びのと覧、武具店に入店……?
4月8日
誤字脱字の訂正をしました。
えーと、武具店はどこだ?
「びの君、その路地を右に曲がったつきあたり」
僕が立ち止まりきょろきょろしていると、覧からナビの援護が入った。
言われた通りの道を行き、立ち止まる。
でかいっ。
お店は、平屋建てなものの、元の世界の大型スーパーと同じくらいの広さで、高級そうな店構えだ。
店の前に立ち止まり、大きく深呼吸する。
「そんなに緊張しなくても大丈夫だよ。こっちにはお金もたくさんあるんだし」
それもそうか。こちらには1600ゴールドもあるのだ。
大船に乗った気で、乗り込もう。
「いらっしゃいにゃー」
ん? 猫耳メイド?
そこには、黄色い猫耳に、黄色と赤を基調にしたフリフリのメイド服を着た若い女性が立っていた。
「覧、店に入るな」
「ギャー」
僕の声を聞く前に、猫耳メイドを視認してしまったようだ。
覧の悲鳴が店内を駆け抜ける。
「遅かったか……」
「こっちこないで」
覧は、この世の終わりかのように震えはじめる。
「ニトログリセリンを爆発させるよ」
いや、覧、お前、ニトログリセリンなんか持ってないだろ。
「覧、落ち着いて。ここの店員さんは猫耳をつけているだけで、本物の猫じゃないんだから。かみついたりしないよ。ほらっ」
僕は猫耳をつけた女性の前に手を出す。
「かぷっ」
え? 今の、かぷっ……って?
「ぎゃー」
店員が、僕にかみついてきた。比喩じゃなく直接的に。
「うにゃ? 手にかみついていいんじゃないのかにゃ?」
「違うよ」
今度は僕が猫耳女性のトラウマになっちゃうよ。
「それは失礼したにゃ」
「びの君から離れてよ。この泥棒猫」
覧は、ポシェットから懐中電灯を取り出し、剣のように振り回す。
「泥棒猫は失礼にゃ。にゃーの名前は、ミドラにゃ。一応、店長やってるにゃ」
ここのお店、客にお構いなしにかみついてくる人が店長で、大丈夫かな?
「あっち行けー」
「覧、まずは、落ち着くんだ」
「びの君、他のお店にしよう。店長が猫耳なんて、このお店変だよ」
「他の店も、みんな同じように猫耳をつけてるにゃ」
「なんで?」
「これが流行っているからにゃ」
「え? 流行ってる?」
この格好が?
「実は、これには、深くて悲しい理由があるにゃ」
「どんな理由?」
「魔王討伐の時に、徴兵令が出されたんだけど、なかなか人が集まらなかったにゃ。そこで、『武具の店員のイケメン&美女に、猫耳つけて可愛さをアップして、徴兵された人々をおだてて魔王討伐軍を増やしちゃおう法』が施行されたにゃ」
「…………それだけ?」
深くもないし、悲しくもないよね?
「そんな法律を誰が可決させたの?」
僕は不思議に思い、口にだす。
「ダウゴ王子様が可決させたにゃ」
「はた迷惑な王子様だ」
「なんで、猫耳なの?」
「ダウゴ王子様はクムっていう猫を飼ってるからにゃ」
「自分が飼っているからって、つくづく迷惑だね。それで、徴兵の人数は増えたの?」
「さあ、分からないにゃ。でも、お店の売り上げは増えたにゃ。だから、どこのお店に行ってもこの格好にゃ。可愛いは正義にゃ」
可愛いは売上貢献の間違いだと思うけどね。
「覧、どこに行っても、このスタイルみたいだから、ここで買っちゃおう」
「フシャ―」
何で覧が猫化してるのさ。




