大凶の悪意
6発の銃弾が当たる。
僕はカチカチとエアワンを撃ち続けようとしたが、弾がもう入っていないことに気付いた。
はやく、弾を替えないと……
今度は大凶に何をされるか分からない。
僕は大凶を警戒しながら、カバンから新しい弾丸を取り出した。
「……って、あれ?」
僕はエアワンの弾を詰め替え用とした手を止めた。
大凶はまばゆい光に包まれて、透明になっている……だと……
大凶は魔王のはずだ。
HPが6しかないなんてことはあるだろうか?
こんなにあっさりと決着するなんてあり得ないはずだ。
いや、待てよ……
「さっきより僕の体が軽い。それって、つまり、大凶の小心者の重荷がとかれたってこと?」
もしかして、本当にこれで決着なのか?
そうだ。
大凶はカシズ女神の姿の時に、大凶は覧に凍らされたっていってたな……
その時に、覧がたくさんHPを削っておいてくれたのだろう。
大凶も瀕死状態だったってことだ。
でも、僕のステータスを知っていた大凶は、『この程度の人間なら、瀕死状態の俺でも勝てるぜ』……って思って、舐めプをしたから、僕にやられたんだ。
きっと、そうに違いない。
瀕死状態なら、やめておけばよかったのに、自分の力を過信したな、大凶。
「ふふふ、その通りさ、坊やの思っている通りさ」
やっぱり、そういうことだったんだ。
これで僕達の完全勝利だ。
勇者をなめるからこういうことになるんだ。
「まさか、歴代最弱のびのに負けるとは思わなかったぜ……装備もできないし、ステータスは1からあがらない『旅乃びの』に」
「この僕が全ての旅に終止符を打つ」
お、もしかして、このセリフ、カッコいいんじゃないか……
このまま元の世界に戻れば、僕は本当の英雄だ。
「いや、お前に終止符は打たせない……」
「それってどういうことだ?」
僕に終止符を打たせない……ってことは、つまりは、大凶が自害するってことか?
「逆に、俺が旅乃びのに終止符を打ってやんよ」
「え?」
「今ここで、もう立ち向かわなくていいように坊やを絶望の深淵に引きずり込んでやるっていってんだよ」
「お前にそんな時間はないだろう?」
「はははははははははははははははははは」
大凶の体全体は半透明になり消え始めているというのに、大凶は大笑いし始めた。
「時間がない? 誰がそんなこと言った?」
「何だと?? お前は半透明になって消えかかっているじゃないか」
「おいおい、俺をそこらのモンスターと一緒にするなよな」
そこらのモンスターと一緒にするなって言われても……
いやいや、近況・増強・酔狂と戦った時も、すぐに透明になって、消えていなくなったから。
僕、そのことはきちんと覚えているから。
……って、これ、何かを狙ってる?
そうだ。畏怖だ。
僕が何かを悪い未来を想像するように誘導しているんだ。
僕だってそんなにアホな子じゃない。
そんな子ども騙しにひっかかるか。
大凶の言っていることに耳を傾けずに、他のことを考えてればいいんだ。
こういうとき、心の中で素数を唱えろって覧が言ってたな。
まあ、素数って意味は分からないんだけど。
奇数みたいなもんだろう。
1、3、5、7、9、11、13、15……
「びの、坊やは、俺が最後のヨンキョウだとでも思っていたのか??」
僕が奇数を数えだすと、大凶は僕に語りかけてきた。
「え?」
最後のヨンキョウじゃない?
もしかして、まだ、これ以上に強い敵がいるとでもいうのか……って、しまったー。
「ははははは、勇者びの、お前は俺よりまだ強い敵がいるかもしれない……と想定してしまったな。最後のおきみやげだ。せいぜい抵抗するといい。因果律・畏怖」
最後の最後でやらかしてしまったーーー




