びの、覧の魔法の師匠にあう
「すみません。HPポーションとMPポーションをください」
「はいよ。HPポーション一瓶5シルバー、MPポーション一瓶1ゴールドね」
「え? そんなに高いの?」
「そりゃあ、魔王を討伐のための必要物資で、なかなか市場まで出回らないからね」
「そういえば、ナルも似たようなことを言ってたな」
「それより、どうすんだい? 買うのかい、買わないのかい?」
「二瓶ずつ買います」
「まいど、3ゴールドね」
僕は、3ゴールドを払うと店をあとにし、家で覧と合流をした。
「びの君、ポーションは買ってくれた?」
「もちろん。でも、高かったんだ」
「しかたないよ」
「あと、ナルって子と友達になったんだ」
「それは、良かったね。ちなみに、ナルって、女の子?」
「うん」
「また、女の子と仲良くなって……」
「なんか言った?」
「いや、何も」
「覧はどうだった……って、青衣姿ってことは、まさか、魔法少女の装備が溶けたんじゃ……」
「もう、血相変えて、びの君のエッチ」
「自分で自分の顔を見れないけど、きっと僕の顔は、真っ青だよ」
ああ、公然わいせつ罪で捕まってしまうのではないか?
「心配しないで。ボクは個人レッスンで、基本の魔法で攻撃する方法を覚える時に念のため青衣に着かえただけだから」
「それを聞いて、安心したよ、覧。で、どんな魔法を覚えたの?」
「長くなるけど、聞く?」
「うん」
すごく興味ある。
「えっと、基本の魔法は、火の魔法は、ファイヤーボルト。水魔法のウォータースラッシュに、風魔法のエアウィンドに、金魔法のロックに、土魔法のアース。上位魔法として……」
「うんうん」
内容が全然頭に入ってこなくなった。
「…………組み合わせ魔法として…………」
「覧、ちょっと待って。いったい、今日一日で何個魔法を覚えてきたの?」
「129個」
「今日一日で?」
「うん、それと、魔法具の作り方」
「覧、どんだけ、優秀なの?」
「まあ、覚えただけだよ。ボク、MPが少ないから、全部唱えられないしね」
「それでもすごいよ、覧」
「今のところ、実戦で使えそうなのは、水の攻撃魔法、ウォータースラッシュと水の防御魔法ウォーターウォール、攻撃強化のオフェンスアップ、防御強化のディフェンスアップ、素早さ強化のスピードアップ、あとは回復魔法のヒールくらいなもんだよ」
「大回復魔法とかは?」
「覚えたけど、ボク達の最大HPが多くないから、今のところ必要ないでしょ」
確かに。僕に関していえばHP1だし。
「そうそう、ワセシ師匠、狩場を教えてくれるって」
「ワセシ師匠?」
「ボクに魔法を教えてくれる、とへーんとした師匠だよ。お昼ご飯食べたら、魔法ギルドに行こう」
「うん、そうだね」
ご飯を食べ終え、覧と二人で魔法ギルドの入り口に行く。
そこには、黒い魔女の帽子に、杖を持った、金髪立てロールの、いかにも魔女という格好の女性がいた。
「こちらが、ワセシ師匠。で、こちらがびの君」
「今日はよろしくお願いします」
僕は深々と頭を下げ、挨拶をする。
「はい、よろしくなのー、びの君」
気が抜けるぽわぽわとした返答をするワセシ師匠。
「ワセシ師匠、ボクはびの君じゃないです」
「あらー、貴女はだれなのー?」
「ボクは貴女の弟子の覧です」
「じゃあ、こっちがびの君なのー?」
「それは、銅像です。びの君はこっちです」
「よろしくなのー」
握手を求められて、僕は握り返した。
握り返した瞬間、目と目があい、ワセシ師匠のぽわわーんとした表情に視線が泳ぐ。
「長いよ、握手長いよ、びの君」
「え? あ、そんなに長かった?」
「いいから、手を離して」
「えっとー、今から何するのー?」
「午前中に言いましたよね? 初心者の狩場を教えて欲しいって」
「ああ、そうだったのー。それじゃあ、ついて来てくるのー」
ワセシ師匠についていき、町を出る。
久しぶりの町の外。
町の中とは異なる草の匂いや、土の匂い、水のせせらぎ、鳥のさえずり、目に入るもの全てが新鮮に見える。
十分程歩くと、ワセシ師匠は足を止めた。
「ここら辺は、スライムばかりで、子どもや初心者のレベルアップに最高の場所なのー」
「狩場を教えていただき、ありがとうございます」
「いいの、いいの。ただし、ハードスライムだけには気をつけるのー」
「ハードスライム?」
「スライムの主っていえばいいのー? 一見するとスライムなんだけど、表面が鈍色らしいのー。気配を消して後ろから捕食してくるらしいのー」
「初心者だと倒せないんですか?」
「無理だと思うのー……噂ではHPは5程度なんだけど、いかんせん、表面が固すぎてダメージを与えられないらしいのー。ま、滅多に現れることはないらしいから、そんなに気にすることもないと思うのー」
「わかりました、情報ありがとうございます」
「いいの、いいのー。LV上げ、頑張って欲しいのー」
それだけ教えてくれると、ワセシ師匠は町へと帰っていった。




