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『旅野びの』と『戻衛覧』の異世界漂流記 ~ステータスがファンタスティック~  作者: いたあめ(しろ)


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覧、セクシーお姉さんに嫉妬する

「お姉さん、お待たせ」


「待ってたアル」


 僕が鍋ごと筑前煮を持っていくと、お姉さんはそれを奪い取った。


「この人?」


「うん、そうだよ」


 覧は明らかに不機嫌そうな顔だ。


「びの君、何がかぐや姫だよ。かぐや姫とは似ても似つかない、モデル級の美人でナイスバディじゃん」


「覧、何か言った?」


「いや、別に……」


「さっきは生のままタケノコを食べさせてしまい、申し訳ありませんでした。そして、竹をとってくれて、ありがとう。これが筑前煮です」


「これが、チクゼンニアルか?」


 僕の謝罪と感謝の気持ちをスルーし、筑前煮を手でつまみ食べる、お姉さん。


「美味しいアル」


 お姉さんは黙々と食べ、それをつまみにお酒をごくごくと飲む。


「今食べているのが、さっきのタケノコです」


「おお、これがさっきのタケノコカ。さっきと全然違って、美味しいアル」


 お姉さんの手は止まらず、むしゃむしゃと筑前煮を食べる。


「そんなに急いで食べなくても、なくなりませんよ」


「わからないアル。お酒みたいに、時間が経つと、蒸発してなくなるかもしれないアル」


 冗談を真顔で言いながら、食べ続けるお姉さん。


 ここについて、5分も経ってないのに、鍋の中にあった筑前煮を全て平らげてしまった。


 見ていて爽快な食べっぷりだ。


「ごちそうさまアル」


 いいながら僕に抱き着いてくるお姉さん。


 お姉さんの大きいお胸が当たってるんですけど。


「ちょっと、何してんの」


「感謝を表現しているアル」


「筑前煮は、ボクがつくったんだから、ボクに感謝してよ」


「持って来たのは、この少年アル」


「いい加減、びの君から離れ……」






 がしゃーん。





 お姉さんが持っていた鍋を落とした。



「びの? もしかして、お前が増強を倒した、勇者びのアルか?」


 お姉さんは、びっくりした様子で、僕を引き離す。


「そう……だけど……」


 どうしたの、お姉さん?


「どうして、増強を倒したアル?」


 表情が険しくなるお姉さん。


「どうしてって、それは……」


 言えない。僕の運のステータスを百倍にさせて自滅させたなんて、言えるわけがない。


「あの娘はいい娘だったアル」


 いい娘だった?


「びの、義妹の仇、ここで討たさせてもらうアルよ」


「え? お姉さん、誰?」


「紹介遅れたナ。我は魔王の一人。名前は、『酔狂』アル」


「酔狂?」


 魔王の一人の? 魔王?


「びの君、距離をとって」


 僕は慌てて、腰のホルダーからエアワンを取り出し、空に向けて一発銃を撃った。



 バキューン


 弾丸は、酔狂を追う……


 いや、追っていた弾丸が、どこかへと飛んで行った。


 え?


 僕は目を疑った。


 今さっきまでここにいた酔狂がいない?


 いや、ここに、いたのだ。


 だが、合わせ鏡に映し出されたような無数の酔狂の残像が見えたと思った瞬間、15m先ほどまで距離を取られていた。


「ふー、弾の近くにいる敵を追い回す銃弾アルか?」


 分析された……


「弾の射程はおそらく10メートル前後。その範囲から抜け出せば、弾は行き場を見失い、そのまま一直線に飛んでいくといったところアルかね?」


 いや、完全に解析している。


 たった1発で、僕のエア・ワンの能力を。


「その弾が、噂の弾あるな?」


「噂? 何の話?」


「巷では、その弾が増強を仕留めたと噂になってるアル。その弾だけには当たるわけにいかないアル」


 いや、この弾は、全然攻撃力がなくて……って、伝える必要もないか。


「その通り、この弾が増強を仕留めたのさ」


 酔狂には悪いけど、勘違いさせておこう。


「……って、ちょっと待って。何で魔王がこんなところにいるの? 魔王は、自分の城に座して勇者を待ってるんじゃないの?」


「城……そんなのいらないアル。我にとって、ジオフの世界は、どこでもバトル・ドームアル」


「バトルは分かるけど、ドームって? 丸形の天井なんかどこにもないじゃない」


「我にとって、空は天井アル」


「この世界全体が一種のプラネタリウムとでもいうの? 特殊な感性持ってるね、酔っ払いのお姉さん。フリーズ・アイス」


 覧は、皮肉を言いながら、魔法を唱えた。


「よし、クリーンヒット」


 覧のフリーズ・アイスは、酔狂に当たった……


 え?


 当たったにも関わらず、酔狂は全くと言っていいほど、凍っていない……どころか、平然としている。


「何か、したアル?」


 徳利の中にある、お酒をぐびりと飲む酔狂。


 また、あたりにアルコールの匂いが広まる。


「覧、フリーズ・アイス、今、当てたよね?」


「うん。確かに当てた」


 僕の見間違いじゃない。


「なんで凍らないの? 覧、もしかして手加減した?」


「いや、全力で魔法を唱えた。今のボクの限界、-64.5℃まで下がったはず」


「じゃあ、なんで凍ってないの?」


「分かんない」


「ステータスチェックは?」


「ダメ。全部が秘密になっている」


「可可可、ステータスチェックで敵に情報を教えるほど、我はあまちゃんじゃないアル」


 まあ、普通はそうだよね……


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