第28話 ア・ハード・デイズ・ナイト
ペニーレーン王国の都市部の少し外れにあるこぢんまりととしたバーがある。ビリー達は今まさにそのバーの前にいる。
ポール「さぁ、入ろうじゃないか」
エリナ「雰囲気あっていいね。ありすぎだけど」
中に入ると雰囲気は一気に変わった。外とは全く違うほどの暗さだ。かろうじてランタンの火があたりを照らし、歩けるという程だ。
男「好きなところにお掛けください」
バーテンダーが案内をし、ポール達はカウンターに座る。
男「ご注文は?」
エリナ「未成年なんでコーヒーを。豆はブルーマウンテン、砂糖は2つ」
ポール「“マウンテン・トップ”をロックで」
男「!!」
(マウンテン・トップとは非常に度数の高いウイスキーのこと。普通の人が飲むとわんちゃん帰らぬ人となってしまうくらい。怖いね)
ビリー「…えと、食べるもんとかあります?」
男「…えぇ」
ビリー「じゃ、それで」
男「!!……かしこまりました。少々お待ちを」
ポールがビリーの方へ体を向ける。
ポール「まさか、そんな腹が減っていたとは…」
ビリー「え?」
エリナ「変なもん頼むと余計なことにならないんだから」
バーテンダーの男は初めにコーヒーから始めた。指定された豆を取り、その豆を挽く。粉となった豆をフィルターに入れ、少量のお湯を入れる。その後、またお湯を入れる。その後に砂糖を2つ入れ、エリナの元へ届いた。
男は次に氷を机の上に置き、包丁でグラスのサイズまで切る。氷をグラスに入れ今度は、1番上の棚にある瓶を取った。
蓋を開け、グラスに注ぐ。その後マドラーで少し混ぜ、ポールの元へ届いた。そしてポールにはもう一つのグラスが届いた。
男「チェイサー(水)です」
ポール「どうも、手際が良いな。名前は?」
男「名乗るほどでもありません、が聞かれたにはお答えしましょう。スモーキー・グレイディです」
ポール「ありがとう、スモーキー」
スモーキーは袖を捲り、軽く肩を慣らす。
スモーキー「ここからが本番といったところです」
ビリー「え?」
机の上にでかい丼が置かれ、中に白米を押し詰めていく。その後巨大な魚を取り出し、目の前で豪快に捌いていく。
ビリー「…こんなでかいの?」
魚を丼に盛り付け、ビリーの元へ届いた。
スモーキー「うちの名物のサバ丼です」
ビリー「何故サバ?」
スモーキー「特産品です」
ポール「随分でかいな」
ビリー「…食うか」
エリナとポールは一口一口丁寧に味わう。喉の奥からの風味を楽しんでいた。一方ビリーは必死に食いついていた。底の見えない丼を永遠にかき込んでいた。
ポール「お前達をここに呼んだ理由だが、今後についてのことだ」
エリナ「あぁ、部隊合同訓練だっけ?に参加するんでしょ?」
ポール「あぁ、そのことについてなんだが」
エリナがコーヒーに砂糖を1つ入れた。
エリナ「アビィでしょ?」
ポール「あぁ、問題はヘルター率いる“ホワイト・アルバム”部隊とアビィ率いる“ロード”部隊だ」
ビリーがむせながら答える。
ビリー「ホワイト、グブッ!アルバムはわかるけどゴホッ!ロードはゲブァッ!どこが問題なんだグブォガァッ!!」
スモーキー「お客さん?」
ポール「…落ち着いて食ってくれ」
エリナがコーヒーに砂糖を1つ入れた。
エリナ「メンバー全員がお坊ちゃまとお嬢様なんでしょ?」
ポール「そうだ。全員家がUSSRの特別階級だ」
エリナがコーヒーに砂糖を1つ入れた。
エリナ「スラムバー家のアビィ、ゲートズ家のバビロン、ウェイト家のキャリー。全員癖強だった気するけど」
ビリー「俺らもグブッ!癖強だけどな!おえっ」
ポール「…」
エリナ「見てらんない」
するとバーの扉がゆっくりと開いた。
健司「やっと見つけたよあんたら」
ビリー「健、がはぁッ!!」
エリナ「ビリーが喉詰まらせた!」
ポール「待っててくれ、今応急措置を…」
健司「…」
しばらくすると全員落ち着いてきた。サバ丼もそこが見えてきたところだ。
健司「じゃあ俺は、カフェラテで」
スモーキー「かしこまりました」
スモーキーが準備をし始めた。
ポール「話を戻そう。部隊合同訓練についてだが、今なら棄権できるぞ」
健司、ビリー、エリナ「いや、参加する」
ポールは安堵し、書類を書き始めた。
ポール「君たちならそういうと思っていたよ」
エリナはコーヒーに砂糖を1つ入れた。健司はカフェラテを飲み干した。ビリーは丼をかき込んだ。
健司「エリナ、それ苦い?」
エリナ「…味変」
健司「おぉ、言うねえ」
ポール「ロベリアはどうだ?」
健司「さぁ?よくわかりません」
ビリーがようやく食べ終わった。米粒ひとつないほど綺麗に。
ポール「…それじゃ、戻るとでもしよう」
健司「会計は俺がやります!」
エリナ「そんな金あるの?」
健司「なんか貰った」
ポール「…」
健司はスモーキーに金を渡した。
健司「お釣り、いらないんで」
スモーキー「お釣りありませんよ?」
健司「…」
外に出ると夜なのに明るく感じた。だが、眼を塞ぐほどではない。むしろ思いっきり開けたい程だ。綺麗な夜空が眼を覆う。
目の前にはあの時道案内をしてくれた老人がいた。
男「あぁ!あんたらあんときのだっぺや!」
健司「お久しぶりです」
するとその老人に人が近づいてきた。
側近「こんなとこで何やってるんですか国王!」
健司「え?」
側近「頭が高いなお前ら!このお方はこの国の王、ネルソン国王なのだぞ!」
ネルソン「いや〜、しょしい(恥ずかしい)な〜」
ロイ・ネルソン
年齢 81歳
誕生日 12月30日
身長 177cm
体重 70kg
趣味 畑作業
特技 田植え
好きな音楽のジャンル カントリー




