副作用
かぐや姫の言葉に、僕を含め、僕のあざのことを知っているメンバーも、不思議そうな顔をしている。だが彼女もそれは想定内だったようで、今から説明が始まるようだ。
「この地球という監獄惑星は、ジーブスという実態をともなわない種族をなんとか閉じ込めておく必要があった。そのために適度な重力と大気による圧力を絶妙なバランスでかけ、肉体が死滅してジーブスの本体が宇宙へ逃げようとしても、すぐに新しい肉体に閉じ込められるようなシステムを構築した」
これが輪廻の正体ということなのだろうか?
「その圧力の弊害として私たちやダイナーの人々がこの地球に入ると、とてつもない副作用が出てしまう。IGTOはそれを防ぐために特殊な移動型の圧力制御室に籠るか、地下に仮設の中継地点を作って副作用を防いでいたの」
「それは分かっているけど、それがなんだって言いたいんだ?」
カイも押し寄せてくるオオカミ人間たちに視線を向けながら、悠長に話を続けるかぐや姫を急がせた。
彼女も若干話すペースを上げたようだが、それは雀の涙に等しかった。とはいえ、僕にとっては自分自身に関わることとして、しっかりとその説明を聞く必要があると思っている。
かぐや姫の説明は続いた。
「その私たちの副作用が、このあざ」
そう言いながら、かぐや姫は自分のあざを見せるために、胸元をこちらに見せつけてきた。
我々男性一同は、それぞれ思い思いの反応を示している。だが、彼女はそれに対してもなんの反応も示さずに話を続けた。
「これは、私たちゲルダファの特殊体質ゆえの副作用なんです」
「特殊体質?」
僕は思わず聞き返した。
「私たちにはさまざまな能力というべきか他の種族には到底真似できない力があるかと思います。例えば、私がよくあなたの意識に直接働きかけたりするじゃないですか?」
「そうなの?」
ブルターが鋭くこちらに視線を向けてきた。
「はい、さっきも離れた場所にいながら、かぐやさんから話しかけられて、対話をしていました」
「ただ、あなたの場合、能力を制御しきれていないみたいで、よく一人で周りにいる生物に自分の意識を発信している時があるみたいだけどね。それで私もあなたが同族だと気づきました」
すると、カイがものすごい大声を上げた。
「確かに、君の口が動いていない時でも、何か話しかけられてた時があった気がする」
「確かに!私もそんなことが時々起こっていたような・・・」
カイに続いて、ブルターもその情景を思い浮かべながら、声を上げている。あれはカイやブルターが宇宙人でテレパシーかなんかで僕の心を読んでいるのかと思っていたが、どうやら逆だったようだ。
「ほら、今も聞こえたぞ!」
カイが答えた。
「でも、俺たちには何も聞こえないぞ?なぁ?」
カニカマはデルとアルに同意を求めると、二人とも頷いていた。
するとかぐや姫は、子供を諭すように答えた。
「この力を使う時、相手のことを強く思い浮かべる必要があるのよ。多分、彼が無意識に使ってしまっている時は、その人のことを強く思っている何かがあるからなのかもしれないわね」
なぜかぐや姫は今、そんなことを言ったのだろうか?それをカニカマたちに聞かれたくなかったわけではなく、カイやブルターに聞かれたことが恥ずかしかった。
そしてやはり、思っていた通りの反応を二人が示している。
「なになに?僕のことを強く思ってくれてるのかい?」
「え?そんな・・・じゃあ、私のことをなかなかちゃん付けしてくれないのは・・・照れ?」
カイは恐らく面白がっているだろうが、一方のブルターはなぜか赤面している。非常に気まずい。
「それで結局何が言いたいんですか?」
かぐや姫は僕の問いかけに、ようやく我に返ったように、顔の筋肉を全て上に引き上げて、話を続けた。
「そうそう、私たちがそれをできる理由よ。私たちはこの地球に生まれし者。つまり、この星の一部なの」
また、随分と壮大なことを言い始めた。
「ということは・・・?」
全く話が理解できない。
「だから、この伝達能力も、声を直接頭の中に届けているわけではなくて、空気の振動を自在に操って、相手に届けているの」
「でも、それがこのあざと、これからやろうとしていることと、なんの関係があるの?」
僕がそういうと、今度はカイが話を始めた。もしかしたら、何かに気づいたのかもしれない。
「じゃあ、あざを持っている人間が、レットストーンやタガニウムを使うことができるのも・・・」
「そうよ、私がレチウムを使用することができたのも、古来のゲルダファとしての力とレチウムの知識をもってしての効果よ。多分、知識がなければただ爆発出せることくらいしかできないんじゃないかしら?」
僕は図星すぎて胸が痛くなった。
「でもなんでレットストーンにだけあんなに背なかが痒くなるんですか?」
僕は空気も読まず、これ見よがしに素朴な質問をぶつけ続けた。
「確かに私やそこの彼もレチウムには身体が過剰なアレルギー反応を起こすけど、あなたはけた違いにその影響を受けているみたいね」
そう言うと、かぐや姫は意味深な笑みを浮かべた。
「そこには別の理由があるみたいなの。本当にこの星は神秘的でミステリアスだと思わない?」
「そんなことより早くこの軍勢をどうにかしてくださらないかしら?姫様」
デルが必死に訴えている。
「一端私がお手本を見せるから、その後あなたもやってちょうだいね?コツは星と会話をすることよ」
そう言うとかぐや姫は手に持っている特効薬を深く握りしめるとなにかを念じるように目を閉じた。
かぐや姫からは、僕がレットストーンに触れたときとは違うどこか安定した雰囲気を感じた。
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