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第43話 ラビエラの実力


 さぁて、面白くなってきやがったねぇ。

 あたしの鋼糸を防ぐかい。しかし――

「その光輪、魔法かい?」

 あいつの周りに現れた3つの光輪が5本の鋼糸を弾き返したのを見た。

「別に魔法ではありませんよ。これは魔晄です」

「あん? 魔晄?」

 あたしも魔晄を纏うし放てもするが?

「そいつが魔晄なら何で今もそこに在るんだい?」

 あいつが魔晄だという光輪は依然としてあいつを包んで光を放ってる。

「強い魔力を込めた魔晄は力を持った残照として残るのですよ。もっとも」

 あいつは手を振って掻き消した。

「所詮はその場しのぎに過ぎませんがね」

 どうやら錫杖に込めた魔晄を軌跡に力を宿したまま残せるのかい。厄介だねぇっと!

 

 鋼糸を放てば今度は普通に避け弾かれる。

 一足に跳び込み袈裟斬りに振るった、が――

「ちぃ!」

 この錫杖、面倒くさいっ!

 勝手に動いて勝手に防ぐ。

 認識されるだけで操って動くってのはズルいよなぁ。

 こっちは渾身で振るってんだよ!? それがビクともしないとはね!

 角度を変え、威力も変えてみたが……参ったねぇ。どこまでも付いて来る。

「とことん……邪魔っ!」

「それは失礼」

 合間に鋼糸を放ってみたが一気に間合いを外してかわした。

 こいつは体術もとんでもない。

「燃え盛れ猛き炎壁よ。此方と彼方を遮る者よ――ラブガス」

「ぬっ!」

 追撃をしようとするとあたし達の間に炎の壁が現れた。

 触れても居ないのに肌が焼ける気がする、なんて熱量だ。

「ふっ!」

「おい!」

 炎の壁を突き破ってあいつが肉薄してきやがった。

 剣士のあたしに向こうから近接戦闘とは笑わせる。だが、笑っても居られない実力なのはもう知ってるさ。

 かわせば済むっ、おい!

 一瞬、膝が落ちた。

「ぬくっ!」

 魔法を使い過ぎたか。

 力が、抜ける、くそったれがっ!

 動けないなら受ける迄さ!

「おや?」

「ぐぅぅ、あぁっ!」

 意外そうな顔をする奴の錫杖を剣で受け、そのまま押し飛ばした。

 くるりと着地したあいるは、まったく涼しい顔をしやがる。

 あたしには負けるが美人な嬢ちゃんだよ。ったく、いつまでも涼しい顔を出来ると思うんじゃないよ。

「今のを避けないのは意外でした。それほど難しくも無かったでしょうに。それとも、そろそろ身体もキツイですか?」

「避ける迄もなかっただけさ。あんたの細腕で振るわれる棒っきれ、避けるまでもないだろう」

「そうですか。では……今少し力を入れた方が良いようですね」

「そうしてくれると助かるよ」

 冗談じゃないね。まだ手に力が入りきらないよ。

 

 一度、間合いを解く。

 さぁて……どうするかねぇ。

 魔晄を身体に巡らせる……ふぅ、まだ身体はイケるね。

 まだ動けるんだけど、ちょっとキレは落ちるか……どれどれ、やってみるかい。


「……」

「来ますか」


 静かに構えを取る。

 ゆっくりと剣に魔晄を集める……そして……広げる。

 広く……深く……

 周囲を巡って、あたしに帰ってくる……


「……いくよ……」

 あたしとあいつの間の間合いを殺す。

 辺りに満ちる風も臭いも光も闇も、魔力も気配も、全てを認識して取り込み、その隙間に身体を潜らせる。

 力を失い、時間を失い、そんな自分に見合った剣を追い求めて、手が掛かった程度の剣技だけどね。それでもさぁ――


「ふっ」

「っ!!」

 簡単に接近は許してくれたけどね、やっぱりダーウェスとの戦いを見られたのは致命的だったかねぇ。

 寸前で錫杖に受け止められた。

 今度はあたしが弾かれ距離を取る。

「いやいや、取って置きだったんだけどねぇ。やっぱりあんた、良いねぇ」

 本当に嫌になるくらい、あたしの最後の祭りに最高だ。

 あいつは静かにあたしを見ると、少し微笑んでいる。

 錫杖と持ち直し、一歩踏み出した。

「武において自らの武を鍛え上げるのは初めの一歩に過ぎません。そして次なる段では場を掴み、時を操り相手を操る」

「まるで魔法だね」

「魔法ではありませんね、ただの技術ですよ。視線、視界、音、風と振動……魔物相手では大して役にも立たないでしょうが、武として極めるには通らねばならぬ道でしょう」

「……」

 こいつ……

「では、域に手を差し入れた貴女に、私が一指し舞いましょう」

「ぬっ!」

 静かに、くるりと錫杖を回したあいつが……構え、て?



何方(どちら)を向いておいでですか?」

「なっ!!!」

 いつの間にかあたしの左斜め前に居た。

 目を離してなんていないっ! 

 剣の間合いじゃ深すぎるが、鋼糸で絡めとっ!


「ばっ! ぐっあああああっ!!」


 一気に距離を置く様に飛びのいた。

「てっめぇ、あたしの左」

「少し、オイタが過ぎるもので」

 

 気が付いた時には、あたしの左手が手首から落とされていた。

 いつ斬られたんだぁ? くそったれが!

 全然見えねぇじゃねぇか!


「これが、武というものですよ?」

「へぇ……思ったよりも、近いところに有りそうじゃないか」

「えぇ。そう大したものでもありませんから」

「そうかい」

 魔力を集めて止血をしたけど、ちょっと不味いねぇ、こいつぁ。

 なによりこの化け物、あれだけの魔力がありながらあの剣技かい。いやぁ、ひょっとすると東の隠者とタメ張れるんじゃないかい?

 さてどうするか……まぁ考える迄も無いか。

 一度、剣を握り直す。

「そんじゃあその大したものではないって奴、もう一度お見舞いしようかね」

「ふふ。さてどうでしょうか」

 馬鹿の一つ覚えだけどね、今のあたしにはこれが精一杯なんでねぇ。

 ん?

 魔晄を巡らせていると、あいつがいきなり魔力を高めた。


 おいおいおいおい。なんだよ、それ……


「天蓋に阻まれし天上の業火よ来たれ。大地に覆われし深層の焔よ来たれ――サルガナンド」


 あいつの周囲に4つの大炎球が現れてる。

 なんて大きさ、なんて魔力、なんて熱量だよ。

「剣技を過小評価する積りはありませんよ。ですがあの剣技はつまるところ対人戦においてその優位を発揮するモノです。人の手の及ばない魔獣を滅ぼす魔法使いの法撃に対しては意味を成さないというだけです」

「へっ! 普通は詠唱が終わりきる前にぶっ殺すから魔法使いなんて目じゃないのさ。あんたを基準に考えるんじゃないよ」

「あら? そうでしたか。まぁ魔法使いも下から上まで様々ですから」

「黙れよ最上級め」

 あたしの手をぶった切れるだけでもとんでもねぇってのにこの化け物め。

「それではお受け取り下さい」

「ちぃっ!」

 僅かに手を揺らしただけで4つの大炎球がカッ飛んで来た!

 切れ、無理か! この足で避けれるかよ?

 動こうと思ったら膝が落ちた。

 くそったれっ!

 こうなったら受けきるしかねぇっ!

 剣を構えて魔力を全開で纏わせる。

 耐えろよこのポンコツの身体めっ!

 大炎球に耐え様と身を硬めた時、瞬間目に入って来たのは――


「っ! おまっ!」

「おおおおおおおおっ!!!」

 

 あたしと巨大な4つの炎の球の間に、割って入ったのは――




「デューーーーーっ!!!」



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