覧、アンティーク屋さんへ行く
「わかった、ギルドでしょ? 異世界の定番」
「違うよ、びの君」
「じゃあ、なにをするのさ?」
「ボクはこれから、お金を増やそうと思います」
「ん? たった今、支度金もらったじゃん」
「これじゃ足りない」
いやいやいやいや、1000ゴールドですよ、覧さん。日本円に換算して約一千万円ですよ?
「そんなことないでしょ、覧」
「お金はあるだけあったほうがいい」
「それはそうかもしれないけど……」
僕はこのお金がすりや泥棒に盗まれるんじゃないかと心配してるんだけど……
「じゃあ、とりあえず、ギルドへお金を預けに行こう。こんなにお金持ってると心配で」
「ギルドでお金を預けた後に、大金をまた預けに行くの、二度手間だよね?」
「二度手間じゃない。僕が2往復するから、とりあえず、手続きしよう?」
もう、こうなったら、覧を諭すしかない。
「魔王討伐ギルドに行きたいなら、行っても無駄」
「そんなことないよ」
「門前払いされればよいほうだと思う」
「どういうこと? 僕が勇者だと伝えればすぐにいれてくれるよ」
「時にびの君、今、君のレベルは何?」
「僕? レベル1に決まっているじゃないか」
「ゲームじゃないんだし、魔王討伐ギルドがレベル1で弱っちいびの君を入れてくれるとは到底思えない。無駄足」
「そんなことないと思うけど……」
「そもそも、手続きカウンターまで到達できない可能性も高い」
「何で?」
「びの君の装備は何?」
「装備って……いや、まだ、何も装備していない」
「魔王討伐ギルドに装備もなしにお金だけ持っていくの? 魔王を討伐しようと猛者が集まっているギルドに、装備無しで?」
うん、ほぼ100%カツアゲされる自信がある。
「覧の言う通り、お店に行こうか」
「それが、一番。大臣からめぼしいお店の名前は聞いてるから」
覧は、行き交う人に道を尋ね、すたすたと歩きだす。
後ろからついていくと、覧はお店の前に立ち止まった。
「これ、何のお店?」
「アンティーク屋さん」
「ん? アンティークって?」
「古美術品とかを扱うお店」
「なんで、古美術品に?」
「とりあえず、もっと資金が欲しいから」
「え? 覧、何か売るの?」
覧が持っているもので売れそうなものって、確か、方位磁石と、ソーラー電池付きの懐中電灯だったよな?
「いやいや、覧の持ち物は売らないよ」
「ん? 覧の持ち物じゃない? じゃあ、誰の物を売るの?」
「びの君の」
覧にびしっと指をさされる。
「え? 僕?」
僕は何も持ってない……って、もしかして、学生服?
「いや、学生服はダメだからね」
「学生服を売ってもいいけど、公衆の面前にびの君の裸を見せてしまう。それは、ダメ」
「裸でうろうろしていたら、捕まっちゃうかもしれないからね」
「びの君の裸姿はボクの目の前だけで十分……」
「え? なんか言った?」
「びの君の学生服は売らない……って言った」
「じゃあ、何を売るのさ? 通学バッグ?」
「ぶっぶー」
「じゃあ、何を売るのさ?」
「五円玉」
…………
……
「は?」




