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ミスター・ブルーズ 〜命運を握る背中のあざ〜  作者: マフィン
竹林と月とかぐや姫

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さらば、無力な自分

 僕は今、あの時の情景を頭の中で再生していた。いつもの夢のあの瞬間。僕はあの時が全ての始まりなのだと思っていた。だが、どうやらそれは違うのかもしれない。


 僕はメイジーから、クロとのこれからの戦いについての話を聞いた。知らないことばかりだった。だが、それをカイは知っているのだろうか?確かに、基地の前で話をしていたとき、カイはまだ何かを隠していそうな雰囲気だったが、それは果たして関係あるのだろうか?


 するとメイジーの声が聞こえてくる。


 「まぁ、自分の運命は自分で決めたらいいと思うが、こればっかりは仕方がない、なってしまったことだ。それでもやつを野放しにしておけば、また同じことが繰り返される」


 「それに、あなたのこれまでの努力も無駄に・・・」


 「私はもうこれから永遠にこのままだろう・・・。この星の寿命とともに消えゆくのか?それとも、その後も意識は残り続けるのか?どちらにしても、私は仕方がないことだと受け入れるとするさ」


 僕は、自然と今は自分のことは考えていなかった。どちらかと言えば彼女のこともそうだが、カイのことの方が心配だった。彼の本心を正確に理解している者はいない。だが、唯一僕は、彼の本心を見抜くことはできていると自負している。


 何か他に良い手はないのだろうか?


 「そんなことを考えるよりも先に、今目の前の仲間を助けることを優先するべきではないのか?私はそんなに気が長いわけではない。気が変わらないうちにさっさと終わらせるわよ」


 メイジーが息込んでいる。もちろん、全てが僕を行動させるための嘘だということはわかっている。それでもこの戦いを長引かせ過ぎた。


 さぁこの戦争を終わらせよう。


 「そうだな・・・」


 僕の心の声にメイジーが答えた。


 「さぁその薬を手にしたら、イメージして」


 「イメージ?」


 「その薬がこの星に広がって、人々が元の姿に戻るところを」


 そんななんかファンタジーな感じでいいのか?なんだか腑におちないが、やるしかない。


 ここまで足手纏いで何もせずただまるで、時の行く末を見守っているだけみたいな立ち位置だったが、これでようやく無力な自分を許せそうな気がする。


 「わかった!行くぞ!」


 僕がそう意気込むと、かぐや姫から渡された薬の容器を強く握った。


 「どうやら、交渉成立したようね」


 かぐや姫がそう言ったが、僕はそれを無視する形で、今は意識を集中させることに専念した。彼女もそれを察してそれ以上話しかけてくることはなく、ただただ僕を見守っていた。


 ブルターとカイも心配そうにこちらを見ていることだけはわかっている。そして、いざという時に備えてなのか、それぞれのメガホンレーザーが手に握られ、少し高い位置にあった。


 今まで僕を助けてくれた人たち、そして、散っていった仲間たちのために、僕は最大の恩返しをしなければならない。


 すると、今度は慌てた口調のメイジーの声が聞こえてくる。


 「ちょっと!そんなことは良いから集中してちょうだい!全く何も起こらないわよ」


 その時、無性に背中が痒くなっていた。


 「ああ、ごめんなさい。それは私のせいよ。私があなたへの気持ちが高ぶるとあなたのあざに影響を及ぼしていたみたい。でもこればかりは仕方がないわ。我慢して集中して」


 かゆみはどんどんと増していく。そして次第にそれは痛みへと変わっていった。思わず気を失いそうだ!


 それでも僕は正気を保つために、この薬がさっきみたいに緑色の砂嵐のようになり、この星の全体を緑色に覆い、オオカミ人間になった人々の毛が抜け落ちて人間に戻っていく様子を想像した。


 だが、想像に出てくる人間は、これまでに僕の周りで死んでいった仲間や家族の姿だった。


 「そのままで良いわ!現実が多少違くても大丈夫よ!あともう少しだから頑張って!」


 心で響いているはずの彼女の声が、だんだんと薄れていく。背中の痒みすらもはや感じない。


 ただ僕の視界にはエレナ、ドリゼラ、ティランの姿、そしてケイがいた。その四人はこちらを見ている。すると、今度は懐かしい顔ぶれが現れた。


 僕の兄弟、そして父と母だ。


 僕は死んだのか?いや、それは違う。死んでもあの世ではなくまたこの世での生活を始めるのはジーブスだけ。それに家族は本物ではない。


 そう思っても・・・彼が視界から消えることはなかった。


 彼らが生き返る未来があれば良いのに・・・。


 その瞬間、目の前が緑色に包まれた。僕は衝撃で後ろに倒れ込んだ。だが、僕の背中は地面にたどり着く直前で、ブルターの背中に支えられた。


 「ありがとう。ブルちゃん」


 なんとも弱々しい声が出た。


 「成功よ!」


 ブルターの声なのか、メイジーの声なのか分からなかった。だが、戦場にいるかぐや隊や、IGTOの部隊、そしてダイナー星の部隊もそれぞれ喜びの声をあげている。


 どうやら成功したようだ。これでようやく無力な自分から卒業できた気がする。


 「ちょっと、喜んでる場合じゃないわよ。早く彼らを治療しないと!戦いはまだまだ続くわよ!」


 あろうことかかぐや姫がまた少し荒々しい雰囲気でそういうと、特にかぐや隊はテキパキと行動を開始した。


 「これであとは、あいつだけだ」


 カイがそう呟くと、クロがいるであろう首相官邸に視線を向けていた。


 「ちょっと待って・・・」


 僕はまだ意識が朦朧としている。


 「あなたはもう頑張ったでしょ!あとは・・・」


 その瞬間、地響きのようなものすごい音と衝撃が我々を襲った。全員がその衝撃の震源に視線を向ける。


 「貴様!よくも私の計画をぶち壊してくれたなぁ!」


 そこには怒りマックスの状態で変わり果てた姿のクロがこちらを睨みつけている。


 いよいよ最後の決着をつける時が来たようだ。

評価、ブックマーク等もしていただけるとかなり嬉しいです!

よろしくお願いします。


感想も待ってます。


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