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『旅野びの』と『戻衛覧』の異世界漂流記 ~ステータスがファンタスティック~  作者: いたあめ(しろ)


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びのと覧、ギルドへ向かう

 「ごめん、待たせちゃって」


 とってもにこやかな覧。


 「いや、大丈夫だよ」


 「それじゃあ、魔法ギルドに行こっか」


 「え?」

 

「いや、だから、魔法ギルドだよ」

 

「魔法ギルドより先に、僕の戦士ギルドに……」

 

「ん? びの君、ギルドに所属するつもりなの?」

 

「当たり前じゃないか。僕は勇者だよ?」

 

「勇者なのは分かるけど、びの君、武器は装備できなかったんだよ?」

 

「そりゃ、そうだけど……」

 

「徒手空拳で戦士ギルドに所属するの?」

 

ごめんなさい、僕が間違ってました。徒手空拳で戦士ギルドなんて無理です。

 

あれ? 待てよ?

 

「そんなこと言ったら、覧だって装備できなかったじゃないか」

 

「さっき、ミドラさんから話をきいたら、魔法スキルを持っていれば、装備しなくても使えるらしいよ」

 

装備無しで魔法が使える……

 

手からファイヤー的な? 杖なしで空を飛ぶ的な? 鼻から牛乳的な?

 

え? 超かっこいいんですけど。鼻から牛乳は違うけど。

 

「じゃあ、僕も、魔法ギルドに……」

 

「びの君はないでしょ? 魔法スキル」

 

「そうでした」

 

「びの君は、少しレベルをあげてからギルドに所属すればいいと思うよ」

 

「たしかに」

 

その通りだ。せめて武器を持ってからでも遅くはない。

 

「それじゃあ、魔法ギルドに向かおうか」

 

「そうだね、行ってみよう」

 

 

 「そういえば覧、ギルド、ギルドっていうけど、ギルドってどういう意味なの?」


魔法ギルドへ向かう道中、覧に素朴な疑問をぶつけてみた。


「え? びの君ギルドって言葉の意味もわからずに使ってたの?」


「まあね。ゲームで使ってたから、そのままのノリで」


普段、ゲームに出てくる言葉の意味まで意識してないからな……


「簡単に説明すると職業別の組合のことだね」


「職業別の組合……」


「うん、同じ職業同士で集まるんだ。利用者は、情報交換したり、仕事をもらったり、新人を育成したりするんだよ」


「ギルド、すげー」


「まあ、ギルドを運営するためのお金を収めたりしなきゃいけないんだけどね」


「ギルド、さいてー」


お金をおさめなきゃいけないなんて、聞いてないよ。


「ねえ、覧、覧なら、魔法ギルドに所属しなくても、魔法使えるんじゃない?」


「びの君、こんな話を知っているかい?」


「どんな話?」


「僕たちの元居た世界にも羊皮紙ってあったよね?」


「それは知ってる。動物の皮でできた紙でしょ?」


「中世の羊皮紙の詳しい製法は、いまだによくわかってないんだ」


「え?」


わかってない? なんで?


「なぜなら、ギルドの人たちが、羊皮紙の製法を秘伝にしたから」


「いや、まさか」


「本当です」


まじか?


「今回の場合も同じだよ、びの君。もし、独学で魔法を勉強したら……」


「一生、分からないかもしれないってこと?」


「最悪ね。まあ、時間をかければわかるかもしれないけど」


「覧、頭いいんだから、ギルドに所属しなくたって、魔法を出せるようになるんじゃないかな……だから」


「びの君、改めて訊きます」


どうしたの、覧? 急に立ち止まって改まった顔をして……


「びの君、ここでの最終目標は何?」


え? 僕の最終目標? それは……


「元の世界に帰ること……」


「そうだよね? 元の世界に帰ることだよね? そのためには、何をしなきゃいけないの?」


「魔王を倒すこと……」


「そうだね、魔王を倒さなくちゃいけないね」


「それって、時間がかかってもいいの?」


「時間?」


「そう、時間」


それは……


「ねえ、びの君、元の世界にいるお母さんやお父さんのことまで、考えている?」


「え?」


「もし仮に、ジオフの世界と元の世界が同じ時間軸だとしたら、元の世界では、ボクとびの君、もう4時間も行方不明のままなんだよ?」


「あ……」


そうか、元の世界では、家族や友達が心配しているかもしれない。


「このジオフの世界で、ボクが時間を費やして、魔法を独学する時間なんかないんだよ」


「そっか、1秒でもはやく魔王を倒さなくちゃいけないんだ」


「そうだよ、びの君。目標を見誤らないで。『元の世界に戻るために魔王を倒す』のが最終目標であって、『独学で魔法を覚える』ことが最終目標じゃないんだからね?」


確かにその通りだ。


「ついでに言うと、ボクが元の世界で学校に行かないのは、科学の研究をして、世界に貢献することが最終目標で、学校に通うことが最終目標じゃないんだからね」


「それは論理が飛躍してるんじゃ……」


「そんなことないよ」


「じゃあ、僕の目標は、覧を学校に行かせることが最終目標だ」


「え? びの君、そんな最終目標でいいの?」


「いや、難しいだろ? ひきこもりの覧を学校に行かせることだよ?」


「もう、ボクを学校に行かせたいって、最初から言ってくれれば、ボク学校に行ったのに」


「本当? 嘘じゃないよね?」


「もちろん、びの君と一緒に、学校に行くよ。夏休みとか、日曜日とか祝日とか」


「いや、それ、僕の最終目標じゃないからね?」


「え? だって、ボクが学校に行けばいいんでしょ?」


うわー、揚足をとってきたー。


「そういうことじゃなくて、学校に通えってことを……」


僕が言葉を続けようとすると、覧が遮った。


「あ、びの君、ついたよ、魔法ギルド」


「これが、魔法ギルド?」


目の前には、じめじめした場所にある、陰気なレンガ造りの建物があった。


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