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雨の国  作者: Hoshino Yodaka
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隠された洞窟

ーーー



 船に戻ったノヴァは、手際よく船の金具に調理用の道具を取り付けていく。


 三本の支柱を船底の金具に引っ掛けると、その交わるところに焚き火台を吊るした。


 小さく砕かれた色鮮やかな鉱石をバックからひと掴み取り出し、焚き火台の上に放った。流れる水を手のひらですくい上げ、注ぎ込む。すると小さな鉱石の粒は、水にさらされグツグツと煮え始めた。



 ノヴァは深く呼吸を整え、煮える鉱石にそっと手をかざす。注いだ水は、勢いよく白い霧となって風を生み、ノヴァの髪はうねるように慌ただしく揺れた。

 かざした手は少し震えて、水が消えかかろうとしたところで、火花が弾けるように炎が立ち上がった。


 ノヴァが息を整え、ゆっくり腰を下ろしていると、キリは、船の隅に置いてあったカゴをクチバチしで引っ張り出してきて、中の小枝を次々に火に投げ入れはじめた。


 ノヴァは次々と投げ込まれる小枝を見て、クスクスと笑っていた。そして火かき棒を手に取り、キリの投げ入れた小枝を整えてやった。パチパチと小枝の弾ける音があたりに心地良く響き、串刺しの魚や網の上の貝の焼ける香ばしい匂いが漂っている。


 焼けるのを待つ間、ノヴァは手記を手に、先ほど浮かんだ景色を思い出して描き止めていった。景色はどれもぼんやりとしていたが、少女が姿を消したあの滝は、はっきりと覚えていた。


「キリ、この場所がどこかわかるか?」


描き止めた滝のスケッチをキリのそばに置いてやると、ノヴァは魚や貝の焼き具合を確かめ始めた。


「キュ?」

キリは足元の絵をみて首をかしげていた。開かれた手記の周りをペタペタと行ったり来たりしては、いろんな角度から絵をじっくり見ていた。


ーーー


挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
来るのが遅くなってしまいすみません! 拝読いたしました。 とても読みやすく、サクサクと読み進められますね… 幻想的な雰囲気と、優しい世界観。 とても好きな温度感の作品です。 続きも楽しみにしております…
幻想的な世界観と、雨に沈んだ国という設定が美しくもどこか寂しく、とても印象的でした。 ノヴァとキリの関係性も魅力的で、温かさがあり読んでいて癒やされました。 挿絵も作品の雰囲気に合っていて素敵でした。…
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