不器用な侍
三人の影がだんだんとこちらに近付いてくると、その正体が先ほどドリゼラと一緒にクロが投げた何かに被弾したべリングキャットのメンバー三人だということがすぐにわかった。
「一難去ってまた一難てやつですか?」
アルが持っている銃を構えた。
「だが、お主らと一緒にいる者たちと姿が似ておるが、彼らは仲間ではないのか?」
樫太郎も刀を構えながら、尋ねてきた。
「わけは色々あるのですが、彼らは正真正銘、我々の行手を阻む敵と考えて良いでしょう」
ブルターがそういうと、こちら側のべリングキャットのメンバー三人は、少し動揺していた。
やはり、彼らの中ではまだ目の前の三人に対して、仲間意識があるのだろう。とはいえ、先ほどの戦いで、もう手遅れになってしまったドリゼラの姿や、それによる悲惨な結末を目の当たりにしている。
もしかしたら本心では、我々の戦闘体制に意義をとなえたくても、それができずにいるのかもしれない。
「相手は三人。周りにオオカミ人間の姿はない。人数にも差があるところを見たら、これは我々に有利だ」
どこか今のカイの一言は彼らしくない気がした。
すると、一人のこちら側で動揺しているベリングキャットのメンバーは少し前に出た。
「みなさん、ここは我々に任せてはいただけないでしょうか?」
「どうしてよ。相手は三人、こっちはその倍以上はいるのよ?」
ブルターが答えると、今度は別のメンバーも前に出た。
「いえ、数だけの問題ではないんです。明らかに戦闘に慣れていないメンバーもいると考えると、数で言えば足りていません」
「だったら尚更・・・」
「でも、足止めすることならできると思います。ですので、あいつらのことをよく知っている我々が足止めをしますので、みなさんはその間に、できるだけ先に進んでください」
確かにさっき出会ったドリゼラと同じなら、彼女がかなり強化されているように見るに、いろんなツッコミどころがある彼らちはいえ、この戦いに最前線で挑み続けて、生還しているところを見ても、実はかなり手練れのメンバーである事実と合わせても、ここは足止めをしてもらう方が良いのかもしれない。
「分かった、僕たちも隙を見て、先へ進むぞ」
カイの言葉に僕も頷いた。
だがやはり、僕たちは彼らを舐めすぎていたのかもしれない。敵の三人は、三人の状態でも彼らの独特のフォーメーションで、我々に攻め込んでくると、目にも止まらぬ速さで我々を取り囲み、一気に集中砲火する寸前まで持ち込まれてしまった。
だが、こちらにも彼らと同じくらいのスキルを持つメンバーがいる。彼らも、それぞれフォーメーションを組むと、彼らの包囲をさらに妨害する位置に移動し、マシンガンを突きつけた。
やはり彼らも負けず劣らずの手練れ集団だと確信したその矢先、そこから彼らの動きが止まってしまった。
すると、相手のメンバーたちはその隙をついてそれぞれのメンバーを相手に武装を解除し、お互いの体術戦が繰り広げられた。
「今だ!早く!」
メンバーの一人が声を上げた。我々はすぐさま目的地の方向へと向かおうとする。だが、その行手を一人のメンバーが阻んだ。
「おい、どうなってんだよ?君たちこんなに強かったのか?」
カイの言葉に誰一人返事をすることがない。三人はそれぞれ地面に横たわっている。生きているのか死んでいるのかすらもわからない状況だ。これでは我々だけで、どうすることもできない。
「よし!ここまで彼らの動きが見れて、なんとなく戦い方が分かった気がするぞ」
覇気に満ちた樫太郎が、そう言いながら、前へと歩みを進めた。
「樫太郎さん?どうするつもりですか?」
僕は彼の歩みを止めるように声をかけたが、それも覇気に払いのけられてしまったようだ。
「なんかわからんけど、彼らの動き方を見ると、昔彩の国で使われていた戦術によく似ていてな。私はそ奴らとよく稽古をつけておったのだ」
そして樫太郎も動きを止めた。
「私はこれから全力で戦うつもりだ。だが、私は器用ではない故、もしかしたら、こやつらの命を奪ってしまうかもしれん。それでも私を咎めんでくれるか?」
彼の目は虎の鋭さと龍の厳かさを兼ね備えている。
「あいわかった!」
僕の一言を聞くなり、どこか樫太郎は嬉しそうな表情を浮かべた。彼も侍。今からの戦いを存分に楽しむつもりなのかもしれない。
「では、皆のもの!再び彼の地で会えることを楽しみにしておる」
彼はそういうと、刀のつかに手をかけたかと思うと、目にも止まらぬ速さで、一人のメンバーの懐まで近づいていた。
しかし、そのメンバーもすぐに対応して、微かな切り傷を作る程度にとどまったようだ。
「なるほど・・・。軽装に見えて、鎧を身につけておったのか」
樫太郎はそう呟くと再び飛びかかっていく。我々もその戦闘に見惚れている場合ではない。すぐさま、先へと進もうとしたその時、やはり先ほどと同様に別のメンバーが立ち塞がる。僕らもサブマシンガンで応戦しようとするが、彼らの動きの速さにまるで同じ時の中で生きている感じがしなかった。
すると、目の前に樫太郎が現れ、奴に刀を向けた。
だが、すぐにまた距離を取られ、お互いの間合いの見合いをしている。
気が付けば、三対一の構図が出来上がった。樫太郎はにやりと笑みをこぼした。
「そう、これがお主らの弱点なのだろ?お主らのような手だれは、固まってしまうと、その力も分散してしまうのだ」
だが、そんな余裕に満ちた樫太郎の言葉をかき消すように、サブマシンガンの銃声が鳴り響いた。
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