びの、覧のプレゼントを買う?
「ところで、今日は、どのようなご用向きだにゃ?」
「もしかして、デートかにゃ?」
「いやいや、違う、違う」
僕は、否定する。
「必死に否定するところが怪しいにゃー。最近は、武具店をデートコースに選ぶカップル
が多いからにゃー」
「なんで、武具店でデートなんかするんだよ?」
こんな、武器やら防具やらしか売ってないところで。
「魔王が復活してからは、街中でデートしていると後ろ指をさされる風潮だからにゃ。こういうところでデートするしかないにゃ」
なるほど、風評被害ってやつか。よくわからないけど。
「最近は、魔王討伐軍のこととか関係なく、おしゃれかつ実用的な装備をバンバン売り出してるにゃ」
「商売がお上手なことで」
多分、ここのお店はつぶれる心配なさそうだ。
超たくましい。
「そうだ、このセクシーなドレスなんていかがかにゃ?」
「覧にそんな派手なもの薦めないで」
「いえいえ、これは、貴方様に薦めているのにゃ」
「え? 僕?」
いや、僕は女装する趣味はないんだけどな。
「このドレスは、ファイヤーモスの蛹が紡ぐ希少な糸で作られているから、10ゴールドとお高めで露出面も多いけれど、その分、耐火の高価が付与されてるにゃ」
「誕生日に彼女さんにプレゼントにはうってつけにゃ」
「プレゼントしないよ……というより、覧は彼女じゃないからね」
「え? 待って、びの君。ボク達って、彼氏彼女の関係じゃなかったの?」
「違うよね。僕達、そういう関係じゃないよね、覧」
「にゃ? もしかして、彼氏彼女の関係だったけど、さっき別れたのかにゃ?」
「いや、兄妹だから。僕と覧は、兄妹だから」
「本当に? 必死なびの君を見てると、その兄妹関係ってのは、怪しいな……」
「おい、覧、なんでお前まで、僕との関係を疑ってるんだよ」
覧は、僕側につかないと、話がややこしくなるだけじゃないか。
「じゃあ、びの君に訊くけど、びの君の苗字は?」
「旅乃」
「じゃあ、ボクの苗字は?」
「戻衛」
「にゃー、二人は違う苗字にゃー」
「つまり、ふたりは……」
「兄妹だよ。遠い親戚だから、苗字が違うだけだから」
変な方向に話が行ってるきがするのは、気のせいじゃないよね。
「大切なことだから、よーく、思い出して、びの君。ボクとびの君との関係を」
「えーとね……って、兄妹以外の関係性なんてあるか!!」
どんなに考えても、兄妹だから。
「もう、お二人の関係は、もうこの際、どうでもいいにゃ」
「いや、そこが一番大事だから!!」
「大事なのは、びの様が、このセクシードレスを買って覧様にプレゼントするかどうかにゃ」
「だから、プレゼントしないって言ったよね」
何故、そのセクシーなドレスを12歳の覧に着せなくちゃいけないんだ。
「え? じゃあ、なんでこのドレスを買うにゃ? 貴方様が着るのかにゃ?」
なんでそーなるの?
「びの君が女装を……」
「しないよ」
「いや、びの君もそういうお年頃だ。女装に目覚めても、何もおかしいことじゃない。ボクの目が気になるというなら、表で待ってるからさ」
「覧、その必要はないよ」
「え? じゃあ、ボクの目の前で、女装を……」
「だから、しないってば。僕、このドレスを買うなんて一言も言ってないから」
「なーんだ、残念」
何故、そこで、覧ががっかりするんだよ……
「ご返品ですかにゃー」
だから、僕は最初から買うなんて言ってないってば。




