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ナキリムシ  作者: ゆうちぇる


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20/25

第二十話 黒き機神と最後の軍団

1

ズゴゴゴゴゴゴゴ……ッ!!

 爆音とともに現れたのは、全高数十メートルに及ぶ巨大迎撃アーマー――機神《マクベス》。

 重厚な漆黒の装甲からは、月面記憶銀行から直接供給される莫大なエネルギーが激しく噴き出していた。

「マクベス……! 地球から追ってきたのか……!?」

 アキ・パパニカが鉄パイプを握り直し、見上げる。

 コックピットハッチ越しに、マクベス・トカチェフの冷酷な瞳がアキたちを見下ろしていた。

「当然だ。この『ゼロ』こそが我が統治機構の心臓であり、世界を管理するための唯一の礎。これを破壊させるわけにはいかん」

「礎だと……!? こいつを死ぬことも許さずに閉じ込めて、子供たちの思い出を燃料にしてることが管理かよ!」

「そうだ」

 マクベスは微塵の迷いもなく言い放った。

「人間は感情を持つから争う。絶望を持つから自滅する。だからこそ『死にたいノイズ』をこの少年一充に集約し、残りの人間から不要な感情を減価償却する。これ以上の完全平穏がどこにある!」

「ふざけるな……! 感情を捨てて生きるなんて、ただの動く死体だ!!」

「問答無用。これよりエラー個体および異物『ゼロ』の完全消去を開始する」

 機神《マクベス》の背部から、数十基の自律型攻撃ドローンが一斉に展開された。

その先頭に立つのは、地球で猛威を振るった清掃マシンや、月面で改造された凶暴なナキリムシたちの軍団だった。

2

「チッ! どこまでも湧いてきやがる……!」

 カムジ・チャモロが血まみれの身体を奮い立たせ、前に出た。

「アキ! マクベスは機神と一体化してやがる! 外部からの攻撃じゃラチが明かねぇ!」

「カムジ……!?」

「俺がドローンどもを食い止める! お前はペロペと一緒に……あの機神のコアをブチ破れ!!」

「無理だ、カムジ! お前の体はもう……!」

「黙って見てろ、お坊ちゃん!」

 カムジは胸元の真鍮製ペンダント――妹『ルラ』の刻印を強く踏みしめた。

「俺はスカベンジャーだ……ガラクタの中で生きて、ガラクタとして死ぬ……! だがな、妹の笑顔を取り戻すためなら、命の一滴まで燃やし尽くしてやるよぉぉぉぉっ!!」

 カムジが手製爆薬を全開で起動させ、迫り来るドローン軍団の渦中へと特攻していく!

ドドドドドドドッ!! 爆風と閃光!!

「カムジーーーーッ!!」

 アキの叫びが響く中、機神《マクベス》の巨大なプラズマブレードがアキへ向けて振り下ろされた。

「消え去れ、バグめ!」

「させるかぁぁぁぁぁっ!!」

 アキとポン・ペロペが、迫り来る死の刃に向かって真っ直ぐに跳び出した!

(第二十話・完)

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