びのと覧、お金の価値を知る
「はい、びの君」
覧は、大臣から受け取った10袋の中身を確認すると、ニコニコしながら横に近づき、横になっている僕のお腹の上に置いた。
重い。
「それでは、これから旅の支度をしようと思うのですが、びの君にお金の使い方を教えていただけますか?」
「お金の使い方……ですか?」
いやいや、お金の使い方くらい、僕にだってわかるよ。
「はい。びの君は、こう見えて、周りから信頼されていて、基本的につけ払いで、お金を握ったこともないんです」
つけ払い? なんのこと言っているんだろう? お金ならいつも使ってるし。
「僕、つけ払いなんて……」
「びの君は、お小遣い、お母さんから前借ばかりしてるよね? それに、ボクが貸しているお金もあったよね?」
「してます、つけ払い」
情けなくこたえる僕。
「そうでしたか。日ごろからつけ払いされてるとは、びの様は信頼されているのですな」
「ははは……それほどでも」
「確かに、この国のお金の価値がわからず、国が渡した経費で勇者が町で豪遊していたなんてなってしまったら私どもも非難を浴びることになりますからな」
あ、わかった。覧もここの国のお金の価値をしらないから、大臣に説明させて正しい知識を身に付ける気なんだ。
僕をだしにして。
「では、簡単にお金の種類から説明いたします。我が国では、3種類の貨幣があり、銅貨をブロンズ、銀貨をシルバー、金貨をゴールドと呼んでおります」
紙幣はないのか。
「両替商で銅貨10枚が銀貨1枚と交換でき、銀貨10枚で金貨1枚と交換できます。ちなみに相場ですが、銅貨1枚で一般的なパンが1個買えます」
なるほど、なるほど。おそらく、銅貨は百円、銀貨は千円、金貨が一万円みたいなもんだな。
ん? 待てよ?
支度金としてもらったお金は1000ゴールド……
一万円×1000枚……
……って、一千万円!!
いやいやいやいや、中学生が持ったらいけない金額でしょ、これ。
あまりの金額で目の前が霞がかってきた。
計算、間違ってないよな?
一千万円だよな?
天文学的数字にもう、意識が……
「大臣、びの君への説明、ありがとうございました。これで、びの君もお金の価値が分かってきたでしょう……って、どうかされましたか? 大臣?」
「その……びの様が、泡を吹いて気絶なさっているようなのですが……」
「え? なんで? びの君、びの君! 大丈夫?」
「はっ、ここは?」
「城の中のだよ。もうっ、なんで気絶なんかするの?」
「ごめん、ごめん。あまりの金額にびっくりしちゃって」
「もう、気が小さいんだから」
いやいや、いきなりポンと一千万を渡されたら、人間そんなもんだよ。




