覧、武器を試着してみる
「びの様がだめなら、あなたが試すしかないにゃ」
「ボク?」
「そうにゃ。スクロールだすにゃ」
「ボクはこんな感じだけど……」
覧は、何の抵抗もなく、スクロールを見せる。
「おお、これなら子ども用は装備できそうにゃ」
「じゃあ……」
青衣を床に脱ぎ捨てる覧。
「ちょっと、覧、ここで脱衣しないでくれる? 男性がいるんだけど……」
「え? どこに?」
きょろきょろと店内を見回す覧。
「今日、男性店員はお休みのはずにゃ」
あの、一応僕も男性なんですけど……
「あ、もしかして、びの君のこと? ごめん、ステータスが赤ちゃんよりないから、男性じゃなくて男の子だと思ってた。ほら、赤ちゃんの時は男の子も女湯に入るのが許される的な」
はいはい、どうせ僕はステータス低いですよーだ。
「僕の言いたかったことは、別に、服を脱がなくても、いいんじゃない? さっき僕が持ったように、木刀を持つとかさ……」
「それもそうにゃ」
「びの君、こういう時だけまともなこと言うよね」
僕は、いつもまともです。多分……
「じゃあ、とりあえず、ボクにも扱えそうな、最強の武器を用意して」
「その前に質問にゃ。覧様は、ステータスが平均的だにゃ。どんなギルドに所属したいとか、どんなタイプになりたいとかあるにゃ?」
「それ、大切なの?」
「そりゃ、そうにゃ。戦士ギルドに所属するのに、杖を装備したら笑われるにゃ」
まあ、それもそうか。
「ボクは、魔法ギルドに所属したいと考えているよ」
おお、さすが、覧。
「覧様は、魔法使いになりたいのかにゃ? それじゃあ、杖か魔導書か手袋が一般的にゃ」
「一般的ってことは、特別なものもあるの?」
「魔法剣士は、魔法剣を装備することもあるにゃ」
「おおー、かっこいい。魔法剣!!」
「まあ、魔法剣士なんて、世の中広しといえども、今はキデギス様くらいしかいないにゃ」
「キデギス様?」
「我が国最強の魔法剣士様の名前をしらないにゃ?」
「うん、知らない」
「びの様は、ステータスも可哀そうだけど、頭の中も可哀そうなんだにゃ」
そりゃ、ここに来たばかりだから、そんなの知ってるわけないだろ。
「あーもう、キデギス様のことより、覧の装備の準備をしてよ」
「そうだったにゃ。覧様のステータスで最強の武器だと、そこの小さな銀色のメイスがいいと思うにゃ」
「覧、気を付けて、びりっとくるかもしれないよ」
「これか……」
僕の警告を無視し、普通に手に取る覧。
全然びりびりしてるようには見えない。
覧のステータスは、12だから当たり前なんだけど。
「それを持ちながらステータスチェックをするにゃ」
覧は、スクロールを確認する。
「……補正値がついてない」
ぼそりとひとりごちる覧。
「ミドラも子どもだし、スクロールの難しいことはわかんないけど、おそらく、お二人が特殊な体質だってことにゃ」
「ちょっと、待って。……ということは、どんなに強い武器を装備しても、反映されないってこと?」
装備が反映されないなら、素手で戦えってこと? 無理ゲーじゃないか。
「まだ、わからない。ただ、スクロール上で補正値が足されていないだけで、この武器で攻撃すれば、破壊力はあるのかも……」
そうか。僕たちの元の世界と一緒だ。
元の世界にステータスなんて概念はないから、仮にバットを持ったとしても、攻撃力の数値化なんかできない。
でも、バットで攻撃すれば、攻撃力は素手よりも強くなる。
そうだ、きっとそういうことなのだ。
「びの君、確認のために、このメイスで殴らせて」
「よーし、任せろ……って、覧、なに言ってんの? 僕、王子様に殴られて気絶しちゃったんだよ? そんなので殴られたら死んじゃうよ」
それもそうかと納得する覧。




