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『旅野びの』と『戻衛覧』の異世界漂流記 ~ステータスがファンタスティック~  作者: いたあめ(しろ)


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旅乃びのの災難

「でも、ずるいぞ、覧。一人だけメイキャップを買って」


「そういうと思って、びの君のメイキャップ買っておいたよ」


「さすが、覧」


 僕のことまで考えてる。


「はい、びの君のメイキャップ!!」


「おおっ!! これは、ミドラさんが持ってた、デニムタイプの色違いだね」


「そう、おとこのこ版。びの君に似合いそうなものを買って、セットしておいたから」


 覧は、サムズアップした。


「さすが、覧」


「さあ、被ってみて」


 僕は覧に促されるまま、メイキャップを被った。


 ぱっと衣装がかわった瞬間、覧が帽子をうばいさる。


 さあ、覧は、どんな衣装をコーディネートしてくれたんだろう。


 何か、すーすーする衣装だな。


 特に上半身と脚が。


 温かい気候に合わせて、Tシャツに短パンみたいな感じかな?


 デザインとかどうなってるんだろう?


 あ、この家に鏡はないんだっけ……


「僕、似合ってる?」


 ぼーっと僕を見つめる覧。


「覧?」


 覧は、無反応だ。


「……鼻血出そう……」


 そんなに、カッコいいコーディネートなのか……


 さーて、衣装とご対面……


「え?」


 これって……


「ミドラさんが一番最初に勧めてきた、セクシードレスじゃないかーーーーー」


「うん、似合ってるよ、びの君。あー、ここにカメラがあればなー」


「覧、おとこのこ版って言ったよね?」


「うん、だから、男の娘版」


「はやくメイキャップ返してー」


「そんなものはない」


「あるでしょ?」


 覧、何で遠くを見ながら、キメ顔してんの?


「燃やしちゃった。ボクの魔法、ファイヤーで」


「嘘でしょ?」


 目の前でファイヤーを使えば、僕にだってわかるはずだ。


 多分。


 「ばれたか」


 覧は、メイド服の中に隠していた帽子を取り出した。

 

 僕は覧からメイキャップを奪い取り、学生服に戻る。


 あー、恥ずかしかった。


 死ぬかと思った。


 ここに覧しかいなくてよかった。


 もし、人前でこんなことをさせられたらと思うと、ゾッとする。


「そういえば、びの君、お風呂どうする? 辺りが暗くなる前に入った方がいいと思うんだけど」


「お風呂、あるの?」


「魔法でお風呂炊いてみた」


「何、その投稿系動画のタイトルみたいな言い方……」


「まあ、一生懸命炊いたってことだよ」


「一生懸命炊いてくれたなら入るよ」


 そういう一生懸命に頑張ってくれた人の気持ちを無駄にしてはいけない。


「そうこなくっちゃ」


「……覧、絶対覗いちゃダメだからね」


 覧が、何かやらかしそうな雰囲気だったので、くぎを刺す。


「覗くなんて、そんな程度の低いことしないよ」


「しそうで怖いんだよなー」


「そんな程度の低い覗きなんかしないってば」


「何その含みのある言い方……」


「もう、覗きなんかしないってば。ボクの言葉を信じて」


 これ以上の問答してもらちがあかない。


 僕は脱衣所で服を脱ぎ、浴室に入る。


 もくもくと立ち上る湯気。


 お、覧、成功してるじゃないか。


 僕は、バスタブにざぶんと身体を沈めた。


「……熱い!!」


 僕はバスタブから出て、石造りの床にのたうち回る。


 全身やけどしそうな勢いだ。


「どうしたの、びの君、大丈夫?」


 覧が風呂場に入って来た。堂々と。


「お風呂が熱くて……」


「それは、大変だ。今、その腰に巻いているタオルを取って、体冷やしてあげるから」


「それはいいから」


 ちっ……


 どこかで舌打ちが聞こえた気がした。


「水を……」


「水だね? ウォーター! あ、もし、ボクの魔法でびの君のタオルがはだけちゃったら、事故だからね」


「何か、最後に言った、覧?」


「ウォーター!」


 覧のウォーターのおかげで人心地つく。


 これなら、水のほうがまだましだった。


 そもそも、ここは、日本の夏の気候に近いんだし。


「あー、やっぱり熱かったかー。ファイアの魔法でお風呂を沸かすのは難しいな」


「知ってたよね? 知っていたよね? 覧」


「何がー?」


「お風呂が尋常じゃない熱さだってことだよ」


「へー、ソーダッタンダー。シラナカッタナー」


「こらっ、片言で目を逸らすな」


 全身やけどしそうだ。


 これなら、水風呂のほうがまだましだった。


 ……ってか、わざわざお風呂にしなくても水で良くないか?


 そもそも、ここは、日本の夏の気候に近いんだし。



「しかも、お風呂シーン覗いたよね?」


「いや、覗いてはいないよ。堂々と入ったんだよ。眼福だった」


「今、最後の言葉は聞き捨てならないんですけど」


「いやー、難しいね、日本語も魔法も」


「熱すぎるお風呂は、覧がお風呂場へ堂々と入るための布石だよね?」


「何言ってるのびの君、ボク、もう疲れたから、寝るよ。おやすみ」


 覧は話をはぐらかして、ベッドへと向かった。


 今日は色々あって、僕ももう眠いや。


 覧の説教は明日にしよう。


おまけ

大臣の災難(本編と滅茶苦茶リンクします)


――その頃、大臣は、びのと覧を誘拐するために、町中の宿屋を捜しまわっていた――

大臣の災難 完


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