覧、家の内見しないってよ。
5月1日、誤字修正しました。
内容にかわりはありません。
「内見に行かなくても、よろしいのですか?」
「ええ。契約書を作ってくだされば、それでいいです」
「かしこまりました」
「予定通り、権利は、この旅乃びのにしていただけますか? あと、だいたいでいいので、場所を教えてください」
「それでは、住民票をお持ちですか?」
「びの君、木札」
言われて、鞄の中を探す僕。
「あれ? 鞄の中に入れておいたはずなんだけどな……」
「もう、しっかりしてよ、びの君」
お金が邪魔で、どこかに行ってしまったみたいだ。
「そうだ、先にお金を……」
ごふっ
覧の無言のエルボー。
「渡さないで、権利書をもらってからお金を払おうね」
「そうだね。あ、あった」
僕の木札を確認すると、インクをペン先につけ、さらさらと、羊皮紙の上に文字を書く不動産屋さん。
「それでは、こちら家の鍵と土地の権利と家の権利の写しですわ」
インクが渇くのを確認すると、僕に権利書を渡してくれる、クールビューティー。
「700ゴールドです」
覧は、権利書を一通り確認して、お金を差し出す。
「確かにいただきました。よろしかったら、家を紹介しますが」
「それには及びません。ボクには、素敵なナイトがいますから。ね、びの君」
覧に肩をポンと叩かれる。
「そうですか」
クールビューティーは僕を一瞥し、納得する。
ナイトはステータス、ほぼ1だけどね……
「ははは……」
適当に愛想笑いをする僕。
「あ、オテモ様の土地だと分からないようにして欲しいともおっしゃっていましたので、このことは内密にお願いします」
「重々承知しております。本日は、ご利用ありがとうございました。オテモ様には、よろしくお伝えください」
「いえいえ、おそらく、オテモ様には、言わないほうがいいでしょう」
「それもそうですね。オテモ様が気に入れば、また利用してくださるでしょうしね」
微笑を浮かべるクールビューティー。
「どういうことだよ、覧。何で、こんな子どもにあの不動屋さんは家を売ってくれたの?」
何が起こっているのかさっぱり分からない。
「んー、オテモ様のおかげ?」
「そもそも、オテモ様って誰?」
はじめて聞く名前だよ!
「オテモ様は東の貴族だよ。びの君、あの不動屋さんのお姉さんも言っていたじゃないか」
「いや、なんで、そのオテモ様の名前を出すと、家を売ってくれるのさ?」
「ああ、オテモ様は大変おもてになるからね」
「表になる? 裏がないってこと? 占い師?」
僕は思いつく限りのことを覧にぶつける。
「そうじゃなくて、女性にもてる、もてもてのほう」
「なんで、オテモ様がおもてになると、僕たちに家を売ってくれることになるの?」
全然理由になってない。
「オテモ様は、奥さんと子どもがいるにも関わらず、たくさんの愛人がいるんだよ」
何、そのモテモテ男?
はやく粛清しないと。
「愛人? ああ、なるほど、そういうことか。……ってならないからね? もう、話がややこしくなりすぎて、何がなんだか、さっぱりわからない」




