第2話〈如月星奈〉
模擬戦か⋯⋯⋯まぁ、実力を知るにはうってつけ、ってやつか。
「かかってきやがれ黒髪常識知らず!」
「うっわひどいね君!」
その言葉と共に、星奈は地を蹴り、薙刀を振りかぶる。
俺はそれを躱し、剣と盾を構える。うちの村に伝わるものだ。⋯⋯⋯といっても親父の代からだけど。
「ふぅぅぅぅ」
俺は深く息を吐き、星奈に急接近する。
激しく打ち合う。
(こいつ⋯⋯⋯相当できる。武器にとらわれずに的確に痛いところをついてくる。長期戦はだめだな)
俺は高く跳躍する。
俺は左手を振りかぶる。
盾だ。俺はそれを投げつける。
星奈はそれを弾く。が、体制を崩した彼女は、次の一手を受けられず⋯⋯⋯頭を、踏まれた。
「あぎゃ!?」
「フッ、こんなもんか」
俺は星奈に向けた剣を盾に刺し、背中に納める。
「あはは、強いね。これなら背中も預けられそうだ」
「そりゃどうも」
「『そりゃどうも』じゃねぇよこのろくでなし!」
ズンズンとキレ散らかしながら親父が歩み寄ってくる。
「こっから一緒に旅する女の子の頭踏みやがって⋯⋯⋯ごめんな」
「いや、全然いいですよ?あとで締めとくので」
笑顔で星奈が武器を振り上げながら言う。
星奈さん、目が笑ってねぇっすよ⋯⋯⋯⋯
「そうか?あとで泥に頭突っ込んでおこうと思ったけど」
「あ、そっちのほうが面白そう」
「おっとぉ?」
星奈と親父が話に華を咲かせていた。話題は華とは程遠いものだが。
「あ、そういえば」
急に星奈がこちらを向く。
「名前、聞いてなかったよね?」
「あー、渚だ。穂神渚。よろしく」
「よろ〜」
「名前も知らないやつと旅しようとか言ってたのか?」
「ま、気にしない方向性で。じゃ、早速旅、でちゃおうか?」
「ん、だな」
いつ親父にとっちめられるかわかんねぇし。
「じゃ、しゅぱーつ!」




