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『旅野びの』と『戻衛覧』の異世界漂流記 ~ステータスがファンタスティック~  作者: いたあめ(しろ)


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びのVSハードスライム

2020年5月13日、誤字を修正しました。

 僕は、とっさに、近くにあった石を投げる。


 しかし、石は、ぼよんと跳ね返り、虚空へと消えていった。


 石でも、ダメージを与えられない……


 そういえば、ワセシ師匠が教えてくれていたじゃないか。


 ハードスライムは表面が固いって……


 もっと硬いものを探さなきゃ。


 石より硬いものってなんだ?


 金属とかか?


 僕は慌てて周りに使えそうなものがないかを見回す。


 しかし、近くにあるのは同じような大きさの石ばかりで、他に使えそうなものはない。


 それなら……


「誰か、誰かいませんか?」


 物がダメなら、人だ。


 このハードスライムを倒せる人がいれば、覧を助けられるはず。


 必死に大声をあげて助けを求めるが、どこからも返事はなかった。


 覧の姿をみると、もう全身飲み込まれそうだった。


 物も人もダメ。


 どうする? どうすれば覧を助けられる?


 何に頼ればいい?


 いや、待て。


 ここに僕という存在がいるじゃないか。


 僕が自分でなんとかするしかないじゃないか。



 それなら……


 たった今、覧からもらったこの銃で……


 待てよ。


 覧はこの銃の安全性を確かめたのか?


 暴発したら、僕にもダメージがくる。


 僕のHPは1。


 下手したら、覧を助ける前に僕が死んでしまうかもしれない。


 いや、非常事態だ。


 僕にくるダメージなんてのは、この際考えるな。


 僕がこの銃を使って覧を助けるしかないんだ。


 ……できるのか? 僕に?


 仮に、銃が暴発しなかったとしても、もし、覧に当たってしまったら……


 運よく覧に当たらなかったとしても、銃の火力が大きすぎて、覧も巻き添えになってしまったりしたら……


 そう思うと、手が震え、引き金を引けなくなる。


 でも、早くしないと覧が……



「びの君、全弾、撃って、その銃は……」


 覧が何かを叫ぼうとしたとき、覧の全身がハードスライムにのみこまれた。


 どうする?


 どうするって、戦うしかない……びの!!


 勇気を出せ。


 さっき覧から学んだじゃないか。


 弱いから戦わないんじゃない。戦わないから、弱いままなんだ。


 覧の言葉を自分に言い聞かせる。


 戦え、戦え、びの。


 覧は捕食される前、全弾撃ってと言った。


 ハードスライムに当たりさえすれば、きっと覧に被害はでない。


 そうだ。覧なら、ハードスライムの中でシールドをして、被害を最小限に抑えているかもしれない。


 覧が撃てと言ったんだ。


 覧を……覧が造った銃を、そして、自分を信じろ。


 僕は、ハードスライムに銃口を向け、銃の引き金を何度も何度も引いた。


 バキューン

 バキューン

 バキューン

 バキューン

 バキューン

 バキューン


 銃の引き金を6回ひいたあとは、カチッカチッとリボルバーだけが回る。


 どうやら、弾は一度に6発しか詰められないようだ。


 僕が放った弾は、ハードスライムに6発命中。


「よし、全弾当たった」


 もしかして、僕、銃の天才なんじゃないか?


「あとはダメージだけど……」


 全弾当たったにも関わらず動きを止めないハードスライム。


 威力が足りなかったのか?


 どうする?


 もう、銃に弾は入っていないというのに……


 ……って、え?


 ピカッ


 急にまばゆい光が目に飛び込んできたと思ったら、ハードスライムは虚空へと消えていった。


 ハードスライムが虚空へ消えると同時に、覧が姿を現す。


「覧!」


「うへー、べっとりとして気持ち悪いよ、びの君」


 覧は全身粘液にまみれていた。


「生きてて良かった、覧、怪我はない?」


「うん、大丈夫。なんか、生臭いけど」


 自分の青衣に顔を近づけ、鼻をすんすんさせながら嫌な顔をする覧。


「とりあえず、無事で良かった」


「びの君が助けてくれたの?」


「うん、覧からもらった銃で」


「ありがとう、びの君」


「いやいや、覧の銃のおかげだよ」


「敵に銃弾を当てられた?」


「もちろんさ。全弾的中だよ」


「本当に?」


「本当だよ、覧。覧がハードスライムに飲み込まれたとき、『覧を解放しろモンスターめ』って叫んで、『解放しないなら、この天才ガンマン、旅乃びのの銃が火を噴くぜ』って宣言しながら、モンスターに向かって銃を撃ったら、敵が虚空へと消えていったんだ」


 話を誇張しながら覧に説明をする。


「へー、そうなんだ」


 覧は目を僕のほうにはむけずに返事する。


「僕、射撃の才能があるかもしれないね」


「あのね……びの君、言い出しにくいんだけど……」


「どうしたの覧?」


「あのね、その銃、撃ち方さえ間違えなければ、必ず当たるんだ」


「え? それはどういうこと?」


「弾にホーミング機能がついてるんだ」


「たまに、ホーミング機能?」


 時々ホーミング機能がついてきますってことか?


 ホーミングの意味は分かんないけど。


「いや、時々の『たまに』じゃなくて、全ての弾丸に敵を追跡するホーミング機能がついてるってことね」


「え? そうなの?」


「うん。そうなの」


「そんなことどうすればできるの?」


「魔法で」


「そんなこともできるの?」


「うん。びの君、運悪いし、銃の才能もないだろうから、ボクの風魔法と索敵魔法を弾に融合させて、びの君の半径12m以内にモンスターがいれば、必ず当たるよう調節したんだ」


「じゃあ、僕の銃の才能は……」


「あるといいね……」


 語尾に『多分ないと思うけど』という言葉が隠れている言い方をする覧。


「でもでも、あのピンチの場面で開花したかもしれないよ?」


 ほら、ヒーローはピンチになると隠された才能が開花されるみたいな。


「あるといいね……」


 覧は、先ほどと同じ言い方で繰り返した。


「きっとあるさ」


「じゃあ、スクロールで確認すればいいんじゃない? ついでに、レベルアップしたかも確認したら?」


 さすが、覧。


 スクロールを確認すれば、一目瞭然じゃないか。


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