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ミスター・ブルーズ 〜命運を握る背中のあざ〜  作者: マフィン
竹林と月とかぐや姫

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兄弟喧嘩

 目の前に現れたクロの身体は、もはや人間の容姿をしていなかった。まるで毛が抜け落ちたオオカミのように僕は見えた。恐らく体を変異させて、いよいよ我々を殺しにかかろうとしているのだろうか?


 「ずいぶん不細工な見た目になったもんだな!兄貴!」


 カイが軽口をたたいた。だが、それに対して返答することはなく、こちらに鋭い眼を向けているだけだった。


 辺りにいるのは、もう我々の味方しかいない。つまり、クロは自ら包囲されに来たようなものだった。しかし、そのような状況に動揺している様子はない。


 果たして、自分の置かれている状況に気が付いていないのか?それとも・・・。


 「それにまた大胆なご登場だこと・・・。どうせ、自分たちの兵隊さんたちがもとの姿に戻されなかったとしても、兄貴は遅かれ早かれ、僕の前に現れた。そうだろ?」


 すると、ようやくクロの口元から笑みがこぼれた。


 「お前が私に会いたがっていると思ってな。最高の状態で出向いてやったまでだ。こうなるのにも時間がかかるのだよ」


 「そりゃまた手厚い歓迎でありがたいね。てっきり失敗しちゃったのかと思ったよ」


 我々は彼ら兄弟のやり取りをただ、聞いていることしかできなかった。今ここで、奴に攻撃をすることもできた。だが、それは事態を悪化させることだと、あそこにいた誰もがそう思っていたと思う。


 「まぁ、とんだ緊急事態が起きたから、まだ完成ではないけどな。もうすぐ完成するよ。わが種族にふさわしい完璧な肉体が出来上がるのだよ」


 すると、クロの鋭い眼がこちらを向いた。


 「残念ながら、君のその薬ではどうすることもできないよ!」


 僕は蛇に睨まれたカエルのように身動きが取れなかった。


 「それで、わざわざ出迎えてくれたということは、兄貴も僕に何か用があったんじゃないのかい?」


 「それはこちらのセリフだよ弟よ」


 すると、カイは全く表情は変わっていなかったが、兄と同じ鋭い眼に変わった。


 「僕はもちろん、兄貴を殺しに来たんだよ!」


 「ふん、やってみな!」


 僕はもどかしかった。だが、まだ何もできない。合図がないからだ。カイはメガホンレーザーをクロに向けた。


 「お前はまだそんなおもちゃを使っているのか?そんなものを私に向けてどうなるのか、試してみようではないか!何事にもデータは必要だからなぁ」


 クロは余裕の表情を崩さない。


 我々は二人の戦いを邪魔しないことだけを考えた。


 「私たちは、負傷している人たちの救護に移るわ。ここは任せたわよ」


 ブルターが僕の手をぎゅっと握ってきた。僕は黙ってうなずく。すると、彼女はその握っている手を自らのもとに引き寄せた。


 「あいつ、死ぬつもりよ。見たことがある目をしてるもの・・・」


 僕の耳元でそうつぶやくと、ブルターは僕の頬に軽くキスをしてきた。


 「お気をつけて」


 ブルターが離れると、アルもこちらに軽く挨拶をして、ブルターについていった。僕は、カイのすぐ近くへと向かおうと一歩踏み出そうとしたとき、背後に気配を感じた。


 「私もそう思いましたし、あなた方の話も聞いておりました」


 かぐや姫の声だった。


 「もちろん、運命に従うもよし、抗うもよし。どちらが良いか悪いかなんてそれぞれの立場で変わってしまうものです」


 「だったら、何が言いたいんですか?」


 僕は、少し苛立ちを出してしまった。正直、そんなことは僕でもわかっていることだ。迷っていないわけがない。それでも、やらなければならない。今の彼ではクロを倒すことはできない。だったら・・・。


 すると、かぐや姫は答えた。


 「この宇宙に完全に決められていることなんてないのです。ただ、あなたの思い描く、結末をあなた自身で決めなさい」


 そう言うと、彼女は上品な笑顔で会釈をして、そのまま背を向けていった。結局彼女が何を言いたかったのかはわからなかった。


 「さぁ!カイロス!そろそろ終わりにしようではないか!お前の人生もここまでだ。これからはお前の力も兼ね備えた完全な支配力で、再びIGTOへの復讐を果たす!」


 カイは全く動じることなく、メガホンレーザーを照らし続けている。その姿を見たクロの眉間のしわがさらに深く掘りこまれていくのが分かった。


 「お前はいつも・・・」


 クロが大きく手を広げた。カイはそれでもその場を動かない。


 「いつも私を無視をする」


 少しカイの表情が緩んだ気がする。だが、やはり動く気配がない。このまま死ぬつもりなのだろうか?


 その時メイジーの声が聞こえてきた。


 「そろそろ準備ができたぞ!これでやつを倒せる!」


 だが、その言葉を聞いているときには、クロの振り上げられた腕は、カイに向かって振り下ろされていた。


 「この期に及んでもお前は、私を無視するのか!!!」


 クロの怒号とともに、カイはクロに渾身の力でふりを下ろされた腕に直撃した。カイはそのまま数メートル飛ばされ、近くのがれきに激突していった。


 「カイ!!」


 ここで、カイに死なれると困るのだ!奴がすべてを再びなかったことにしてしまうではないか!


 僕の心の中は、焦りの感情でいっぱいになった。

評価、ブックマーク等もしていただけるとかなり嬉しいです!

よろしくお願いします。


感想も待ってます。


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