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 授業終了の鐘が鳴っていた。


 俺は重い頭を持ち上げて、教室の時計を見上げた。今終わったのは、何時間目だっけ。


 時刻はちょうど12時半を回ったところ。ならさっき終わったのは4時間目で、今は昼休みだなあと思いつつも、弁当を広げる気にはならない。


「んん……頭、痛い」


 鈍い痛みが頭の中をぐるぐると回っている。それは昨日と同じく、記憶について考えたときに現れる特有のものだった。


 が、普段とは違っていくら何も考えないようにしたところで治らない。いや、考えないようにしたところで〝彼〟の――あの青年の姿が思考の表面に浮かんでくる、と言った方が正しいかもしれない。


 こんなことは初めてで、どうしたらいいのか全く分からなかった。


 ここまで酷い頭痛は久しぶりだが、かといって動けなかったり倒れたりするほどではないのが余計に厄介だ。辛いのに、授業をサボったり保健室で休んだりできない。


「大丈夫? 薬効いた?」


「多分……少しは」


 前の休憩時間に気を利かせた怜が頭痛薬をくれたが、その効果は気休め程度でしかなかった。もっとも、痛みが段々強くなってきているせいでよくわからないだけかもしれない。


 机に頭を横たえていると、少し離れたところで恭介と悠一が話しているのが目に入った。


 こちらをちらちらと気にしているが近寄ってこないから、きっと俺の頭痛の話でもしているんだろう。『記憶が戻るんだろうか』とか。気を使ってくれているのかもしれないが、それくらいはわかる。


 ――思い出したら、楽になれるんじゃないか?


 脳内に響いた声は、俺ではなくあの青年のものだった。


 そうだ、確か今朝の夢にも彼が出てきたんだった。何て言われたんだったか。


 ぼんやりと考えていると、朝はさっぱり思い出せなかったその夢の内容がなんとなく浮かんでくる。確か……そう、『いい加減に向き合えよ』とか、『俺にばかり背負わせる気か』とか、そんな感じだった気がする。


 が、彼の声を思い出すとさらに頭が痛くなってきた。


 普段と同じようにしても治らないから、根本的に違うものなのだと思っていたが、考え続けると酷くなるのは同じらしい。性質が悪いにもほどがある。


「氷雅、次移動だけど大丈夫か?」


「あー、大丈夫……。行こうか」


 悠一にまでそんな声を掛けられる。調子狂うからやめろよ、と言いたくてもその元気すらなかった。


 ――背負わせるって、何を?


「今何か言った?」


 考え事をしながら歩いていると、前にいる恭介に声を掛けられた。


「あ、ごめん……なんでもない」


 思考が声に出ていたらしい。誤魔化すように笑うと、彼は困ったように眉を曇らせた。


「無理しないでよ?」


「そうだよ、この前休んだけど普段はあんまり休んでないし、氷雅、出席には余裕あるでしょ? 別に絶対出なきゃいけないってわけじゃないんだし……」


 恭介と同じく心配するような怜の言葉の最後のフレーズが、頭の片隅に引っかかった。


 ――出なきゃ、いけない?


『お前には、やらなきゃいけないことがある。向き合わなきゃいけない過去がある。』


 その言葉を思い出した途端、今朝見た夢の内容が脳内に一気に流れ込んできた。

ヴィスタの言葉。そしてそれと連鎖するように溢れてくるのは……1年前の出来事。


「――――あ、」


 ……そうだ。俺は――あの日、

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