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『旅野びの』と『戻衛覧』の異世界漂流記 ~ステータスがファンタスティック~  作者: いたあめ(しろ)


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覧、作戦を伝える

「覧、推測って、例えば、どんなこと?」


「1つ目は、そもそもの目的が城にある場合。大樹の城に大人数出兵させることにより、城の警備を薄くさせるために誘っていると考えられる」


「なるほどであります」


「2つ目は、魔王の能力に関係している場合。例えば、我々の人数が増えれば増えるほどステータスが強くなるなどといったような能力があれば、戦いを有利にするために、人を集めようとするだろう。あるいは、魅了効果が得意な魔王なら、人間同士で殺し合いをさせるはずだ」


「ほほう。確かに、一理あります」


 さすが、覧、魔王が立案しそうな作戦を先読みして、的確に返している。


「おそらくだが、わざわざ城にまで乗り込んでくる行動力に、挑戦状を暗号にして送りつけてくるところからみると、この魔王は、大胆不敵かつ、狡猾なことがうかがえる。だから、数で攻めるよりは、少数精鋭のみで敵の本拠地へ乗り込んだほうが良いと考える」


「それでは、魔王討伐ギルドと相談をして精鋭を……」


「いや、討伐には、城の兵士だけで行き、魔王討伐ギルドには、この町を守るように要請して欲しい」


「それは、どういった了見でありますか?」


 首をかしげる大佐。


「魔王討伐ギルドには、今、家族を失った悲しみでギルドに集まっている人が多いと聞いている。いくら少数精鋭でも、指揮を乱すものがいれば、自滅しかねない。もしも、その者たちが復讐心にかられ、万が一、統率を乱すようなことがあれば、近況の思惑通りの展開になるだろう」


「……と申しますと?」


「先ほど話したように、もしも、近況が魅了の使い手であったなら、人の憎しみをうまく利用し、互いを殺し合わせるであろう。そのようなことを避けるためにも、復讐心に囚われない兵士のみでメンバーを編成して欲しい……まあ、なかなかそういった人材はいないとは思うけど」


 覧は、悲しそうな眼をして、顔をそむけた。


「わかったであります」


「ついでに言うと……」


「他にも何かあるのでありますか?」


「できればなんだが、自然な理由があればなんでもいいんだが、極秘裏にパーティーを編成をして欲しい」


「何故ですありますか?」


「国民に不安を与えないためだ。本当は魔王を討伐していると国民に悟られぬよう、適当な理由をでっちあげて欲しい」


「適当な理由と申しますとどんなものでありますか?」


「例えば、王子様の湯治が必要で、護衛のために精鋭が遠出するといったような理由だ」


「了解したのであります」


 本当に覧は、気遣いのできる娘だ。

 

 不安にさせないために、民衆のことまで考えている。


 僕じゃ、ここまで多くの人のことを考えられない。


 朝みたいに、一人で目的地も分からずに、ドタバタするだろう。


 そして、ドタバタしている僕を見て、民衆は不安がるのだ。


 あんなのが勇者で大丈夫か……と。



「大樹の城までの道案内を頼む」


「城の内部へは行かなくていいとおっしゃるのでありますか?」


「ああ。さっきも話したが、全員で行けば行くほど不利になる恐れがある。城の中へは、ボクとびの君の二人で入る。ボクとびの君の体力温存のために、道中だけ警護してくれればそれでいい」


「かしこまりました」


 メモをとりつつ、作戦の概要をまとめる大佐。


「もし、大樹の城とやらの見取り図やマップがあるなら、お貸し願いたい」


「分かりました。すぐ、お持ちするであります」


 覧の作戦をきいた大佐は、意気揚々と部屋を出ていった。


「ある程度作戦はまとまったかな」


 覧は、ふー……と一息つく。


 うん、作戦会議って、大切だね。


「ねえ、僕は何をすればいいの?」


「そうだなー、びの君がすることは特にないかな」


「え? 何かあるでしょ?」


「うーん、何もしなくていいかな? ボクが守るから」


「いや、何か僕にもさせてよ」


 今更挽回できるとは思ってないけど、覧に守られてばかりいたら、僕のメンツはつぶれっぱなしだ。


「……と言われても、びの君、何もできないからな」


「何でもするから」


「え? 今、びの君、何でもするって言った?」


 何でもするに反応する覧。


 あ、これはまずいパターンだ。


「あ、いや、何でもはしないかなー」


「そうだよね。やっぱり、びの君は何もしなくていいからね」


 あれ? 話をはぐらかされたのかな?


「あ、そうだ」


 思いついたように言う覧。


「何かすることあった?」


「とりあえず、ご飯食べておこう。いつでも出発できるように」


「そうだね」


 覧は、お城に仕えている召使を呼び、食事を持ってこさせる。


「お腹が空いては戦はできない……ってね」


「うーん、王宮で出されるスパゲッテイも美味しいね」


 僕と覧は作戦室で、ご飯を満喫した。


 …………


 ……


 兵士が準備を終えたころには、お昼を過ぎていた。


「覧様の指示されました通り、王子様の湯治という名義で、精鋭がお供するという形にさせていただきました。魔王討伐ギルドには、この町の警備の徹底をお願いしました」


「お疲れ様。大樹の城までの道中、何もないと良いんだけど……」


「我々護衛がついておりますので、心配する必要はありますまい」


「うん、よろしくね。頼りにしてるよ」


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