びの、ミドラにステータスをみせる
「そういえば、お客様、ここのお店は初めてだったにゃ?」
「……というより、こういう店が初めてなんだ」
「こういう店が初めてだにゃ?」
にゃにゃにゃ……と意味ありげに笑う猫耳メイド。
「言っておくけど、デートのための下見とか、変な意味じゃないからね」
「そうなのかにゃ」
がっかりするミドラさん。
機先を制して、正解だった。
「デートじゃないなら、何をお探しかにゃ?」
「強い武器と防具を探しに来たんだよ」
「おしゃれじゃなくて、本格的な武具のほうかにゃ?」
「そう。できるだけ強い武具を買いに来たんだ」
「それならそうと、はやく言うにゃ。……初心者には、高値で売りつけてやるにゃ」
「え? なんか言った?」
小さい声でぼそぼそと独りごちるミドラさん。
「なんでもないにゃ」
「ボクは聞いていたからね」
「ミドラは何も言ってないにゃ」
「とぼけても無駄」
「にゃー、ちゃんと適正価格で売りますにゃ」
「よろしい」
「こちらへどうぞにゃ」
ミドラさんは、僕達を店の奥の方へと案内してくれた。
「さあ、まずは、ステータスチェックにゃ。この、スクロールマニアで、ステータスマスターの、ミドラにステータスを見せるにゃ」
「スクロールマニア? ステータスマスター?」
新しい単語がでてきて、ちんぷんかんぷんだ。
「スクロールマニアとは、スクロールについて詳しい人のことにゃ。略してスクマって呼ぶ人もいるにゃ」
「ステータスマスターは?」
「年間、500人以上のステータスを見ていて、その人にあった装備を選べる人のことにゃ。略してステマとも呼ばれるにゃ」
「もしかして、ミドラさんって、ステータスに詳しい人なの」
「当然にゃ。スクマでステマのミドラとは、私のことにゃ!!」
現代人の僕には、スク水マニアがステルスマーケティングしているようにしか聞こえないんだけど……
「できればステータスは人に見せたくないんですけど……」
僕のステータスはほぼ1だし……
「そうおっしゃるお客様ばかりにゃ。大丈夫にゃ。どんなステータスでも恥ずかしくないにゃ。それに、ステータスは個人情報。決して誰にも言わないにゃ」
「ステータスを見せないで、選べないかな?」
なんとか食い下がろうとする僕。
「もし、その人に合わない武器だと、自分で自分を傷つけることもあるにゃ。それに防具は、その人の体力に合わない防具を着れば、戦闘はおろか、呼吸もできなくなっちゃうにゃ!!」
覧に目くばせすると、覧はこくりと頷いた。
見せろってことですか……
仕方なく、スクロールを見せる。
「にゃ? にゃにゃにゃ? どういうことにゃ?」
「ああ、僕のステータス、特殊みたいで……」
「装備が反映されていないにゃ!!」
「え?」
僕のステータスがほぼ1であることに驚いたのかと思ったら、そういうことではないらしい。
「それってどういうこと?」
訊いたのは覧だった。
「口で説明するより、見たほうがはやいにゃ」
言いながら、猫耳メイドはステータスのスクロールを見せてくれた。
ミドラ(ミドラ)LV10 身長:秘密 体重:秘密
HP:30(+0)
MP:30(+0)
天職:縫製士 レア度:☆
筋力:15(+0)
体力:15(+0)
耐性:20(+5)
敏捷:20(+5)
魔力:25(+10)
魔耐:30(+10)
運 :20(+5)
技能等:大量裁縫技能 レア度:☆
「普通、どんな服を着ていてもステータスの隣に、補正値(+0)がつくはずなのに、ついてないにゃ」
「そういえば、ダウゴ王子様のステータスの隣にも(+0)がついていたような……」
「にゃ? ダウゴ王子様のステータスを知ってるにゃ?」
「うん、もちろ……」
言おうとしたところで、覧にエルボーを食らわせられた。
あ、まずい。これ言っちゃいけないやつだ。
「あ、親戚にダウゴ王子様と名前が同じ人がいて……」
「そーなのにゃー、本物のダウゴ王子のステータスなら、お金儲けできると思ったのににゃ」
「僕、ダウゴ王子のステータス……」
「まあ、情報漏洩罪で国に命を狙われるかもしれないけどにゃ」
「……なんか知ってるわけないじゃないか……あはは」
止めてくれてありがとう、覧。




