覧、ステータスの秘密に気づく
4月6日、『折り紙付き折り紙』のルビを修正しました。
「そういえば、ステータスについて、引っかかってることがあるんだよね」
「どんなこと?」
「ボクが体重だけは知られたくないなと思ったら、秘密になったってこと」
「ステータス知らせたくないって願えば、出ないってことなのかな?」
「それは色々実験してみないとわからないね」
「ステータスっていえば、覧はいいな。レアな技能があって」
「びの君にも技能、きっとあるよ……レアかどうかはともかくとして……」
何かに気付いた覧は、そうか、そうだよ……と頷く。
「うん。絶対あるよ。だって、びの君にあの技能がないのはおかしいもん」
「あの技能って?」
「これだよ」
「ん? これは、折り紙?」
「そう、折り紙。あ、念のため、スクロールも出しておこう」
覧は、スクロールを取り出した。
「いつの間に王宮からくすねてきたの?」
「もう、人聞き悪いな、びの君は。びの君が気絶している間に大臣からもらっておいたの」
「へー、高価なものとか言ってたのに……」
「一度使うと、その人専用の巻物になって、成長や老化によって、ステータスが上書き保存されていくから価値はなくなるんだって」
「へえ、スクロールは使い捨てじゃなかったのか」
「そうみたい……って、今、スクロールの特性はどうでもいいから、びの君、その折り紙で折り鶴を折ってよ」
「え? なんで」
「いいから、いいから」
「んー、まー、いいけど」
僕は、覧の言う通り、折り鶴を折った。
「さすが、びの君の折り鶴。お手本のように綺麗に折られてる」
「いやー、それほどでもないよ」
「じゃあ、びの君、王宮でしたみたいに念じてみて」
「レベル上げもしてないのに、こんなん見たって、何にも変わってな……」
「ここ、見て。技能等のところ」
こ……これは……
「僕の技能が増えてる」
スクロールには、技能等のところに、『折り紙付き折り紙』という技能が載っていた。
「やっぱりね」
「どういうこと?」
僕にはさっぱり分からない。
「おかしいと思ったんだよ。びの君の特技、折り紙が入ってないなんて」
「王宮の時はなかったのに、なんで?」
「おそらく、技能が表示されるには道具が必要だってこと」
「道具?」
「王宮に行ったとき、びの君は、折り紙の紙を持っていなかった。だけど、今は紙を持っ
ていて、折り紙ができる状況にある。そして、びの君は折り紙をやってのけた。だから、折り紙の技能が開花したってことだよ」
「なるほど」
「ほら、ボクは、ソーラーパネル付きの懐中電灯と方位磁石、それに、ステータスのスクロールも持っていたから、特技が科学と魔法に関することだったんだよ……あれ、でも、僕、パーフェクト・フードも持っていたから、料理の特技がないとおかしいよね?」
パーフェクト・フードはおいしくないし、覧の料理は基本まずいから、全然おかしくないよ。言わないけど。
「でも、そんなこと分かったところで、なんになるのさ?」
「え? なんで? ボクはすごいことだと思うよ」
何がすごいのだろう?
「僕は思わない」
「本当にそう思う?」
「僕の現実世界の得意分野なんて、折り紙くらいしかないんだよ?」
正直なところ、この世界で折り紙の特技がついてもうれしくない。
「大切なことは、そこじゃないよ」
「じゃあ、大切なことってどこなのさ?」
「道具があれば、びの君の隠された才能があるかもしれないってこと」
「え? なんで?」
「例えば、びの君が剣を持って、一振りします。もし仮に、剣術の才能があったとすれば……」
「技能が開花するかもしれない」
そうか、僕が今まで一度も経験したことないだけで、もしかすると、隠された技能があるかもしれないんだ。
「覧、はやく武具店に行ってみよう」
「あ、待ってよ、びの君、お金が重くて疲れてたんじゃないの?」
「もう大丈夫!!」
「びの君は、ほんとに、げんきんなんだから」




