
!?
まさか、明日から自分が、所属する部隊の隊長が、直接家まで来るとは、思っていなかった。
「おっ、、、お、お世話になります! ノア・ベルクです!」
思わず声が裏返る。そんな僕の様子を見て、クレイン先生は、相好を崩した。
「エドワードは、見た目に似合わず優しい男じゃそう緊張しなくとも大丈夫じゃよ。」
そんなクレイン先生の言葉に、レイン隊長は眉をひそめ。呆れたような怒ったような視線をクレイン先生へ向けていた。
レイン隊長は「……はぁ」と小さくため息をつくと、僕へと視線を戻した。
「紹介にあったようにエドワード・レインだ、明日から、お前も防衛隊の一員だ、学業との掛け持ちで忙しいだろうが、魔女はいつ襲撃してくるかわからない、今から気を引き締めておけよ。」
その言葉に背筋が伸びる。
そうだ、気を引き締めなければ…
僕が防衛隊に入る理由は、妹を、シェリーを助けるためなんだから。
「おお、そうじゃ忘れておった、ノア、入学前にお主に、渡さなければならない物があるんじゃよ」
クレイン先生は、懐から細長い木の箱を取り出し手渡してきた。箱の中には細い枝のようなものが入っていた。
「杖…?」
「はっはっは、ノア、それは杖ではないよ、それは…」
「…学園長、ここは私が説明します」
レイン隊長の顔には、怒りの色が薄っすらと滲んでいた。
「お前は、何の説明も受けていないのか? 防衛隊に入るための講習があっただろ!?」
ノアは、記憶をさかのぼる。
──あった…受けたしっかりと。そのうえで、これは杖にしか見えない………なんならただの木の枝にしか見えないのだ。
「……【縁筆】…ですか……?」
講習であった棒状のもので支給されるのは、縁筆しか無かった、はず
「そうだ。お前…ちゃんと聞いて無かったのか? 俺たちの武器である縁筆は、文字通り使用者と縁を結び、その者にしか使えなくなる、言うなれば相棒だ!」
それを聞いて思い出した、確かに、この木の枝を選んだ気がする
「それを、お前…学園長!コイツは本当に己の縁筆と縁を結んだのですか!?」
「はっはっはっ、あぁ、ノアはしっかり縁を結んでおるよ」
そう、ノアはしっかりと、事前準備は済ませてあった
縁筆との縁結びの儀とは、防衛兵に所属する為に行う最初の儀式だ。
自らの手で選んだ一本の縁筆を手に取り、己の血を飲ませることで、強固な縁を結ぶ。
そうして、縁筆は己だけの武器になる。
確か、縁筆は、縁を結ばない限りはただの木の棒と変わらない。逆に言えば、縁さえ結んでしまえば、防衛隊員でなくても、使えてしまう武器である。
と、そう教わった。ノアはちゃんと覚えている筈だ。
……たぶん。
レイン隊長は、最後に「お前は、本当にコイツを選んだんだな?」と確認してきた。ノアは、「はい」と答える。
「間違いなく?」
「…はい」
レイン隊長は、また、ため息をつくと、しばらく僕と縁筆を交互に見つめていた。
「それなら、明日……いや、今日から、今この瞬間から大切にしろ。わかったな?」
「はい!」
暖かい春の日。
僕は両手で縁筆を握りしめた。
コイツが、これから僕と一緒に戦う相棒…
僕は、明日、国立竜災防衛学園に生徒として入学し防衛隊に所属する。




