びの、色々な武器を試着する
「僕の親戚の話よりも、今は僕のステータスのことだよ」
「あ、そうだったにゃ。補正がついてないことだったにゃ。」
「そもそも論なんだけど、このステータス、古いから壊れてるんじゃないの? 僕のステータスが1っておかしいよ」
「いやいや、通知表でオール1取ったびの君なら、あり得るよ」
「いやいや、学校の評価とスクロールの評価が同じのはずないじゃないか。やっぱりどこか壊れてるんだよ」
「このスクロールは壊れてないにゃ。壊れてたらそもそも数字が出るわけないにゃ。それに、ビンテージ・スクロールは、古ければ古いほど、周囲の魔素を吸収して溜めてるから、正確な数字と激レアな技能を出したりするにゃ」
「マゾがたまる?」
「魔素にゃ!! 魔法を使うために必要なエネルギーにゃ」
「ああ、魔素ね、魔素、魔法のためのエネルギー」
魔素については全く知識がないので、適当に話を合わせる。
「もし、使われていなかったら、このスクロール、一本100ゴールドはくだらないにゃ」
「100ゴールド!!」
100万円じゃないか!!
そんなに高価だったのか!!
「あのーですねー、ミドラさん……」
「にゃ?」
「びの君、使われてないスクロールだったら、100ゴールドなんだからね? それと、今のびの君のステータス、不特定多数の人に見せるの?」
覧は僕のしようとすることが、手に取るようにわかるな。
「何でもないでーす」
「それより、何で、ステータスに補正値が入ってないか……だよ」
「考えられるのは二つにゃ。一つ目は、お二人の装備が特殊すぎて、判別できないのかもしれないにゃ」
「あ、それはありそう」
僕は学生服で、覧は青く染まった白衣。
どちらも元の世界の服だもんな。
「もう一つの可能性は、お二人の体質が特殊すぎて、装備しても補正されないという可能性にゃ」
「え? それって……」
「どんな装備をしても、補正がかからないってことにゃ」
「ちょっと、待ってよ。僕、ステータスほぼ1なんだよ?」
補正がかからなかったら、生身で戦うってこと?
絶対無理。死ねます。
「まあ、試せば、一発にゃ」
「試すって?」
どういうことだ?
「実際、ここに売っているものを試着すればいいってことでしょ?」
「そうにゃ」
「もしも、試着して、補正値がでれば、装備が特殊だったってことだし、逆に補正値がでなければ、ボクたちの体質が特殊すぎるってことでしょ?」
「なるほど」
さすが、覧。
「ああ、でも、びの様じゃ確認できないにゃ」
「え? なんで?」
「ステータス値が低すぎにゃ。子ども用でも難しいと思うにゃ」
「いやいや、それはないでしょ? ほら、力あるよ」
僕は、両腕で筋肉アピールをする。
「力とは、また別にゃ。どんなに弱い装備でも、筋力が5は必要にゃ」
「じゃあ、僕が装備を試着したらどうなるの?」
「びりびりって、体に電気が流れるにゃ」
「なんで?」
「赤ちゃんの危険防止のためにゃ。全ての装備には特殊なプロテクト魔法がかけられているにゃ」
「赤ちゃんの危険防止……」
僕の筋力は、赤ちゃん並だというのか……
いや、そんなはずはない。
「試しにその木刀を持たせてよ」
「はいにゃ」
よく、男子が修学旅行のお土産で買うタイプだ。
僕が持てないわけがない。
「あわわわわわ」
僕が木刀を持った瞬間、体中に電気が走った。
「そんなに強い電流じゃないけど、赤ちゃんはこの電流にびっくりして、二度と持とうとしないにゃ」
「まだまだ。次は、その子ども用の盾を持たせてよ」
「はいにゃ」
こんなの、鍋の蓋じゃないか。
僕が持てないわけがない。
「あわわわわわ」
「まだ諦めないよ。次は、杖だ」
「はいにゃ」
これは音楽の先生が使っている指揮棒だよ。
僕が持てないわけが……
「あわわわわわ」
「やっぱり、全部だめだったにゃ。……スクロールの通り、赤ちゃん並の能力にゃ」
「運命は、僕を見放したか」
「最初から運のステータスは-1だよ」
覧の的確なつっこみにぐうのねもでない。
「剣も持てません、盾も持てません、魔法を使う杖も持てません、ついでに異世界の女性にもモテませんじゃ、正直、冒険者には向いてない……というより、お荷物だね」
アメリカン風に困ったと肩をすくめる覧。
返す言葉もございません。




