第十話 ラットになる
脳みそも腕も足りない気がする。メタグロスになりたい
─ベチョ─
床に肉塊が落ちる。ドクドクとまだ波打っており、これで終わりでは、ないのではないかと感じさせた。皆、固唾を飲み、動けない状態が続いた。
そんな中、守護の壁のリーダー、オスカー・ベルモントが、この雰囲気に耐えられなかったのか、喋り出す。
「流石ルークくんよぉ、一刀両断お見事だねぇ!」
「…………この魔女、偽物だったんですね。分身体…なら魔女は、近くにいるんでしょうか?」
「……それは、どうだろう? 魔女は、分身体を作る時、魂と結合する肉に、自分の肉体を使うと聞く、使う肉の質が良ければ、そのぶん、分身体が活動できる範囲、時間が伸びるんだ。それに、近くにいるなら、魔女自身が来ればいい話だからな」
疾風の刃のリーダー、セシリア・クロウが、研究班に一報を入れながら、話に入る
「なるほど、でも、そうなるとなると、分身体で来たのが謎ですね」
「一般生徒に紛れてたんだろぉ? 元々、竜災に乗じて杖をパクる算段だったんじゃ無いかねぇ?」
本当にそうだろうか、斬られる瞬間、魔女は、より一層楽しそうに、口が裂けてしまいそうなほど笑った。
そんな魔女の顔を見て、ルークは嫌な予感を感じていた。
そんなルークの顔を見て、エリオが「大丈夫かよ?」と声を掛けたとき、校内に放送が鳴り響いた。
『竜に入られた! 三階南側だ! 防衛兵は足止め!戦士兵は三階南側へ向かい竜を倒せ! 早急にだ!』
この放送を聞き、エリオが「ノア、大丈夫だろうな…」と口にした、いや、口にしてしまった。
瞬間、エリオの両肩を、ルークが掴んできた。
(やべっ、まずった…)
ルークは、間髪入れずに聞いてきた。
「ノアが三階に居るのか!?」
「あ…ああ、でも大丈夫だと思うぜ? 新人なら多分、退避命令出るだろ? ノアならちゃんと言う事聞くと思うぜ?」
そう、エリオがルークを、落ち着かせようとした。
「ノア? ノア……ああ!新入り君か! 確か、カトレアが面倒見ることになった子だろ? 私もさっき階段で会ったよ、ちょっとボケ〜っとしてるが、良い子そうな雰囲気だったな!」
「!? カトレアが一緒なんですか!? 俺、ちょっと行ってきます!」
「あ!おい!」
ルークは、呼び止める声も無視して走り去ってしまった。
「……すんません…オレが、ノアの名前出したせいで」
「なに? アイツ男好きなの?」
「多分……ノアが好きらしい、としか聞いて無いっすけど」
「へぇ!純愛だねぇ!」
「純愛……なんすかね……?」
そんな事を話していると、研究班と医療班が、到着した。
「皆さんお疲れさまです! わぉ! エリオさん腕どうしたんですか!?」
研究班の一人が、躊躇いもなく聞いてきた。というかアレは、研究対象にしようとしている顔だ……
「入り込んでいたのは、魔女だった。私たち疾風の刃は、隊員が三人やられた、うち二人は、消耗が激しかったから、医療班へ送ったぞ」
と、セシリアは、医療班へ説明した。
「はい! 御二方とも傷は治りましたよ、回復までにはもう少し時間がかかりそうですが」
それを聞いていた研究班が、エリオへ詰め寄った
「魔女と戦ったんですね! その腕は、負荷ですか?それにしては、腕に集中してますね! 魔女はどう倒したんですか? ああ!魔女と言っても、きっと本体じゃなかったですよね、分身体だ! 魔女は、自分の肉を使うから、研究が捗りそうです!」
(うるせぇ……)
「それで、どうやって倒したんですか!?」
「あ〜、魔法が効かなかったからな、オレらは、疾風の刃の連中に、バフ撒いてただけだよ。詳しいことは、アイツらに聞きな!」
エリオは、面倒くさくなり、セシリアに丸投げした。
「そうなんですね! じゃあ魔女に関しては向こうへ聞くとして……その腕はどうしたんですか! 負荷とは少し違うのかなぁ? 中身少し貰ってもいいですか?」
「嫌だよ!?」
「研究に必要なんです〜そこをなんとかぁ! ちょっとだけで良いからぁ!」
ラットにされるのを嫌がっているエリオに向かって、オスカーが面白がり、野次を飛ばした。
「エリオ、ちゃんと研究、手伝ってあげなきゃダメだよぉ? 指の一本、二本あげなよぉ!」
「はぁ!? 他人事だと思って、適当言うなよ!」
─ブスッ─
エリオの意思など関係なく、研究班はエリオの腕に、20cm程の注射器を刺し、腕の中身を持っていった。




