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ミスター・ブルーズ 〜命運を握る背中のあざ〜  作者: マフィン
竹林と月とかぐや姫

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腐れ縁

 緑の砂嵐に飲み込まれたオオカミ人間たちの容態もすっかりと安定してきているところで、この辺り一体の勢力は一旦制圧することに成功した。


 かぐや隊たちも安堵の表情を見せつつも緊張感を残していた。


 IGTOの独特な音がする乗り物も、他のダイナー人たちの部隊もあとどのくらい持つのか分からない。終わらせられるのであれば、こんな無駄な争いなど一刻も早く終わらせるに越したことはない。


 だが突如、僕がその鍵を握っていることをかぐや姫から知らされ、しかも、さらに今回の旅においての宿敵とも言えるメイジーとの対話が必要だというのだ。


 一度倒して、彼女との長きにわたる腐れ縁のようなものは断ち切れたと思っていたが、どうやらそんなことはないようだ。むしろ、ここまでくると切っても切れない何かが、あるのかもしれない。


 それこそ、どこぞの魔法使いと闇の帝王みたいな?


 僕はとにかく気が乗らない。それにこの会話は僕と彼女の頭の中だけでしか起こらない。つまり、それこそ誰も助けてはくれない。もしかしたら、彼女に心を支配されたりするかもしれない。


 僕は、少し落ち着き始めたこの戦場で一人険しい顔をしながら、メイジーに意識を集中させた。


 彼女の姿を思い浮かべると、少し緊張してしまう自分がなおのこと腹立たしかった。


 「あら、まだ私のことを思ってくれているなんて、嬉しいじゃない?」


 彼女の声だけが頭に響いてくる。だが、彼女のあの憎たらしい表情は安易に想像がついた。


 「ひどいじゃないの!憎たらしいだなんて・・・」


 「そんなことよりもなぜあなたは・・・」


 「生きているのか?」


 彼女は食い気味に僕の話の質問の続きを奪った。

 

 「生きてるんですか?」


 そもそもそこがいちばんの疑問だった。


 「そうね!肉体はあの富士山のマグマに溶かされてしまったけれど、意識はお聞きの通りよ。だから、あなたの頭がおかしくなっているわけじゃないから安心してちょうだい」


 「どうやって・・・?」


 「分からないわよ。ゲルダファの特殊体質とか?もしかしたらあの壺が関係しているのかもしれないわね。まぁでもおかげさまで何千年もこの星の一部として、時を刻むことができて光栄よ」


 彼女は皮肉たっぷりな口調で言い放った。


 もしかしたら、この質問の答えは彼女がいちばん知りたいのかもしれない。


 「それで、私に力を貸して欲しいって聞いたけど?何をしてくれるわけ?」


 彼女の話している雰囲気にどこか今までとの違いを感じた。それこそ悪人の皮肉に満ちた話し方ではなく、どこか本当に僕との会話を楽しんでいる気がする。


 「僕は何をしたら良いんですか?」


 僕は油断しないように強気の態度で接することにした。


 すると彼女から、予想もしなかった答えが返ってきた。


 「あいつを倒して!」


 「何?あなたたちは味方同士だったんじゃないんですか?」


 すると、少しの間沈黙が流れた。この状況において沈黙が流れると、少し心配になる。すると、彼女の声が再び聞こえてくる。


 「この星と一体化するとね。分からなくて良いことまでわかるのよ。あいつは私たちゲルダファのことはもちろん、自分の種族のことさえも考えていないわ」


 「クロの目的は一体なんなんですか?」


 「永遠よ」


 また随分と明快な回答が返ってきた。


 「でも、それはもうとっくに叶えているじゃないか・・・」


 「彼の永遠は命だけじゃないのよ。肉体も時間も知識も何もかも全てを永遠に保持し続けたいの。ジーブス特有の欲が欲をさらに倍増させる。でも、そこに終着点なんてない。それこそ永遠よ」


 「それってつまり・・・」


 僕はふと同情の声を上げてしまいそうになった。


 「そう。彼自身もわかっていないのよ。復讐なんてカッコつけていて結局は自分の欲に負けて暴走しているだけなの。私はそれを知った。それに、私もそうなりかけていた。そのせいで、ゲルダファという種族は別の形でちゃんと存在していることに気づけなかった」


 「その言葉は本当に信じて良いのですか?」


 僕は何度も彼女に騙されてきた。もう騙されたくない。だが、今はそれよりも彼女を疑うことに疲れた。


 「そうね、確かに、あなたをたくさん失望させてしまったわね。でもこれだけは信じて欲しいわ。私はいかなる時もあなたに悪意を向けたことはないわ。本気で私はあなたと、ゲルダファという種族のためだけに行動してきたつもりよ」


 「それは僕だから?それとも孤独感を埋めるため?」


 気づいたら、そんな問いかけをしていた。そして、彼女の返答が無性に気になった。


 「確かに孤独感を埋めるためだったかもしれないわね」


 僕はなぜか少し残念な気持ちになった。ガッカリともまた違う。うん・・・残念な気持ちだ。


 「でも、私もせめてもの償いとして、あなたの手助けをしていたつもりよ」


 またもやその場しのぎの嘘なのか?正直、この状況において、彼女はもう協力するつもりなのだから、そのまま話に乗れば話は早かった。


 しかし、やはりどうしても彼女を信じることができない。それにここまでくるのに、今回は犠牲が出てしまっている。彼らの死を無駄にしないためにも、僕がここで慎重にならなければならない。


 「信じられないならそれで良いけれど、私に少し時間をくれないかしら?」


 僕はまた彼女にチャンスを与えてしまうようだ。

評価、ブックマーク等もしていただけるとかなり嬉しいです!

よろしくお願いします。


感想も待ってます。


記念すべき第一話はこちら!https://ncode.syosetu.com/n3719ku/1

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