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『旅野びの』と『戻衛覧』の異世界漂流記 ~ステータスがファンタスティック~  作者: いたあめ(しろ)


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びのと覧、キデギスと戦う

「びの、覧、私は今から君たちに攻撃をする。全力で私を止めてみろ」


「キデギスさん、本気で行きますよ?」


 覧は、確認をとる


「もちろん、本気で戦ってもらわないと意味がない。大佐、審判を頼む」


「それでは、キデギス様対びの様・覧様のペアで模擬戦を行います。どちらかが戦闘不能になるまでであります。それでは、試合開始!!」


「稲妻斬り」


 試合が開始されるとすぐに、キデギスは、技を仕掛けてきた。


「出たであります。キデギスの魔法剣士の技、稲妻斬り!! 雷の魔法を全身にまとわせて、疑似的に稲妻になることにより、10メートル離れていようと、一瞬で間合いを詰められるのであります。気付いた時には、意識を失ってるので、とにかく逃げることをオススメするのであります」


 「わざと外したの?」

  

 覧はキデギスに尋ねる。


 「力の差を見せつけるには、これが一番だろう? 次は当てるぞ……稲妻斬り」


 キデギスは、覧に斬りかかる。

 


「ウォーターウォール」


 覧は水の壁を自分の前に創り出す。


「その程度の魔法で私の魔法剣を止めることなどできない」


 言いながら、キデギスは、水の壁ごと覧を斬り捨てた。


「……とか言ってるけど、脚止まってるよ?」


「追撃、二の太刀」


 キデギスは、壁を叩ききったその脚で助走もつけずに、覧との距離を詰める。


「くっ、ウォータースラッシュ」


 覧は、とっさの判断で電気が走る剣の力を相殺させようとした……


「残念だ。それでも、まだ私の剣の威力は衰えない」


「うわーっ」


 ……が、覧の相殺させる力が弱かったために、後方へと飛ばされる。


「らーん!!」


 覧に駆け寄ろうとすると、覧は手の平を僕に向け、僕を制した。


「大丈夫、この程度なら」


「よくも覧を」


 僕は、立ち止まり、キデギスをキッと睨みつける。


 覧を倒してまで、僕の勇者の称号が欲しいのか?


「なるほど、その青い衣が私の剣の威力をかなり吸収しているね。ダメージを与えられなかったか……」


 キデギスは、余裕をかまして、覧の防具の分析をし始めた。


 もう怒った。キデギス、許すまじ。


 僕は、銃口をキデギスに向け、エアワンを撃った。


 バキューン。


 僕の弾丸は、キデギスを避けて、どこかへと飛んでいく。


「見たことのない攻撃だね。でも、当たらなければ意味がないよ」


 しまった。キデギスは人間だ。


 0距離からじゃないと、僕のエアワンの攻撃は当たらない。


 僕は、キデギスとの距離を少しずつ、じりじりと詰める。


「さて、もう、私の稲妻斬りの射程距離なんだけど?」


 しまった。近づきすぎた。


 僕は、キデギスから目を逸らさずにバックステップを踏んで逃げようとした。


「遅い!! 稲妻斬り!!」


「ぐはっ」


 覧同様、僕も、稲妻斬りをくらい、吹っ飛ばされる。


「これが、9999の攻撃力……」


「ああ、勘違いしないで欲しい。このステータスという概念は、疲れていない時に、全力で攻撃や防御をした時の目安だ。今、傷を負った私の攻撃なら、攻撃力は1000程度だろう」


 いや、それでも、1000はすごいよ……



「それに加えて、覧がしたように、攻撃を相殺させれば、威力も落ちる」


「また、私が技を出し続ければ、技の精度も下がり、攻撃力も下がっていく」


 生き物である限り、同じ技の精度を保ち続けることはできないってことか……


 キデギスは続けた。


「魔法にしてもおなじだ」


「魔法攻撃のステータスが高くても、最大の威力の魔法を何発も出し続けることは難しい」


「仮に、相手の魔耐が高くて、こちらの魔攻が低かったとしても、魔法を何発も当ててさえいれば、相手にダメージを蓄積させられるだろう」


「勝負に置いて大切なことは、ステータスの数値じゃない。諦めない心だ」


「諦めない心……」


 そうか、僕は戦う前から負けていたんだ。


 9999というステータスを見て、心が折れていた。


「君たちの力は、その程度か?」


「こんなもんじゃな……」


 僕はキデギスに反論しようとする。


「無理はするものじゃない、びのに覧。先ほど確認させてもらったが、覧のステータスはほぼ12。びののステータスに至っては、ほぼ1。君たちは、私より弱い」


「でも、弱いことは、戦わない理由にならないよ」


 覧はいつの間にか体勢をを立て直し、いつの間にか、キデギスの背後に立っていた。


「君の魔法は効かないことは先ほど証明したつもりだったが……稲妻斬り」


「それは、魔法の種類にもよるでしょ? フリーズ・アイス」


 ピシッ


 キデギスが斬りかかろうとした瞬間、覧が、キデギスの体を氷漬けにした。


「これは、ボク達の勝ちでいいよね?」


「ああ。素晴らしい氷魔法だった……ふっ、まさか、その歳で合成魔法まで使えるとは思わなかったよ」


 氷漬けになりながらも、キデギスは口だけ動かして、降参した。


「ボク、合成魔法を使えないなんて一言も言ってなかったけどね」


「全身氷漬けになってないことと、じわじわと体力を奪われるほどの冷たさではないところから鑑みるに、私は手加減されたのかな?」


 口だけを動かし、キデギスは確認する。


「貴女が、ボク達を気遣って、ダメージにならない程度に力を調整しながら、みねうちの稲妻斬りをした程度には手加減したつもりです」


 え? 僕達、手加減されてたの?


「参ったな。見抜かれていたか……」


「最初から、分かっていました」


 あっかんべーをする覧。


「勝者、びのと覧ペア」


 無観客で行われた非公式の試合だったが、なんとか僕達はキデギスに勝利した。


「ステータスはそれほど意味をなさないと分かっていながら、何故、増強には勝てないと思ったんですか?」


 覧は、キデギスの氷をファイヤーで溶かしながら尋ねる。


「きっと、神々の過誤のせいだろう」


「確か、貴女の能力でしたよね?」


「ああ、その能力が、増強と戦い続ければ、間違いなく負けてしまうと肌で感じ取ってしまったんだ。今は倒せないから逃げろとね」


「赤い手に捕まる前は、その感覚はありましたか? ほぼ互角だったんですよね?」


「いや、捕まる前はなかったな。増強のほうが筋力、体力、耐性が勝っていたが、魔力や魔耐では、私のほうが勝っていたはずだから」


「そっか……」


 考え込む覧。


「覧、何か勝つ方法を思いついたの?」


「まだ、確信があるわけじゃないけど、もしかしたら……という可能性はある」


「本当に?」


「うん。そして重要となるのが、キーパーソン……」


 覧は勿体つける。


「え? 誰、それ?」


 キデギスとか?


 いや、オスネの可能性もあるな……


「君さ、びの君」


「え? 僕? なんで?」


「それは秘密」


 もう、教えてくれたっていいじゃないか……


「キデギスさん、貴女にも協力してもらうよ」


「私にできることがあるなら、なんでもしよう」



おまけ(本編とは関係ありません)


キデギス「稲妻斬り」

???「おう、ここですか」


キデギス「あなたは?」

???「私は貴族のオテモと申します」


キデギス「何しにここへ?」

オテモ様「ここに来ると、妻を切ってくれると聞きまして、是非、妻を」


キデギス「私が何故お前の妻を切らないといけないんだ。女の敵めっ! くらえ、稲妻斬り!!」

オテモ様「ぐはっ。このしびれる感覚、まさに恋。キデギス様、是非、私めの妻に」


キデギス「何故、私がお前の妻にならなければならないんだ。女の敵めっ! くらえ、稲妻斬り」

オテモ様「ぐはっ」

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